
「高畑勲監督解任を提言したあのころ」――鈴木敏夫が語る高畑勲
制作の初期段階では、 ワンフロアの片側に『かぐや』班、もう片側に宮崎班がいました。かぐや班では、絵描きの田辺くんが朝早くに
来て、ひとりでせっせと絵を描いていました。高畑さんがやって来るのは決まって午後。そして来るなり、田辺くんの描いた絵を見て、
こうじゃない、違うだろうと怒りだす。
僕は毎日それとなく観察していて、おもしろいことに気づきました。高畑さんが怒りだすと、宮さんがさりげなくかぐや班の後ろに
行って、その内容に耳をそばだてているんです。そして、翌日の午前中、田辺くんのところに行って、「パクさんが言ったのはこういう
意味なんだ。だから、こういう構図で描かなきゃだめだ」と絵を描きながら説明しているんです。「でも、おれが言ったということは
パクさんには言うなよ」。自分の仕事そっちのけで、そんなことを毎日やってるんですよ。ところが、田辺は田辺で頑固だから、その通りに
描かない。
https://bunshun.jp/articles/-/8407