安積覚兵衛敵の傷兵を慰む

小笠原氏の兵に安積覚兵衛という者がいた。
関が原の戦いにて敵の首級を五つまでも斬り取り帰ろうとしたとき、
道で敵兵が弾丸に当り痛み苦しんでいる所を見た。
覚兵衛は大いに哀れみの心を起こし、懐中より用意の薬を取り出してこの敵に与えた。
敵兵は涙を垂れて深くその徳を深く感謝したという。(武人百話)