ある時、柴田勝家、佐久間信盛、森可成といった、織田家のお歴々がうちそろって
博打を打っていた。そこに、森可成の家臣、武藤五郎右衛問が、自分にも打たせてくれと
やってきた。

柴田勝家が「それは構わんが五郎右衛門、我々が打つ博打は値がはるぞ?
おぬし、銭は持っておるのか?」と聞く。

武藤「三百貫文までなら払いましょうぞ。」

するとその座の者はどっと笑った。
「おぬし、森の家臣の癖に、主君よりも銭を持っておるわけがないではないか」

武藤は気にせず、さらさらと何か書き始めた。そこには

「自分が負ければ、可成に断りを入れた上で、一年間負けた相手の下に出向いて
三百貫文分まで無給で奉公つかまつる」