『堪忍というものは、身を守る上で第一に必要なことです。どんな武芸であっても、堪忍を持たなくてはそれを覚えることも
ままなりません。殊に一国を治めようと思う身分であれば、いっそう心がけなければならないことです。

天道に叶うのは、身の我儘をいたさない堪忍です。
地の理に叶うのは、先祖からの一郡、一域を失わないための堪忍。
人の和を得るのは、自分の気ままを出さない堪忍です。
その他、身体の尽くで、堪忍を用いることが大切なのです。』

慶長17年(1612)2月25日付、徳川家康が、秀忠の正妻崇源院(江)に宛てた教訓上の一節である