一応良い話ではあるのだがw


肥前有馬氏の家臣に、林田作之右衛門という、いかにも手際のよい者がいた。

ある時、この林田が鷹狩に出ているところに、人を殺して有馬家より退転する途中の者に出会した。
彼は林田を追っ手だと思い刀を抜き

「幸い良き相手である!さあ、勝負つかまつろう!」
と叫んだ。

ところが林田、驚くこともなく手元に鷹を据えたままこの男に

「人を殺し退く者というのは、何としてでも無事に立ち退くことが目的のはずだ。
そんな勘違いしたことを言わずに、さあ、早く逃げなされ。
何の関係もない私が、どうしてあなたの相手をせねばならないのか?」

これにこの男もそうかと思い、そこから去ろうと振り向いた、その時

林田作之右衛門、後ろから一刀のもとに討ち捨てた。


又ある時、家中の走衆(徒士組:下士官に当たる)の中に罪を得て追っ手がかかり、それから逃げる
者があった。と、その彼が逃げるところに林田作之右衛門が行き当たった(よくこういう目に合う人である)。

彼は当然林田を追っ手と見て斬りかかる。だが林田、彼ではなくその後ろの方に向かって叫んだ

「やあ追っ手の衆よ!侍を鉄砲で撃つなど、して良いことではないぞ!」

自分が鉄砲で狙われている!?この走衆の男、驚いて後ろを振り返った、そこで

林田作之右衛門、抜討にこの男を斬り倒した。


後に林田は、これらの事件のことを聞かれこう答えたという

「だいたいの場合人と言うものは、ああやって討つものよ。」


この人がというよりこの時代、騙し後ろから斬りつけてもオッケーだったらしい事がよく解るお話