――虚淵玄さんの待望の新作はリアルにロボットを描くアニメーション『OBSOLETE』です。
この企画は、最初にどのようなかたちで立ち上げられたのでしょうか。

虚淵 ずいぶん前になるのですが、あるときに突然の思い付きで企画書を書きまして、
グッドスマイルカンパニー(フィギュアメーカー)さんに持ち込んだんです。
昨今のロボットのプラモデルやアクションフィギュアは直立している姿が基本になっていて、
膝を曲げたりすると途端に格好良さが損なわれてしまうのが多くて。

そういったポージングができるロボットのアクションフィギュアやプラモデルを作りたい、
その商品化につながる映像作品という内容でした。
フィギュアを作るためにロボットの関節構造まで考えたスケッチを企画書に付けて、提案したんです。

――じゃあ、立体化ありきの企画だったんですね。

虚淵 立体化も目標のひとつではありましたが、立体物でも無理のないロボットの
アクションを映像で観てみたいという思いもあったんですよ。
たとえば、ロボットアニメでは設定上では手持ちの銃の予備弾倉を装着していても、
いざ立体物になると構造上そこに指が届かなかったりすることが多い。
そういう演出上の妥協を可能な限り廃したアニメが作れないですかね、といった話もしていました。

――近年のロボットアニメをご覧になっていかがですか?

虚淵 最近のロボットアニメは、壊れないんですよね。まるで美しい神様の象徴のように描かれていて、
使い捨ての兵器のように消耗されていくものじゃなくなっている感じがありました。
ロボット自体も美しく、込み入ったデザインになっていて、ちょっと破損しただけで
動きに支障をきたしてしまいそうで。ロボット観のターニングポイントを感じましたね。
自分のロボット観と、世の中のロボット観がズレ始めたのかなと。