戦国ちょっと悪い話32
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2012/07/16(月) 23:47:52.71ID:LdB3vkF6餅が間食に・携帯食にと、年中作っておくのが当たり前だった時代に『米の費えが、かさむ』と
正月以外は餅つきを許さない、という有様だった。
若党八人、中間等二十数人、下女等十数人を使い、若い者も多い右近の家中がそれで収まるはずもなく、
見かねた右近の妻が用人の一場太兵衛に命じて、深夜二時ごろにコッソリ餅をついて配っていた。
さて、右近は毎朝五時に起きて支度し、六時に食事、家内の所用・指示を済ませて八時に登城、という
規則正しい生活を送っていたが、ある日のこと、餅をつく音に気づき、深夜目覚めてしまった。
「太兵衛よ、あれは何の物音じゃ?」
「・・・ははっ、あれは中間どもが、薪を割る音にございます。」
「こんな遅くまで働いておるとは感心だのう。中間に酒を振る舞ってやれ。猪口で三杯、な。」
太兵衛に振る舞い酒を命じた右近は再び眠ると、翌朝はいつも通りの規則正しい生活に戻り、登城していった。
「太兵衛、旦那様はもう、ご登城されましたか?」
「はっ、奥方様。」
「よろしい。では、あとで皆に酒を振る舞ってあげなさい。茶碗や木椀で、ね。」
「はっ、奥方様。」
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