隆景の逸話

 EPISODE1
 ある時、黒田如水が隆景に質問した。
 「私は勘によって物事を判断するため、間違いを起こすことがある。私に比べ、小早川殿の
 判断には狂いはない。何か秘訣があるのでしょうか。」
 隆景はこれに答えて
 「おっしゃるほどのことではありません。私は黒田殿ほど鋭くありません。物事を考えに考え
 抜いたあげく結論を出すしかありません。黒田殿は頭が良いため、素早く決断なさる。
 そのために情報に誤りがあった場合に判断が狂われることがあるのでしょう。」


 EPISODE2
 隆景は、家臣に対して次のように諭したという。
 「私に意見されて、直ちに請合う者は、その意見を保つ者は稀である。私の意見を良く聞き、
 自分で考え、合点がいかないことは一問答も二問答もしてみて、もっともと合点をした者こそ
 意見を用いる者である。皆にもそうなって欲しい。」


 EPISODE3
 右筆に火急の用件を書かせる時に
 「急用である。静かに書け。」と諭したという。


 EPISODE4
 如水の子である長政も「分別」について隆景に教えを乞うた。
 「分別に肝要であるのは仁愛です。仁愛により分別すれば万が一、理に当たらないことが
 あっても、そう大きな誤りにはならない。逆に才智が巧みでも仁愛のない分別は正しいとは
 言えないでしょう。」と答えたという。


 EPISODE5
 隆景の人生観を語る言葉として次のような深い言葉が残されている。
 「一生は夢の間なれば」