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戦国ちょっと悪い話27

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0001人間七七四年2011/07/12(火) 22:18:10.41ID:tSU9HVMm
戦国のちょっと悪いエピソードを挙げていこう

戦国ちょっといい話・悪い話まとめブログ
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書き込む際にネタがかぶっていないかなどの、参考にしてください

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鎌倉・室町 ちょっといい話・悪い話
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このスレの武将などに対する愛称等の、用語解説はこちら
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逸話に対する過度の真贋論争、揚げ足取りなどは、無駄に荒れるもとになります。
そのような議論はこちらでお願いします
【真?】戦国逸話検証スレ【偽?】
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/sengoku/1196778610/
02581/22011/08/02(火) 05:03:49.02ID:lr5r6NgA
黒田長政の家臣に、下野九兵衛と言う者があった。彼は大阪の蔵元に召し置かれ、江戸や国元で必要なものを
上方にて調える役目をしていた。そんな久兵衛が国元に帰った時のこと。家中のものたちの集まる御前において、
長政からこんな事を尋ねられた

「上方にては私のことを、どのように取り沙汰しているか?」

久兵衛これに「いえ、何という取り沙汰も承っておりません」と答えたが、長政「人である以上、善悪など言わないと
いうことは無いものである。その方を上方に置いたのは、そう言った町人たちの評判も聞いていきたいため
だったからだ。それを聞いていないというのは、緩がせ者ではないか!」と叱りつけた。
ところが久兵衛、これにカッとしたのか言い返した!

「殿様は軽薄である!…京童共はそう言っていると聞き及んでおります。ですがこんなたぐいの事は意味のない
ことだと思い、申し上げませんでした!その他にはどう言った評判も聞いておりません!」

が、長政はこれを聞いて激怒した
「口幅ったいようだがこの筑前(長政)に、軽薄の気持ちで世を渡る覚悟は一切無い!それを、なんという悪しき
評判であろうか。なんと腹の立つことだろう!」

その評判が久兵衛のせいであるかのように、より一層叱りつけた。久兵衛は「無益のことを言ってしまった…」
と顔を赤くして汗を流している。…と、

ここに口を挟んだのが家老・井上周防守之房である。
「久兵衛、よくぞ申し上げた!京童の言うように、殿は間違いなく御軽薄である!」

長政は当然これにも腹を立てた
「何だと周防!わしを軽薄ものだと!?全く信じられない!不遜ながら私は軽薄ではない!」と怒鳴ると
大脇差に手をかけ今にも斬りかかりそうな目付きで睨んだが、井上は少しも怯まず、長政の挙動を用心する風でもなく、
普段と変わらない風情で語りかけた

「殿がどれだけ御腹立になっても、御軽薄であることには間違いありません。」「理由を述べよ!」「…は。
先ず、御心を静められ、その上でお聞き下さい。

我が黒田家の、江戸の御出頭衆や御老中が御前において良い働きをしている間は、殿は彼らをまるで神仏のように
崇め敬せられます。そして彼らの働きにどんな報酬を与えても惜しくないかのように、不断に残るところ無く
お心遣いをされます。今の世はそのように良い働きをする家臣がいなければどうにも上手く動かぬのですから、
殿がそうなさるもの御尤もだと、私もそう思います。

…ですが、さて、そういう者でも殿の意に沿わず一旦御前を下げられれば、殿はそのまま打ち捨て遠ざけられ、
その者が死んでも、彼の息子たちに何の心遣いもなく、全くお構いされることはありません。
殿、解っているでしょうが、これは誰々の事ですぞ!」

と名指しして言えば、長政はその理に屈しながらも主人に対して何たる物言いかとさらに腹を立てて叱りつける。
が、井上は事ともせず「いかように腹を立てられても、殿の今ような御作法では、軽薄の悪名は止みませぬぞ!
殿は武儀を始めとして他の事が能くお出来になるからこそ、その身の御傷にはなっていませんが、仮にそれらが
普通程度なら…、まあ、とても一人前にはなりませんな!」

井上周防、言いたい放題である。本人を前に。
この主従の口論に居合わせた老若の家臣たち、すっかり興ざめをし、大事が起こるのではないかと冷や汗を流しながら
押し黙って聞いていると、ここに衣笠因幡と申す老臣、彼も譜代であり、功の入りたる者として三千石を知行し、
中老並みに召し使われ、年寄たちの座にも心やすく列するほどの者であったが、これがしたたかに大声を発して
立ち上がった!
02592/22011/08/02(火) 05:06:54.98ID:lr5r6NgA
座の人々これに肝を潰し、この老体は気でも違ったのかと不気味に思い、長政もまた不審に思ったが、誰も彼の発言を
止めようとしないので、衣笠は涙を拭い、2つ3つ大きく息を吐いてから、叫んだ!

「さてもさても目出たき御事かな!!この場に居る老若も皆、同じように思うだろうが、殿様がこれほどご機嫌悪く
立腹なされているのは、近年見たことがなかった。とこどが、それに全く臆する景色もない、周防殿の只今の
申し上げよう、臣たる者、いつもその真似であってもさせたいものである!

その身の不利益であることは解っていても、主君の御為ならば一命を捧げかねない周防殿のこと。
たとえ御手討にもされるならされろ、命は軽いと存じ定めたる御覚悟、誠に神妙である。
申し上げていることは、はっきり言ってけしからぬ内容だが、命を投げ出した覚悟、天晴良き臣下かな!

殿!今の世にこのような臣下を持たれた大名衆はおりませんぞ!偏に御家長久の基であります。
そしてあの周防殿、他家にはあるまじき良き臣下を、殿の意に逆らうからと言って、彼をお側から遠ざけ
御為良き事を申し上げられない様にしてしまえばそれは、あのような家臣が無いことよりも劣ります!

さて、私が愚案を廻らせて見たところ、周防殿の言葉は彼の心から出たものではなく、皆殿様の御心の内から
発せられた物だと思い至りました。これも又、御家長久の第一です。目出度い事ではありませんか!
老いも若きもこの事を頼もしく思って、能くご方向仕れ!」

長政、これにすっかり毒気を抜かれたか、衣笠の言う事を素直に尤もだと思い
「因幡が申すように、主を諫め意見をする人間を持たない家は、悪いことが多いと度々思う。
わしが若い頃、心任せに仕置きを申し付け、まあ、自分では良い仕置を申し付けたと思っていたのに、
栗山備後や井上周防などがそれを押さえて意見をし、わしの思うようにはさせてくれなかった。
当時は殊の外無念に思ったものだが、後に思案してみれば、わしの分別が間違っていたことに気付いたものだ。

若い頃は気も強く、第一無分別で我儘を申し付けたいと思うものだが、老巧の意見が入れば入るほど、
自分の思う事は採用されないものだ。

能き人を持ちたることこそ幸いである!
最近は、たまさかの在国の間、楽をするのが得だと思って、近年は公私のことも年寄どもや(小河)内蔵允に
任せて、ずいぶん楽をしているよ。」

と、そのあとは終日、機嫌よく語ったそうである。
(古郷物語)

いい話といえばそうなのですが、長政があまりに言われたい放題なのとあまりにうまく丸め込まれすぎてる
気もするのと、そもそもこういうのを平然と記録しているという長政へのあまりな気の使わなさに少し涙したので
こっちにw
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