テンセント、ゲーム市場の「王者」は難攻不落

 テンセントは今年1〜9月のゲーム収入がほぼ130億ドル(約1兆4700億円)に達し、世界の競合他社に大きく水をあけた。例えば、ソニーのゲーム収入はテンセントの半分程度にとどまった。
もちろん、テンセントの最大の強みは中国での支配的地位だ。時価総額4800億ドル規模の同社は中国のビデオゲーム市場の半分を握っている。
テンセントのモバイルゲーム「オナー・オブ・キングス(王者栄耀)」を毎日プレーする人は5000万人に上る。調査会社パシフィック・エポックによると、1〜9月はこのゲームだけで25億ドル前後の収入を稼いだ。

 テンセントの成功の基本は中国で最も人気のある通信アプリ「微信(ウィーチャット)」と「QQ」を所有していることだ。
これらアプリの月間アクティブユーザー数はそれぞれ10億人に迫っている。テンセントはこのネットワークを利用し、ユーザーに自社商品を売り込んでいる。
ゲームにソーシャルな要素を追加することもできる。例えばオナー・オブ・キングスでは微信やQQで友人とチームを組むこともできる。

 仕上げのスパイスは、キャラクター能力のアップグレードなどにゲームの有料アイテムを購入する「クジラ」と呼ばれる一部プレーヤーから得る利益だ。
ドイツ銀行の試算によると、中国の典型的モバイルゲームの利益に寄与するプレーヤーは全体の1割弱しかいない。この点を踏まえると、クジラの影響力は計り知れない。
無料でプレーするゲーム愛好家の基盤が大きいこともテンセントの収益には大切だ。クジラは対戦相手が多いほど、ゲームの追加アイテムに料金を支払う傾向がある。

 中国が国内企業を支援するような規制を定める傾向があることも重要な支援要素だ。海外のゲームメーカーが中国でゲームを配信するには、中国企業と提携する必要がある。
規模や配信能力を考慮すると、テンセントはうってつけの提携先となる。同社は米アクティビジョン・ブリザードの大人気ゲーム「キャンディークラッシュ」を中国で配信している。

 テンセントは新しい人気ゲームを手掛ける競争相手が出現したとしても、そうした規模で下回る他社を素早く買収できる。中国国内で市場の支配に役立つような新ゲームが見当たらない場合は海外に目を向けている。
昨年はフィンランドのゲーム開発会社スーパーセルの株式84%を86億ドルで取得した。調査会社Newzooによると、スーパーセルが開発した「クラッシュ・オブ・クラン」は今年、9月まで毎月、中国のアンドロイド端末向けゲームのトップ10に入った。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20180111-OYT1T50000.html

>中国安徽省の蕪湖市で世界初[15]のエレクトロニック・スポーツによるまちづくりを進めており、ゲーム大学や競技場などを建設している[16][17]。