永禄十年、両川は織田軍に対し十死一生の戦を挑もうとしていた。

そのような時に三沢為虎が羽柴秀吉に通じているとの流言があった。
話を聞いた吉川元長は直ちに為虎の陣に向かった。

元長は為虎の側まで迫り、座して曰く

「あなたが秀吉と通じているとの噂だが真実か。真実ならば
今すぐ私の首を刎ねて秀吉に送るがいい」

これに為虎は大いに驚いて、

「まさか!事実無根の讒言です!」と言うと、直ちに誓紙を献じた。
この元長の行動によって将兵の動揺は収まった。