内々以使者可令申之処、惣印軒可参之由承候際、令啓候、信虎女中衆之事、入十月之節、
被勘易巫可有御越之由尤候、於此方も可申付候、旁以天道被相定候者、本望候、就中信虎御?居分事、
去六月雪斎并岡部美濃守進候刻、御合点之儀候、漸向寒気候、毎事御不弁御心痛候、一日も早被仰付、
員数等具承候者、彼御方へ可有御心得之旨、可申届候、猶惣印軒口上申候、恐々謹言、


(内々に使者を出して申し述べるべき所ですが、安星惣印軒がこちらに参ったことを承りましたので、彼に
伝えました。(武田)信虎殿の世話をする女中についての事ですが、10月に入った頃に、占いなども鑑みて
遣わされるとの事、尤もだと思います。こちらに於いてもそのように申し付けておきます。
あまねく天道によって相定める事は、本望でしょう。

なかんずく信虎殿の駿府での生活費についての事ですが、去る6月にこちらから(太原)雪斎と岡部美濃守(久綱)
を遣わしたおりに合意した事であり、だんだん寒気も増してきて、何事にも御不便され、御心痛されています。
一日も早く仰せ付けられ、その生活費を承った者を信虎殿の元へ遣わされるべき旨を心得られるようにと
申し届けました。なおこの事については惣印軒より口上にて申し上げるでしょう。恐々謹言。)

     九月廿三日    義元(花押)
    甲府江参

(天文十年九月二十三日付、武田信玄宛て今川義元書状)

今川義元より武田信玄へ、「信虎さん困ってるから仕送り早く届けろ」という書状である。