宇喜多秀家の従兄弟で、関ヶ原のあと津和野の大名になった坂崎直盛のお話

ある時客があり、直盛は鯉を料理して出した。それが大変美味だったので、客は

「すばらしい鯉でした。もっと味わいたいので、この鯉の頭も吸い物にして出していただけませんか?」
と頼んだ。

直盛は料理人にそれを命じた。が、いつまでたっても吸い物が出てこない。
そこで台所に行ってみると、料理人が先に、その鯉の頭を煮て食べてしまっていたことがわかった。
激怒した直盛は、その場で料理人を成敗した。

やがて客間に戻ると、「こう言うわけで吸い物は出てきません、大変申し訳ない。
代わりに、これを肴にしてください。」

と、客の前に、料理人の首を差し出した。