
http://news.livedoor.com/article/detail/15181398/
伊東:そのとおりです。AI社会の到来によって、医者、弁護士、会計士などエリート職種とされてきた仕事の多くが消滅の危機にさらされるでしょう。
AIの凄さを示す事例には事欠きません。たとえば、20人の検事が6カ月もかけて見つけ出した不正の証拠を、AIはわずか20分で発見してしまったといいますし、優秀な弁護士が1日かけて見つけた契約書の不備を、AIはものの数秒で見つけ出してしまったといいます。
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これからの仕事は「ホワイトカラー」と「ブルーカラー」という分類ではなく、「クリエーター」と「サーバー」という分類になるといわれています。
クリエーターというのは何も芸術家とかではなくて、「プログラムコードを書く人」という意味で使われています。その一方で、サーバーというのはサーバント(=召使い)であって、「規則に基づいて、決められた仕事をこなす人」のことを指しています。
中原:今の日本の大学の入試制度や企業の採用方法では、そのような状況に対応するのが難しくなりますね。大学も企業も大きく変わっていかねばなりません。
未来の社会では、AIと闘ってはいけない
伊東:今の日本の大学進学率は7割程度で、これはアメリカの3割と比べて非常に高い数字です。大学を卒業すれば、会社・良い仕事に就けて、高い収入も期待できる。そういう考え方から、みんな大学に行くのです。
ところが、この前提が大きく変わろうとしています。つまり、AIが普及することによって、最もダメージを受けるのは高学歴者たちになるのは明白で、これは大きなパラダイムシフトが起きることを意味しているのです。
そのような大きな変化が本格的に起こるまでに5年程度の時間があるとするならば、企業は社員の意識改革に急いで取り組む必要があります。
個人の側からいえば、良い会社にいるから安心、という社会が変わろうとしているのです。個人は、継続的に自己研鑽し、スキルアップして「個」で闘っていく力を持っていかないと、結局は企業からも捨てられてしまう、そういう意識改革をしていかなければなりません。
アメリカではかつて、コンサルタントといえば花形職業で、これまでは、パワーポイントを使ってスマートなプレゼンができれば良かったのですが、今では「プログラムコードを書けなければ使いものにならない」とまでいわれています。
つまり、単にコンセプトを提示するだけではダメで、それをハードウエアやソフトウエアに落とし込むことができなくては商売にならないということです。日本でも最近、プログラミングを大学入試に入れるといっているのは、そういった背景があるからです。
中原:そう遠くない将来に到来するAI社会に対して、若い人たちに向けて何かアドバイスをいただければありがたいです。
伊東:私は若い人たちに「AIと闘うな」といっています。AIと闘って勝てることはないですから。将棋の藤井聡太7段のように、「AIを利用しなさい」とアドバイスしたいですね。