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今回の景気回復局面は以前より物価が上がるなどして、年金生活者らの暮らしに影響が出た。さらに現役世代の賃上げは物価の上昇に追いつかなかった。

実際、物価変動の影響を除いた実質賃金の伸び率は2013〜18年の間、16年と18年のほかは前年比でマイナス。
プラスの18年も調査方法の変更でかさ上げされた結果だ。
14〜16年には「実質民間最終消費支出」が初めて3年連続で減少している。
 景気動向を検証した研究会座長の吉川洋・立正大教授も回復期の特徴を「賃金が上がらず消費があまり伸びなかった」と説明した。

経済協力開発機構の17年調査によると、低所得世帯の占める割合「相対的貧困率」は、先進国の中で日本が米国に次ぐ2番目の高水準。
非正規雇用の占める割合が上昇し、賃金が伸びにくい環境になっている。
 第一生命経済研究所の熊野英生氏は「コロナ禍もあり、企業が利益を賃金に振り向けない傾向は続くのではないか」と見通す。

現状の景気見通しはコロナの影響により、20年度に過去最悪となる4・5%のマイナス成長を見込む危機的な状況。
回復期に経済政策に頼り続けた結果、日本経済の実力は高まらず、安倍首相が繰り返す「V字回復」は見通せない。
 ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「限界に近い形で政策を続け、コロナ対策の余力が乏しくなった」と指摘。
「景気が良いうちに構造改革を進めるなどして、経済の実力を高めておくべきだった」と話す。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/45989