義龍は、どうせ桶狭間から1年後には死んで、美濃は内部崩壊する。
伊勢は、せいぜい北畠氏が最大規模でしかない小豪族ばかり。
尾張しかない成り上がりの信長ですら切り崩せたのだから、駿河・遠江・
三河・尾張4か国の大軍を率いる名門今川の前には簡単に調略されて
いくだろうね。

尾張を獲ってしまえば、美濃・近江・伊勢・伊賀・甲賀には、国持ち規模の
戦国大名は義龍しかいない。
さらに斎藤と戦うなら、浅井氏は味方になるだろう。
各国の国人衆は、積み木崩しのように今川に傾く。
あからさまに在地領主から領地を奪う侵略ではなく、室町幕府救済を
御旗にした上洛のための調略活動であれば、誰もそれほど強く抵抗しない。
信長でさえ、美濃を獲ってから上洛までに1年しかかかっていない。

むしろ、信長がそうであったように、同盟または従属した浅井・北畠らを
どう処遇するかが難題。
一度支配した地域で叛乱を起こさないように、うまく今川支配権を浸透させて
いかなくちゃならない。
そして、後に起きる三河や長島の一向一揆のほうが、今川にとって強敵だろう。
もっとも、三河一揆のほうは今川直轄軍を投入することで、松平元康の
西三河における権限を弱める良いきっかけに使えるかもしれない。