戦国ちょっといい話27
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0863人間七七四年
2011/07/26(火) 13:24:07.98ID:bE4QyERVであり、また仕物(命令で人を斬ること)も4度、このうち2人は豊臣秀吉が黒田如水に仰せ付けられた者を
利安が実際に斬った。
これほどの戦働きをしたが合戦で怪我を負ったということはなく、ただ一度、朝鮮の役で左の小脇に矢がかすり、
血が少し滲んだ事のみが例外であった。
このように大剛の栗山利安であったが、普段は自身の戦の話など、まるですることの無い人であったという。
時に彼は81歳で死ぬ。その前日のことである。
利安はすでに、呼吸をするのがやっと、という状態であり、子どもたちをはじめとした看病をしている者たちは皆、
枕元でその時を覚悟していた。と、この時
利安は不意に、カッ目を見開いた。そして
「馬だ!鉄砲だ!
あそこに敵が出たぞ、味方の人数をここに出せ!あちらに出せ!
鉄砲をあの山に上げて撃たせろ!
敵は馬で駆け寄ってくるぞ!味方は馬から降り芝生に座れ!采配次第に、いかにも静々と懸かれ!」
うわ言に、合戦での指揮を叫び始めたのだ。
看病の者たちは皆大いに驚いたが、そのうちの一人が利安の耳元で
「かしこまり候」
と答えれば、おとなしくなり再び寝入った。
栗山利安はその一晩の間に5度合戦の指揮を叫び、夜明け頃、儚くなった。
戦国の世に生まれ育ったいくさ人の、臨終の模様である。
(古郷物語)
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