戦国ちょっと悪い話25
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0532人間七七四年
2011/04/07(木) 23:09:22.94ID:uz9MhTJD天正11年(1583)の賤ヶ岳の後、秀吉に協力した丹羽五郎左衛門尉長秀は、越前、加賀に123万石と言う大領を得た。
が、その頃から長秀は病と称し領地にひきこもり、大阪の羽柴秀吉のもとに現れることが無くなった。
秀吉はこれを大変に気にした。「本当に病なのだろうか?もしや領地が少ないと不満なのではないだろうか!?」
そこで密かに、重臣の蜂須賀彦右衛門正勝を長秀のもとに派遣した。
正勝は長秀に対面すると、秀吉の言葉を伝えた
『お具合はいかがでしょうか?あなたから受けた御厚恩は今も大変重く受け止めています。
そうではありますが、未だ紀州あたりの情勢も不穏であり、これらについて、相談のご相手になって頂けないでしょうか?
今後もあなたから、ご指南ご指図を承りたいのです。
聞くところによすとご病状も、少々良くなられたとのこと。早々に御上洛なされることを、お待ちしております。』
しかし秀長これに
「病状が未だ心もとなくてな。このまま国元で療養いたす。」
とだけ返事をした。
この報告に秀吉は大いに困惑した。秀吉のもとには中国や筑紫、あるいは佐々成政などの不穏な知らせが
次々と入ってきている。ここで丹羽長秀の支持を失えば、それに対応できないどころか、ようやく打ち立てた
彼の天下もたちまち崩壊するだろう。秀吉は起請文を書くと、それを蜂須賀正勝に持たせ再び長秀のもとに遣わした。
今度正勝の伝える秀吉の言葉は、こうであった
『今、私が天下を得たのは、ひとえに五郎左衛門尉(長秀)殿のおかげです。である以上、この上は天下を、
五郎左衛門尉殿と代る代るに持つ形にしたい、と考えています。
あなたが上洛されれば、その後のあなたの領地に秀吉が入りましょう。秀吉は大阪の城と天下を、あなたに
お渡しいたします。
互いにあれほど苦労して得ることが出来た天下です。それを他のものに渡すようなことに成れば、
惜しんで余りありません。
五郎左衛門尉殿に私が仕え奉れば、もはや日本国中に天下に望みを持つものは居なくなるでしょう。』
この書状に秀吉の起請を添えて、正勝は秀長に差し出した。
丹羽長秀はこれに涙を流して感激し、
「病気は嘘ではない。だが、早速上洛しよう。」
と、ついに病躯を押しての上洛を決意した。
秀吉、丹羽長秀に天下変わり持ちを提案する、というお話。
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