【本能寺の変】明智日向守光秀【山崎の戦い】
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0022人間七七四年
2007/02/17(土) 15:45:34ID:TvcRqIPA虐める奴と虐められる奴の人間関係にはほとんど宿命的なものがある。虐められる奴は
何をしてもその原因を作り出すだけに終わり、虐める奴にとっては、相手が何をやってもなおさら虐めたくなる、
そういうものだ。
こんな逸話がある━━━ある酒宴の席で、信長が七杯入りの大杯になみなみと酒を注いで光秀に一気飲みを強いた。
多分、光秀が下戸だったからであろう。光秀が辞退すると刀を抜いて、酒が飲めぬならこれを飲めと言って脅した。
ここで恥も外聞も無く土下座して、堪忍してくださいと言ったら、信長も散々嘲笑ってお終いにしたかもしれないが、
悪いことに光秀は飲んだ。自尊心が許さなかったからであろう。信長は命根性の汚い奴と言って
罵りながらも欲求不満に陥って、次はもっと酷い目に合わせてやろうと考えたに違いないし、
光秀は光秀で腸の煮えたぎる思いだったに違いない。
光秀の教養が気に食わない、したり顔が気に食わない、祝辞を言う時のなんということのない一言が気に食わない、
城を落とす為に母親を差し出したのが気に食わない、和議を結ぶ算段をしたのが気に食わない、ということになるのである。
つまり、原因はそんなところにあるのではない。光秀がそっくりそのまま信長お気に入りの秀吉の真似をしてみた所で、
やっぱり虐められただろう。信長の草履を懐に入れて暖めていたのがばれた光秀を想像してごらんなさい。
どんな目に合わされたものか、想像するだに恐ろしい。
これはもう徹底した相性の悪さに由来するものであって、光秀は信長に仕えるべきではなったし、
信長も光秀など使うべきではなかったのだ━━━こういう非建設的な人間関係は、虐められる側はもちろん、
虐める側のツキも落とす。だが、もっとまずいことに光秀は有能な男であり、純粋に能力だけを評価することも出来た
信長には、到底捨てるわけには行かない駒であった。それに、恐ろしい事だが、
やる事為す事悉く気に触って虐めつけたくなる相手、言わば常時自分の残忍さを挑発し、ぶつける事の出来る相手を
手放したりできるものだろうか。ことに、信長のような脆弱な自我の持ち主の場合、この手の存在によって
己が強者の立場を確認していなければ不安だったのではないか。
もちろんこんな関係が未来永劫に続くはずもなく、当然のように犠牲者が牙をむき出して相手の喉首に食いつく時が来る。
本能寺で信長がのうのうと寝ていたのは、信長だけではなく光秀にとっても不運だったに違いない。
彼にはその後の天下を維持する力量など、そもそもなかったからである。
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