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これだけは抑えておきたい!古典SFスレッド

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0001名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
てのを羅列するスレッドです。
0160名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
広瀬正の「マイナス・ゼロ」
眉村卓の「幻影の構成」
筒井康隆の「家族八景」

こんなのは、だめでつか…
日本らしいSFだと思うのですが…ヽ(´▽`)/
0161名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
「火星人襲来」「海底二万里」
「夜来る」「われはロボット」
「冷たい方程式」
「ヒューストンヒューストン、聞こえるか?」

「にぎやかな未来」
「ボッコちゃん」
0162名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
SFを教えてくれたのは星新一かな?
教科書に載ってたし
後はぁ、アイザックアシモフだっけ?あれ適当に読んでれば良いんじゃないの?
早川の文庫なら表紙もかっこ良いし(今はシラネ-けど)
別枠でトリフィドは読んどいて欲しいなあ
ドリトル先生シリーズもある意味SFだし、読んで損無し。
モモは新しいか?

ベタで、海底二万マイルはありだよねぇ
0163名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
レイ・ブラッドベリ

「万華鏡」
0164名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
イシャーの武器店
非Aの世界
0165名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
成恵の世界
0166名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
波平の世界
0167名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
ニューロマンサーを読み返したくなったので、近所の図書館に行った。
だが、無い。ニューロマンサーが、て言うかギブスンが。
調べてみたら、SF全般でツボを外した品揃えをしている。
もしやと思ったら、案の定ペリー・ローダンはしっかり置いていた。
一体どのような基準で選書しているのか、司書を小一時間問い詰めたいと思った。
0168名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
ニューロマンサーくらい自分で買え
0169名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
フレドリック・ブラウン

「スポンサーから一言」
0170名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
成恵の世界 ってネタかと思ったら本当にあるのナ。何気にググってたら
アニメ作品が引っ掛かったよ。
0171名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
>>170
非Aでググれ
0172名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
>>171
いや>>170は知ってるから言ってるんだろう
0173164=170NGNG
そです。非Aはガキのころに読んで知ってたんすよ。
ガキのころといえば「ドリトル先生」を読んでから「地球の長い午後」
を読んでイマジネーションに圧倒されたっけ。
0174名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
hosyu
0175名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
俺の場合は、SFマガジソでやっていたオールタイムベストを中心にして
SFを読み始めて、それで恐ろしいほどの高打率を残せたと自分では思うから、
オールタイムベストを参考にしてんとあじょじゅおじょあj。
0176修正してコピペNGNG
SFM98年1月号に掲載された海外オールタイムベスト全30位。
よって、98年以降の作品は当然ながらランクインしていない。
なお、このランキングは「新SFハンドブック」にも掲載された。

1 夏への扉          ロバート・R・ハインライン
2 火星年代記        レイ・ブラッドベリ
3 ソラリスの陽のもとに  スタニスワフ・レム
4 虎よ、虎よ!        アルフレッド・ベスター
4 幼年期の終り       アーサー・C・クラーク
6 ハイペリオン       ダン・シモンズ
7 <銀河帝国興亡史>   アイザック・アシモフ
8 地球の長い午後     ブライアン・W・オールディス
9 星を継ぐ者        ジェイムズ・P・ホーガン
10 アルジャーノンに花束を   ダニエル・キイス
0177修正してコピペNGNG
<つづき>
11 <ハイペリオン>二部作        ダン・シモンズ
12 アンドロイドは電気羊の夢を見るか? P・K・ディック
13 ブラッド・ミュージック          グレッグ・ベア
14 ノーストトリア               コードウェイナー・スミス
15 リングワールド             ラニイ・ニーヴン
16 月は無慈悲な夜の女王        ロバート・R・ハインライン
17 ニューロマンサー            ウィリアム・ギブスン
18 竜の卵         =@      =@ ロバート・bk・フォワード
19 宇宙船ビーグル号            A・E・ヴァン・ヴォクト
20 エンダーのゲーム            オースン・スコット・カード
20 楽園の泉                アーサー・C・クラーク
0178修正してコピペNGNG
<つづき>
22 ユービック        フィリップ・K・ディック
23 暗闇のスキャナー  フィリップ・K・ディック
23 闇の左手       アーシュラ・K・ル・グィン
25 都市と星        アーサー・C・クラーク
26 エンパイア・スター  サミュエル・R・ディレイニー
27 <デューン>       フランク・ハーバート
28 結晶世界        J・G・バラード
29 <新しい太陽の書>  ジーン・ウルフ
29 カエアンの聖衣    バリントン・J・ベイリー
0179修正してコピペNGNG
以下は98年SFM2月号に発表された
国内版オールタイムベスト全20位。

1 果てしなき流れの果てに  小松左京
2 百億の昼と千億の夜    光瀬龍
3 妖星伝             半村良
4 宝石泥棒            山田正紀
5 星界の紋章          森岡浩之
6 あなたの魂に安らぎあれ  神林長平
6 マイナス・ゼロ         広瀬正
8 ハイブリッド・チャイルド   大原まり子
8 復活の日           小松左京
10 銀河英雄伝説        田中芳樹
0180修正してコピペNGNG
<つづき>
11 石の血脈          半村良
12 戦闘妖精・雪風       神林長平
13 日本沈没          小松左京
14 たそがれに還る      光瀬龍
15 神狩り            山田正紀
16 上弦の月を食べる獅子  夢枕獏
17 消滅の光輪         眉村卓
18 産霊山秘録         半村良
18 虚航船団           筒井康隆
20 <グイン・サーガ>      栗本薫
20 継ぐのは誰か?      小松左京
0181名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
ソラリスは本が見つからなくて映画見たんだけど、眠くてダメだった。
それでも本読んだ方がいいかな?
0182名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
あの作品の偉大な点は、
まったくコミュニケーション不能な異星人を描ききったところ。
このレスを読んでそれを知ったあなたはもう読む必要はない。
0183名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
国内版は虚航船団とグインサーガ以外は読んだな。
グインサーガは一生読まないだろうが。
ハイブリッド・チャイルド、星界、上弦はそれほど面白いとは思わなかったけど、
それ以外はみんな面白かったなー。
0184名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
グインサーガってまだやってるんか…
0185名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
「果てしなき」とか「百億」のような日本SF最初期(といいでしょうね)の
作品が依然最上位っていうのはなんだろうねえ・・・
0186名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
海外SFだって、未だにアシモフ・クラーク・ハインラインあたりが
オールタイムベストだし…
0187名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
栗本薫で充分でしょ
0188名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
西村寿行の「滅びの笛」「滅びの宴」「蒼范の大地滅ぶ」の3部作はどうでしょう?
0189名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
C.L.ムーア
ノースウェスト・スミス シリーズ

筋書きを聞くだけならば宇宙西部劇的スペースオペラなれど、
読み始めると静謐で耽美な世界に没入してしまう。
1930年代当時にして熱狂的ファンがいたというのもむべなるかな。

0190名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
>>167
田舎の書店がそんな品揃えで萎え萎え。
0191名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
アイザック・アシモフ
アーサー・C・クラーク
ロバート・A・ハインライン
H.G・ウェルズ
R・ブラッドベリ
E.R・バロウズ
ジュール・ヴェルヌ
この辺を適当に。一般人が知ってそうな名前ってこれくらいじゃないかな。
0192名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
”一般人”のSF度を高く見積もり杉
0193名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
まあ「トリビアの泉」の冒頭で、タモリが
『SF作家のアイザック・アシモフが…』と
毎回言ってるから、アシモフの知名度は
多少上がってるかも。

クラーク・ハインラインあたりは映画との
絡みで知ってる人は知ってるとは思うが…
微妙かもね。

ウェルズやバロウズあたりになるともっと微妙。

読書好きな一般人には、ブラッドベリとヴェルヌの
知名度は以外に高い。
0194名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
スコーリアやらシーフォートやらロズウェルやらが、只でさえ割り当ての
狭い書店の早川スペースを無駄に喰ってる。
0195名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
ええっ!、ウェルズが一番か、ヴェルヌ並みに知られていると思っていたけどっ!?
0196名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
バロウズは名前ではわからんかもしれんが「ターザン書いた人」といえば。
ウェルズは名前ではわからんかもしれんが「タイムマシン書いた人」といえば。
0197名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
>>194
そもそも、それらが月に数点しか無いハヤカワSFの刊行枠を喰ってる。
0198名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
荘子
0199名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
本屋のバイトだけど、自分の店のハヤカワの棚を見る度に
「いいから俺に弄らせろ」
と上訴したくなる。
0200名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
0201名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
>これだけは抑えておきたい!古典SF

「最初の接触」 マレー・ラインスター

異星人との遭遇テーマの傑作です!
0202名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
何を読んだらいいのかわからないという人は、まずは
読書力 / 斎藤孝/著
http://books.yahoo.co.jp/bin/detail?id=31026991
理想の国語教科書 / 斎藤孝/著
http://books.yahoo.co.jp/bin/detail?id=30971578
を読んで読書の意義とスタイルを学んだあとで
必読書150を読めば、まず間違い無い。
必読書150のリストは↓のアドレス参照。
『必読書150』は必読書か?
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/book/1090570166/l50
0203名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
うざっw
0204名無し物書き@推敲中?:05/01/31 00:41:01
tr
0205名無し物書き@推敲中?:05/02/10 13:48:16
h
0206名無し物書き@推敲中?:05/02/18 12:33:35
87
0207天文学者05/02/18 20:18:27
 『人間以上』  シオドア・スタージョン  (1953)

一風変わった印象を受ける超能力者SF。
敗れて穴の開いたキューピー人形の笑顔が表紙。インパクト有り過ぎ。
てっきりホラーかと思い呼んでみた中学生時代の私。
(最近カバーが刷新されて再刊された)

本作品で採用されているのは、集合人(ホモ・ゲシュタルト)というアイディア。
一人一人では生活不能者の者たちが、リンクすることで一つの生命体として活動できる。
超能力者版カツオノエボシ、とでも言おうか。

個人的に、この作品のテーマは“孤独”であろうと思う。
真に一人ぼっちだった頃は、孤独なんて知りも考えもしなかったが、ゲシュタルトに属し
他人と係わることで逆に、初めて孤独というものを知り寂しさが募る、といった感じか。
SF的なアイディアが、他者との係わり合いと孤独を表現することに使われている。

なんというか、切ないお話である。
大人になってからでないと、この切なさは真に理解出来まい、と思う。
0208天文学者05/02/21 21:54:35
 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』  フィリップ・K・ディック  (1968)

映画『ブレードランナー』の原作として、あまりにも有名なディックの佳作。
自分は映画を先に見たのだが、いやよくも綺麗にまとめたものだと感心した。
小説と映画ではテーマがまったく違うが、にもかかわらずどちらも面白く
鑑賞することができる。
映画監督の才かも知れないが、これは原作小説と映画作品の幸せな関係
ではないか、と個人的に思う。

原作は現実と幻想の狭間作家のディックらしく、何が現実で何がそうでない
のか頭の痛くなる状況がドミノ倒しのテンコ盛り。
とは言え、他のディック作品に比べればまだまだ可愛い方だ。
ディック初心者は、この作品から入るのが良いのではないだろうか。

他の短篇などにも見られるが、他人との共感をディックが大切に捉えている
のが分かる。アンドロイドと人間を隔てるのは、他者との共感の有無なのだ。
この辺り、ディックの思想が読み取れるようで面白い。
最後、ヒキガエルのシーンは何とも切ない読後感を残す。

ディックは日本人に人気が高いようで、翻訳された作品はかなりの数になる。
特に短篇の切れ味は抜群だと信じるので、未読の方はぜひ読んでみてほしい
ものだ。
0209天文学者05/02/23 22:58:20
 『逆転世界』  クリストファー・プリースト  (1974)

SFはアイディアだ!と固く信じる人にピッタリの作品。

のっけから舞台となる街の異形に圧倒されてしまった。
荒野の中、線路の上を進み続ける巨大な街。
住人は前方の線路を必死で造り続け、後方に過ぎた線路を片端から解体再利用する。
前進を止めると破滅が訪れると信じられているが、誰一人真実は知らない。
永遠に滑車を回し続けるリスのごときイメージ。

主人公の成長と共に舞台は街の外へと広がる。
そこで明らかになる世界の真の姿。説明される双曲線世界観の衝撃。
もう唖然呆然、本を閉じて頭を振るしかなくなる。
これもセンスオブワンダーと呼ぶのだろうか?

やがて訪れる部外者により全てが説明され、街はその歩みを止める。
しかし、既に街の住人たちは双曲線世界に取り込まれてしまっているのだ。
先に待つ破滅を暗示して物語は幕を引く。

いや、よくもまあこんな斜め上の設定を考え付くものだ。
設定でこれほどの衝撃を与えてくれた作品は、後にも先にもない。
プリーストは不世出の才人か、もしくはトンデモなく危ない人だったに違いない、と思う。
0210天文学者05/02/27 00:33:20
 『地獄のハイウェイ』  ロジャー・ゼラズニィ  (1969)

ゼラズニィは神話などを換骨奪胎してSFに仕立て上げるのが得意技だ。
この作品は、アメリカの神話とも言える西部劇をネタにしている。
一種のロードノベル物だが、実際はSF的な味付けよりも、主人公の意識の変遷を追う
のがストーリーの肝となっていた。
悪漢だった男が、無理やり押しつけられた仕事のために、気がつくと英雄になっていた。
自分を取り巻く状況が変わることで、人はどう考え変わっていくのか。
ゼラズニィの興味は、そこにあったのだろう。

元々は中篇の作品を書き足して長編にしているが、個人的には中篇バージョンの方が
ストレートでお勧めである。
と言っても、日本語化された中篇バージョンは、当時のSFマガジンに掲載された物だけ
なので、入手はまず無理だろうなぁ。
映画化もされたが、何分昔の映画なのでショボショボであった。トホホ

作者ゼラズニィは95年に亡くなった。享年58歳。
消え去るにはあまりにも早過ぎる死だった。
ゼラズニィが居なければ、山田正紀はSFを書いていなかったもしれない。
返す返すも惜しまれる。
0211吾輩は名無しである05/03/03 12:40:53
gre
0212天文学者05/03/09 23:14:55
 『人類皆殺し』  トマス・M・ディッシュ  (1965)

原題はそのまんま『The Genosides(虐殺)』。何というか、凄いタイトルであることよ。
ある日、宇宙から飛来した異星人が、地球にトンデモなく大きな種芋をばらまく。
あれよあれよという間に暴れ芋は繁茂してしまい、人類は駆逐されてしまう。
やがて異星人は収穫を終えて次の種芋をまく準備をする。人類をまったく気にもかけず。
異星からの侵略により地球が滅びてしまった、最初の作品ではなかろうか。

植物の急激な繁殖による大気温の低下など、SF的な設定も興味深い。
しかし、それ以上に生き延びようとする人類の様に圧倒される。
内ゲバを繰り返しながら芋の中に住みつき、正に蛆虫扱いとなる人類たち。
ここまで尊厳を奪わなくてもよかろうに、とボヤキたくなるほど救いがない。
物語の舞台は小さなコロニーに限定されているのだが、恐らく世界中で同じ状況が同時
進行しているのだろうなぁ、と思わせる。
SFの凄さを思い知らされる、今読んでも大傑作。

いや悲惨すぎて、とても『いさましいちびのトースター』を書いた人の作とは思えない。
まぁ実際のところ、ディッシュの本性はこちら(『皆殺し』)だとは思う。
意地が悪いというのではなく、突き放した冷徹な視線を持つ作家だ。
ラストの美しく、そして救いのない情景は忘れられない。
0213天文学者05/03/16 23:56:27
 『神鯨』  T・J・バス  (1974)

何といってもオルガの公式に尽きる。
『gy=c』、なんと宇宙の好意を表す数式!
その惑星の重力と惑星年をかけた数値が光速度と等しければ、その惑星には知的生命体
が発生するのだという。
いや偶然なのだろうけど、よくこんなことに気がついたものだ。
中学生の頃に読んだのだが、公式の内容を理解できた時には少し呆然としてしまった。
このアイディアで長編を一本書ききってしまう力技に、素直に脱帽。

他にもこの小説では、SF的なガジェットがふんだんに使われている。
死せる海。人工子宮で産み落とされる矮人。鯨のサイボーグ。恒星間播種船。
遺伝子組み換えによる人造人間。人肉の蛋白質としての再利用。水生へと進化した人間。
少し抜けてる機械知性・・・等々。
冷静に考えるとまるで地獄のような最悪の未来予想図なのだが、登場人物たちが揃いも
揃って能天気且つ生命力に溢れているので、読後感はかなりライトである。
希望を感じさせるラストもポイントが高い。

現在は残念ながら絶版。古本屋で見かけたら絶対に保護するべき作品だと思う。
0214吾輩は名無しである05/03/18 12:27:37
o
0215天文学者05/03/20 22:03:51
『20億の針』  ハル・クレメント  (1950)

幼少の頃、小学校の図書室で読んだ忘れられない一作。
ジュブナイル名は『星からきた探偵』だったが、個人的にはそちらの題が好きだなぁ。

クレメントはセンスオブワンダーに溢れたエイリアンを創作するのが上手い作家だが、
この作品にも一風変わった寄生エイリアンが登場する。
しかし、宿主の哺乳動物よりもそれに寄生するアメーバの方が高等な知能を持つという
ことが有り得るのかしら、どうかしら? さりげなく星間航行技術まで取得しているし。

地球近辺まで犯罪者(ホシ)を追ってきた主人公(捕り手)は、揃って地球に墜落して
しまう。何とか脱出できたが、ホシも既に抜け出していた。
一体どこの誰に寄生して隠れているのか?
地球人の協力者(宿主の少年)と論理的に犯人探しをするくだりは、まるで推理小説の
ようで素直に面白い。今読んでも古びていないのは正直凄いことだ。
好評だったようで、続編『一千億の針』も書かれている。

恐らく映画『ヒドゥン』の元ネタになったと思われる。
こちらもB級映画ながら隠れた傑作なので、未見の人はぜひ見てほしい。
0216名無しは無慈悲な夜の女王2005/03/21(月) 14:06:47
およそ忠告ほど人が気前よく与える物はない。


                  ラ・ロシュフコー
0217名無しは無慈悲な夜の女王2005/03/21(月) 21:08:42
>>212

『人類皆殺し』の名前って、救いのないSFの代名詞みたいですけど、実際どうなんでしょう?
噂はよく聞くのですが・・・あまり鬱展開だとイヤかなぁって。
0218名無しは無慈悲な夜の女王2005/03/22(火) 10:16:19
>>217
発刊された時代背景もあって、暗く陰鬱な内容が多いのは事実。
そういう知識をフィルタにして読むのもいいかと思う。
02192172005/03/24(木) 19:49:42
>>218さん
なるほど・・・参考になります。そっか、時代かァ。
どーも、ありがとうございました。
入手できた時は、頭に置いて読んでみませう。
0220名無しは無慈悲な夜の女王2005/03/24(木) 21:46:43
名前が挙がってこないけど、シルヴァーバーグ作品からも
何か一点エントリーしてあげたい。

たぶん『夜の翼』あたりが無難な選択だろうかと思うけれど、
個人的な趣味であえて『ガラスの塔』をお勧めしたい。

言うまでもなく表題は「バベルの塔」の神話を踏まえている。
悪意に満ちた哄笑とともにすべてが瓦解してゆくかがごとき
クライマックスはお見事。SF版ドミノ倒しといった趣がある。
0221名無しは無慈悲な夜の女王2005/03/25(金) 00:57:39
『宇宙船ビーグル号の冒険』  A・E・ヴァン・ヴォクト  (1950)

古今東西切ってのBEM小説。間違いなくBEMが主人公!
そう言い切ってしまうほど、魅力的な異星生物がズンドコ登場する。
その手の話が好きな人には堪えられないのではないか。私もその一人。
特に“黒い破壊者”ことクァールはあまりにも有名。
腹減ったぁ〜とビーグル号のクルーを殺しまくる様は、さすが破壊者。
しかし、あれだけバンバン人が死んでも航行には影響しないのね。
大きな宇宙船はいいなぁ。冷たい方程式も成立しないだろうし。

BEM一体一体の設定も非常によく練られており、SF者としてはその点も嬉しい。
また出てくるBEMの知能が高く、ビーグル号のクルーとの知能戦(笑)も見所。
ジュブナイルで読んだ幼少時、幼い胸を興奮で揺さぶってくれたものだ。
しかし段々ヴォクトの興味はBEMよりも、作中で創作した総合科学とかいう学問の
方に傾倒していってしまう。
最終話のアナビスに至っては大学の学部内抗争みたいな様相を呈しており、異星生物
の描写なんかそっちのけである。
まぁアナビス自体が、まともに相手するのがちとアレな存在ということもあるけど。
個人的には残念。

ちなみに“緋色の不協和音”イクストルは、かの映画『エイリアン』の元ネタという噂。
強大な戦闘力と獲物の体内に卵を産み付けるという点かしら。確かに似ているなぁ。
0222天文学者2005/03/25(金) 01:06:06
>>221は私のカキコです。クッキー消えてたよ・・・。

>>217さん。人類皆殺しは破滅SFとしては傑作だと思いますが、物語として傑作か
どうかは微妙かなぁ、と。
登場人物たちは成す術もなく異星人に駆除されてしまうわけですが、その途中で
人間の獣性とか下劣さが露呈されていきますし。
まぁ滅びても仕方ないよなぁ、とも考えちゃうようなこともしているし。
人肉ソーセー○とかいうタームに抵抗があるなら、読まない方がいいかも。

>>220
シルヴァーバーグ作品は、『夜の翼』は読んでるんですけどねぃ。
『ガラスの塔』は未読でした。機会があれば、呼んでみます。
情報ありがとうございますデス。
0223天文学者2005/03/26(土) 01:41:49
『猿の惑星』  ピエール・ブール  (1963)

映画化されたあまりにも有名すぎる作品。
映画はシリーズ全部で五作も作られている。あちらの人、何でそんなに猿が好きか?
猿が始めて画面に登場するのは人間狩りのシーンなのだが、いや実に恐かった。
下手なホラー映画などより、よほど恐ろしかった記憶がある。
またラストの演出が素晴らしい。衝撃的とはこの映画のためにあるような言葉だ。
映画『猿の惑星』は間違いなく歴史に残る傑作である。一作目だけだけどね。

原作の方もなかなか面白い。
狩った獲物(人間)を前に記念撮影とか、“パブロフの犬”実験を人間でおこなっていた
りとか、野生動物レベルの女性相手に繁殖実験させられるとか、一緒に遭難したクルー
がすっかり変わり果てて動物園に入れられていたりとか、なかなかブラックで残酷かつ
容赦のない描写が続く。
人間を支配される側に回すことで、暗に人間社会や人間の文化を批判するようになって
いる構造は見事だ。この切り口、間違いなく良質のSFである。

長じて知ったのだが、作者のブールは第二次大戦中、インドネシアで日本軍の捕虜にな
ったことがあるらしい・・・って、これ黄禍論SFだったのかよ! orz
しかしその経験から『猿の惑星』と『戦場にかける橋』の傑作二作を生み出しているの
だから、転んでも只では起きない人だ。さすが、おフランス人ざます。

最近一作目が映画リメイクされたが、旧作には及ばなかったようで。
ラストが『猿の軍団』になるのは思わず笑ってしまった(違うっ)。
0224名無しは無慈悲な夜の女王2005/03/26(土) 04:52:51
SFもミステリも時系列にそって読んだほうが馴染むよね。
0225名無しは無慈悲な夜の女王2005/03/26(土) 12:16:02
文学の衰弱を考えるときに、バイアグラとプロザックの問題を無視できない。
これが生じたので文学はかなり狭い領域に追い込まれた。

だって解決しちゃうんですから。苦悩とかが。

この場合にどっちをとるかというのは迷うべき問題。
例えば江藤淳の自殺にしても精神科医と文学者が対談すると対立する。
精神科医は「あれはプロザック飲ませてればよかったんだよ」というし、
それは死者の尊厳に関わる問題になっちゃうんで、終わらないんですよ、論争が。

どっちをとるかというのは悩むところで、精神の多様性を維持する意味では
そういった文学性といったものの価値はまだまだ廃れていないと思う一方で、
じゃあその為に死んでもいいのかというと、やっぱり死ぬのはまずいだろと
いわざる得ないところがある。死ぬ代わりにプロザック飲みましょうと。

これは引き裂かれている、一番極端な部分では本当に判断できない問題である
といってもいいと思いますね。
0226天文学者2005/03/27(日) 22:18:57
『アンドロメダ病原体』  マイクル・クライトン  (1969)

墜落した宇宙船には、人類にとって恐るべき病原体が付着していた。
文字通り降って沸いた世界の危機に、人類の打つべき手は?・・・
斬新な宇宙伝染病のアイディア、加えて出版されたのがアポロ11号の打ち上げ直前。
絶対に狙っていたよなぁ。狙い通りというか、まぁヒット作品となった。

SFというより、まるで硬いノンフィクションでも読まされているような気になる。
ここら辺は医者でもあるクライトンの独擅場だ。
『ホットゾーン』みたいなノンフィクションが好きな人にはお勧めかもしれない。
しかしラストの解決方法が、何と言うか、実にご都合主義。
結局人類は何もしていないのに、すべてが無事に解決しちゃうのだ。
これはいくらなんでもいかがなものか? と思えて仕方がなかった。

映画化もされたが、個人的にはそちらの方がかなり面白かった。
病原体で滅びた町の中を行く防護服姿の男たち。
死体の手を持ち上げて切ると、傷口から溢れたのは血ではなく赤い砂だった・・・。
ショッキング度はかなりなものであった。イメージの勝利だよなぁ。
レンタルビデオ店で見つけたら、一見の価値はあろうかと思う。
0227名無しは無慈悲な夜の女王2005/03/28(月) 00:16:08
>>223
『猿の惑星』・・・思い出した。

誰だっDVDの表紙デザインしたヤツぁ!!
いきなりネタバレしやがって!
古典で皆知っているからといっても、バラしてイイもんじゃないだろうに。
0228天文学者2005/03/29(火) 03:15:30
『惑星間の狩人』  アーサー・K・バーンズ  (1969)

火星、金星など太陽系に潜むBEM! それを狩る美女! そして活劇!
素晴らしいまでのステレオタイプ。変わっているのは主役が女性だという点だ。
今でこそ珍しくもないが、当時としてはかなり斬新ではなかったかと推測する。
おまけに主人公の"生け捕り"カーライル、すんごい美人でやたらと傲岸不遜で
そして自信過剰なのである。海原雄山とイイ勝負かも。
でもそのくせ、ちょっぴりヘナチョコで時々ヘタレ。うむ、可愛い(笑)。

しかもこの美人ハンター、なんとツンデレ属性まで持っているのだ。
人前じゃツンツン、二人になるとデレデレ。ツンツンデレデレツンデレデレ!
もう無敵である、向かうところ敵なしである。
作者のバーンズは“萌え”という単語を理解していたに違いない!
・・・と、アホなこと書きたくなるくらいキャラが立っている。

通常この手の作品は、BEMが主役で人間は刺身のツマ程度なのに、
我らがカーたんはBEMに負けず劣らず縦横無尽に活躍し(暴れ?)まくる。
キャラが魅力的、BEMもなかなか、話の切れもすこぶるいい。
設定の古臭ささえ我慢できれば、お勧めの一冊ではないかと思う。

【余談】木星篇で出てくるBEM『カクス』は、ウルトラマンに出てくる怪獣
ザラガスのモデルになったのでは? と考えているのは私だけかしら。
【余談2】海王星篇のラスト。バナナの皮でスッテンコロリンはないよなぁ。
いくら古典でもさぁ。お口モグモグのカーライルは可愛いが(笑)。
0229名無しは無慈悲な夜の女王2005/03/29(火) 12:11:02
>>228
『惑星間の狩人』はオイラも好きだけど・・・ツンデレってw
0230名無しは無慈悲な夜の女王2005/03/29(火) 20:28:27
高2病患者のサンプルみたいなスレだな。
0231名無しは無慈悲な夜の女王2005/03/29(火) 20:51:20
サルって日本人のことだし,,,
0232名無しは無慈悲な夜の女王2005/03/29(火) 23:55:22
子供のころジュブナイル版で読んだなぁ・・・
0233天文学者2005/03/30(水) 23:08:23
『盗まれた街』  ジャック・フィニィ  (1955)

侵略物SFの古典にして傑作。
ひそやかにしかし着実に進められる侵略。
ウルトラマン的なそれでなく、セブン的なと言えばグッと来る、そんな侵略。
侵略者はまったく暴力はふるわない。ただ淡々と一人一人入れ替えていく。

ボディ・スナッチャーと聞けば「あぁアレ!」という人も多いのではないか。
人間に変態するサヤエンドウもグロテスクで素晴らしいイメージだが、眠り込んだ
時を狙ってスナッチするというのも嫌らしさ全開で素敵だ。
最後あたりは、睡眠不足とのツライ戦いになる。
寝たら入れ替わってしまう、自分がいなくなるという恐怖・・・今でも十分通用する。
ラストは妙にあっけないが、これだけ静かな侵略者ならアレもありかなぁと思う。
とはいえ、本を閉じた後も釈然とした思いが残って仕方がない。
本当にすべて終わったのだろうか? そんな思いが残って仕方がない。

この作品、映画化もされている。それも三度も。
しかしSFXは当然新しいものの方が優れているが、面白さで言うなら断然初めの
一本なのだ。実に良質のサスペンスに仕上がっていた。
ドン・シーゲル、流石である(ちなみにダーティハリーの監督さん)。
やはり映画は映像より何より、しっかりとした脚本と演出の巧みさが肝だなぁ。
0234名無しは無慈悲な夜の女王2005/03/31(木) 10:54:58
>>233
>とはいえ、本を閉じた後も釈然とした思いが残って仕方がない。
>本当にすべて終わったのだろうか? そんな思いが残って仕方がない。

ここヘンだよ。「釈然と」していないんじゃない?
0235名無しは無慈悲な夜の女王2005/03/31(木) 21:58:32
回答:

天文学者たるもの、ちっとやそっとで釈然としないわけにはいかんのである。
0236天文学者皇紀2665/04/01(金) 01:18:42
>>234
・・・。
ア、アイゴォ〜!!
素で間違っていたニダ。スルーしてほしいデス、ハイ。
orz
0237天文学者皇紀2665/04/01(金) 01:19:32
『歌う船』  アン・マキャフリイ  (1969)


生命維持装置なくては生きることもかなわない障害児を、金属の殻の中に閉じ込め
文字通り生きた宇宙船にしてしまうという、ナンともすごい設定のSF。
今の日本国じゃとても書けない作品かも・・・人権団体五月蝿いからなぁ。
でも作者の意図するのはそんなことではなく、陰惨な感じはまず受けない。

だってこの作品、実はSFの殻を借りた純愛メロドラマなのである。
もう最後の『伴侶を得た船』なんて、メロメロの甘甘でグダグダなのである。
お腹一杯、好きにしろや!って感じ。いや、確かに素敵だとは思いますデス。

他人と会話だけで交わる人間が、果たして普通の人間と同じような情感を得ること
は可能なのかと思わないでもないが、この作品の主人公は(図体は別にして)ごく
普通の女の子なのである。うーん、反則気味だ。
しかしストーリー語りが実に上手く、最後までするすると読めるのは大したもの。
女の子に読ませてみた中でも、一番評判の良いSFの一冊でした。

大体マキャフリイの書くキャラは、総じて我がまま自己中で感情を剥き出しにする
ことが多いのだが、そんな所が魅力になっているのも事実。
深く考えずにすーっと読むと癒されます。
・・・知り合いの娘は「ねちねち読むのがイイのよ!」と力説しておりました。
まぁSFも恋愛も十人十色、色々な意見があるということで・・・。
0238天文学者皇紀2665/04/01(金) 02:12:49
今気がついた・・・日付、何ゆえに皇紀なの!?
0239名無しは無慈悲な夜の女王皇紀2665/04/01(金) 02:24:14
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/dqnplus/1112284453/
0240名無しは無慈悲な夜の女王皇紀2665/04/01(金) 21:50:07
ラリー・ニーヴンといえばノウンスペース物がすぐに思い浮かぶけれど、
ヴァラエティに富んだ短編集『無常の月』を読むと、この著者の間口の
広さと発想の豊かさにあらためて驚かされる。

巻頭作「時は分かれて果てもなく」は〈現実の不確かさ〉という
20世紀文学ではおなじみのモチーフを、SF的技法で手際よく料理
しており、この関心は「霧深い夜のために」でさらに追究されている。

このニ作品からP・K・ディックの影響をただちに見てとろうとするのは
早計に過ぎるかもしれないが、巻頭作の結末部分の処理から、この時期
ニーヴンが、当時アメリカSF界に打ち寄せていた「新しい波」の影響下に
あったことを見てとるのは、さほどの冒険ではないはずだ。
さらに、本書を「未完成短篇 第一番」「第二番」と読み進むと、ニーヴンが
このSF界の変革運動にけっして無関心ではなかったことが分かる。

ただし、新しい波に刺激を受けて書かれた作品群が、一般的傾向として、
なるほど実験精神に溢れてはいるものの、その実験がみごと成功して
いるとはとうてい言えないといった欠点を露呈していたのに対して、
ニーヴンの作品は、保守的な読者をも満足させうるエンターテイメント
としての完成度を概してそなえている。

それは例えば、のちにシリーズ化されることになった異色ファンタジーの傑作
「終末も遠くない」、表題作の「無常の月」や「マンホールのふたに塗られた
チョコレートについてきみには何が言えるか?」が明瞭に示しているとおりだ。

作品のヴァリエーションとしてはほかにも、科学エッセイ風の法螺話
「スーパーマンの子孫存続に関する考察」、「テレポーテーションの理論
と実際」、「タイムとラベルの理論と実際」が、この作者の強靭な思考力を
如実に示しており、一読後忘れがたい印象を残す力作である。
0241天文学者2005/04/02(土) 22:21:25
『ビーストチャイルド』  ディーン・R・クーンツ  (1970)

珍しや、モダンホラーの第一人者クーンツの純SF小説である。
しかも驚くべきことに(失礼)これがまたしっかりとSFしているのだ。

クーンツといえば“愛と勇気と正義のホラー野郎”というイメージが強いのだが、
(んでもって最後には必ず男と女が結ばれるハーレクインロマンス的展開もね)
これは初期のまだ売れていない時代の作品だけあって、かなり違う印象を受ける。
キャラの描写等もまだ甘いし、文体も硬い感じでまだこなれていないよう。
しかしそこは後にベストセラーメイカーになるクーンツ、どうしてなかなか面白い。
物語の大半は追跡劇になるのだが、テンポもさくさく良いし、スリルを盛り上げる
のも忘れていないので、適度に手に汗を握って楽しむことができる。
やはりこの手の娯楽作を書かせると上手いなぁ、と再確認してしまった。

SF的な小道具や演出もそれなりに良い味を出している。
社会体制への批判的な表現が鼻につく所もあるが、書かれた時代を考えると止むを
得ないといったところか。

97年に『人類狩り』と改題されて復刊されている。やぁめでたい!
重版を重ねているところを見ると、どうやら売れ行きも好調のよう。
ただ、クーンツ本人は初期のSFがまったく気に入らないらしく、版権を買い集めて
お蔵入りにさせるということを結構やったらしい。
『ファントム』みたく見も蓋もない派手派手モンスターパニック物も大好きだが、
私個人としては、作風をこの作品みたくSF方向に伸ばしてもらいたかったなぁ。
0242天文学者2005/04/04(月) 02:46:25
『脅威! 不死密売団』  エドモンド・ハミルトン  (1940)

ハミルトンの代表作、キャプテンフューチャーシリーズ。
同時にこの作品は、スペースオペラ分野の代表作でもあると言えるだろう。
それも只のスペースオペラではない。古きよき時代のスペースオペラである。
レトロなデザインの宇宙船が飛び廻り、ヒーローと悪役はアメコミ調のコスチューム
に身を包み、ヒロインはお約束でさらわれて、入り乱れて殴り合いの後に大団円。
列記してみると何やら間抜けだが、いややっぱりスペオペはこうでないとな!

ハミルトンは非常に映像的な資質を持った作家で、フューチャーメンシリーズに出て
くるSF的な小道具も、実にイメージ豊かで絵になる物ばかり。
またこの人はそういうアイディアの宝庫で、色々と面白いネタを贅沢に投入している。
アニメや漫画に慣れ親しんでいる人には取っ付き易いのではないだろうか。

初期のフューチャーシリーズは、正体不明の悪漢がテロや犯罪を企て、それを阻止し
ながら犯人を突き止める、という流れがあった。
今作も“生命王”なる犯罪者が若返りの不死薬を密売するのを打倒する。
この“生命王”の正体に迫るのに、なかなか焦らされて引っ張られるのである(笑)。
手掛かりになる石版を見つけても肝心の部分が削られていたり、組織の人間を捕まえ
尋問していると親分の正体をばらす寸前で暗殺されたり云々。
サスペンス物ではよく使われる手だが、ハミルトンってこの辺りも上手い。

かつてNHKでアニメ化されたことがある。なかなかの良作であった。
しかし著作権が複雑なことになっているようで、この前発売予定に上がったDVDは
直前で発売中止に・・・どこでもいいから出してくれないかなぁ・・・。
0243名無しは無慈悲な夜の女王2005/04/04(月) 18:21:30
>かつてNHKでアニメ化されたことがある。なかなかの良作であった。
>しかし著作権が複雑なことになっているようで、この前発売予定に上がったDVDは
>直前で発売中止に・・・どこでもいいから出してくれないかなぁ・・・。

アニメ版キャプテンフューチャーのDVD、去年に発売のアナウンスが流れてから続報が
なかったんで、もしやとは思っていたが・・・あ〜待っていたのになぁ。
どこか再放送でもしてくれないかなぁ。
0244名無しは無慈悲な夜の女王2005/04/04(月) 23:07:18
おいらは淋しいスペースマン
0245名無しは無慈悲な夜の女王2005/04/04(月) 23:47:38
>>244
淋病持ちなのでつねw
0246名無しは無慈悲な夜の女王2005/04/05(火) 00:09:14
寂しいスペルマ?
0247名無しは無慈悲な夜の女王2005/04/05(火) 00:42:05
『ニューロマンサー』 W・ギブスン

いわずと知れたサイバーパンクの代表作。
マトリックス観てすごいと思っている人には是非読んでいただきたい。
0248名無しは無慈悲な夜の女王2005/04/05(火) 13:51:32
スペースマン、良いよなスペースマン。
 新鮮な食材は食べられなさそうだけどな。

スペースマン、けっこう良いよなスペースマン。
 宇宙航行中にトイレが壊れたら悲劇だけどな。

スペースマン、やっぱり良いよなスペースマン。
 毎日同じ顔ばかり見てたら殺し合いになりそうだけどな。

スペースマン、憧れて良いよなスペースマン。
 右手が恋人どころか古女房にまでなりそうだけどな。

・・・なんか短篇でも一本書けそうな気がしてきたw
0249名無しは無慈悲な夜の女王2005/04/05(火) 14:40:28
いいよな、バカはw
0250名無しは無慈悲な夜の女王2005/04/05(火) 18:44:08
バカも良いもんだぞw
0251名無しは無慈悲な夜の女王 2005/04/05(火) 19:15:25
漏れは古いのだと
「10月1日では遅すぎる」フレッド・ホイル
とか好きなんだけど、このスレ的には評価低いの??
0252天文学者2005/04/07(木) 22:38:41
『吸血鬼』  リチャード・マシスン  (1954)

『地球最後の男』という名前の方が知られているかもしれない。
突如世界中に吸血ウィルスが蔓延し、主人公以外の人間はすべて吸血鬼に
なってしまう。ナンとも大胆な設定だ。
仕方なく昼はバンパイアハンター、夜は獲物として、昼夜駆けずり回る主人公。
しかし、段々と吸血鬼たちは進化?していき、組織だった行動を取るようになる。
旧人類とは違う、吸血鬼なりの社会規範が確立されていくのだ。
そして、原題の『I am legend』の意味が明らかになるラストシーンへ。
イメージの逆転! 古き良きSFのセンスオブワンダーがここにある。

ただ一人の人類になってしまった主人公は、とにかく苦悩しまくる。
この苦悩具合が何となくナルシシズムに浸れて、実は結構イイ感じ(爆)。
映画化もされている。主役は人類最後の男を演じさせたら右に出るものがいない
チャールトン・ヘストン。(ノリはほとんどゾンビ映画だった)
この作品からインスピレーションを受けて、G・ロメロが『ナイト・オブ・ザ・
リビングデッド』を撮ったことは有名・・・らしい。

ちなみに藤子不二夫の短篇漫画『流血鬼』の元ネタだったりもする。
短編ながら、実にきれいにまとめていた。さすがだ。
ドラえもんの原作者というのは伊達ではないのだなぁ。
「知らなかった、星空がこんなに綺麗だったなんて」実に名台詞だと思う。
0253天文学者2005/04/07(木) 22:44:49
>>251
『10月1日では遅すぎる』、私も結構好きでしたよ〜。

何と言うか、SFというよりも時間にまつわる哲学書、みたいな感じの一冊でした。
こういうのを子供に読ませることが出来たら、物理とか好きな子が増えるのでは
ないかなぁ、とボンヤリ思ったりしますデス。

問題は、最近の子はSFはおろか一般文学でさえ読まなくなっていることでせうが。
読書っていうのは、どんなジャンルのものでも必要だよと感じる今日この頃です。
0254天文学者2005/04/10(日) 01:32:12
『時間線を遡って』  ロバート・シルヴァーバーグ  (1969)

一言で表すと「SFポルノ」になってしまう異色作。
仲間との乱交パーティを開き、そんな自分をタイムマシンで出歯亀しに行く主人公。
そんな???なシチュエーションがコレでもかというくらいに出てくる。
若かった私は本書を読みながら、周りを気にして焦りまくったものだ。
とにかくHシーンに満ち溢れている。書かれた時代を考えれば、シルヴァーバーグは
かなりな冒険をしたのではないかと思う。いや濃厚濃厚(笑)。

しかし、本書の魅力?はそれだけではない。
本書はタイムパラドックスに真正面から取り組んだ作品でもあるのだ。
多種多様なタイムパラドックスのケースが提示され、またそれを解決する方法自体が
パラドックスを利用していたりする。
中にはナンだかなぁと思う物もあるが、なかなかに混乱させてくれて面白い。

主人公が自分のご先祖様に恋をして猪突猛進で突っ走る辺りから、物語りは動き出す。
予期せぬ事態が次々と起こり、タイムパトロールに露見する前に何とか修正しようと
努力するものの、時間線は更にこんがらかって行く。
「そうなったらわたしは    」と唐突に終わる最後の文章、最初は何のことやら
理解できず、落丁かと疑ってしまった。
よくよく考えると、主人公がパラドックスで存在を消されたということなのだな・・・。

読後に、何とは詳しく言い表せない切なさが残る作品。面白いです。
0255名無しは無慈悲な夜の女王2005/04/10(日) 13:43:51
このスレ読んでるSF初心者だけど、
これだけ!にしては多くないか?
0256名無しは無慈悲な夜の女王2005/04/10(日) 14:29:33
>>255
多く上がっている中から、自分だけの「これだけ!」を見つければよろし。
と、どこかの長老のように呟いてみるテスト。
0257名無しは無慈悲な夜の女王2005/04/10(日) 19:39:11
>>255
この程度の分量が読めないって?
読書週間ないのかい?
0258天文学者2005/04/10(日) 23:01:12
『シリウス』  オラフ・ステープルドン  (1944)

この作品のシリウスって、星の名前でもなく、怪盗の名前でもない。
犬の名前なのだ。人間によって知性化された犬、それがシリウス。
いわば犬版『アルジャーノンに花束を』と呼ぶべき、古典中の古典SF。

犬の視点から人間社会を風刺した風味もあり、ステープルドンの書きたかったことも
この辺りにあったのではないか、と思う。
日本でいうところの『我輩は猫である』みたいな香りも、少し感じたりする。

しかし、アルジャーノンは知性化されても人間であり続けたが、シリウスは違う。
人間並みの知性があっても絶対に人間には成れないし、かと言って犬にも戻れない。
人為的に作られた一代限りの謂わばミュータントなのである。
この設定から既に破滅の匂いが感じられ、それは結局現実のものとなる。悲劇だ。

犬を知性化するというネタだけで、破綻なく小説を一本まとめるのは大した力量だ。
やはり名作というのは、優れたSFである前に、優れた物語である必要があるのだな
と再認識させられた。

犬好きにはぜひ読んでほしいが、犬好きには最後がつらい小説でもあります・・・。
0259名無しは無慈悲な夜の女王2005/04/11(月) 17:15:42
フレドリック・ブラウンが今でも読み継がれているらしい。
例えば創元文庫の『天使と宇宙船』(小西宏訳)は、まだ
むかしの表紙のままで改訂もされずに売られているようだ。

このスレでは、>>36 さんが、ブラウンの『発狂した宇宙』と
『火星人ゴーホーム』の長編2作品を挙げているし、
>>169 さんが『スポンサーから一言』を推している。
で、個人的には、SFに限って言うと、この『天使と宇宙船』
こそが、21世紀にも読み継がれるべき代表作というわけ。

理由は、何といっても収録作の粒が揃っていること。
その中でもイチ押しは「ウァヴェリ地球を征服す」だ。
この、なんとも言えぬほのかな郷愁が、読者の懐古趣味
を心地よくくすぐるのである。ノスタルジア自体は、けっして
嫌いではないが、ジャック・フィニイでは甘すぎてちょっと・・・
という大人の読者にお勧めしたい一品。
0260天文学者2005/04/13(水) 21:10:55
『タイム・パトロール』  ポール・アンダースン  (1960)

SF界の大御所、ポール・アンダースンである。
個人的には竜頭蛇尾な凡作が多いと思うのだけど、この人のSFに対する情熱や貢献
を認めないわけにはいきません。そういう意味でも大好きな作家の一人。

本書は、時間警察という概念を初めて形にしたSFである。
ウェルズが“タイムマシン”を発表し、アンダースンが“タイムパトロール”を提唱
したおかげで、時間SFの設定は粗方固められてしまったかのように思える。
そういう意味では歴史的な作品なのである、エポックなのである。
作中のパラドックスが今一だったりするのも、優しくスルーするべきであろう。
何と言っても始祖なのだから。SFファンの半分は思いやりで出来ている(違)。

時間SFの醍醐味である“歴史のif”や“歴史上の有名人物との交流”もバッチリ
網羅されている・・・と思いきや、第一作の登場人物がいきなりアレ、アレ過ぎ!
アドルトン?チャリングクロス?・・・そう、言わずと知れたあの諮問探偵なんである。
いいの?っていうか、歴史上の人物じゃないじゃん!?
アンダースンのシャーロキアンぶりは有名だけど、まさかこのシリーズの第一作が、
いわゆる『語られなかった事件』の一エピソードになっているとはねぇ。
広角的に見ると、コナン・ドイルがいなければ、タイムパトロールも存在していなか
ったのかもしれない。凄い時空の相関関係・・・。

本国ではシリーズ化されるほど人気で、現在四作品が発表されているらしい。
だのになぜか翻訳されているのは、一冊目の本書と、四冊目の『タイム・パトロール
時間線の迷路』だけなのだ。
題材が題材だけに、まさか何かのパラドックスでも生じているのか。
・・・んなわきゃないか。とりあえず何も考えずに楽しむべき一冊なのであります。
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