
平井伸治知事(以下、平井) 新型コロナウイルスが中国で注目を集め始めた頃から、大きな影響がいずれ来るかもしれない、先手を打つことができればと考えてきました。
実は私たちにとって、2009年に流行した新型インフルエンザ対策が記憶に新しいんですね。当時、鳥取県内にも感染が広がりました。
「これは始まると早いだろう」とにらんで、1月21日から新型コロナウイルス対策の組織を鳥取県庁に立ち上げました。
新型インフルエンザの時、我々が取り組んだ感染症対策をベースにして考えていこうと。
県内には高齢者の方が多く、基礎疾患を持つ方もいらっしゃる。そうした方々を抱えながら、病院の数は決して潤沢ではないんです。
必要数はあると思うのですが、絶対数がやはり大都市よりは少ない。
「よほど準備をしてかからないといけない」という危機感が当初からありました。
――新型コロナに感染した患者さんを受け入れることができる病床(感染症指定病床)数を12から322(4月21日現在)まで引き上げることができたのは、なぜですか。
平井 日を追って感染が拡大していくなか、2月20日に鳥取県医師会をはじめ医療関係者らとの対策会議に私も乗り込みまして。
「これから医療体制をしっかり作らなければならない。医師会も協力していただきたい」「新型インフルエンザの時のように、院内感染対策をしっかりやりましょう」という2点のポイントをお伝えしました。
正直、最初から上手くかみ合ったかは分かりません。
「うちの病院に新型コロナの人をもってこないようにしてほしい」という率直な意見もあったようです。
しかし、海外・日本の事例を見ても、無症状の感染者の方が多くいます。
私から、「ここは病院側が万全の態勢をとって院内感染を防いでいくべきではないか」と申し上げました。
平井 ただ意見を言っているだけではしょうがないです。
院内感染を防ぐためには防護措置も必要ですから、県から医療機関に、新型インフルエンザ流行を機に備蓄した約23万枚のマスクと消毒液を緊急放出しました。
我々も医療機関を支えるぞ、ということを実際の行動で示していこうと。
そういうなかで、ベッド数を増やしていきたいという話もしていたんですね。
医師会や病院関係者、保健所の幹部などを回って、了解を取っていきました。
病院のベッドを提供してもらうには、このフロアを空けてとか、動線をどうするかとか、調整が大変なんですね。
当初の12床から約200床までに約1カ月かかりました。現在は322床です。各所との信頼関係のなかで、何とかそこまでいったんじゃないかなと思います。
https://bunshun.jp/articles/-/37406?device=smartphone&page=2
※去年4月の記事です