立花宗茂が十三歳の時、年始のある日のこと。

宗茂が山中を歩いていると、道には栗の毬が満ちていた。
宗茂はこれを取り去るように命じた。

すると、家老の小野和泉(鎮幸)は毬を取って掌にのせ、

「こんなものがどうして人を傷つけられようか」

と言うと、毬を揉み潰してしまった。

――『日本智嚢』