
帝国データバンクが10月10日に発表した「パチンコホール経営業者の倒産動向調査(2017年1〜9月)」によると、
2017年のパチンコホール経営業者の倒産件数は9月時点で16件となり、残り3ヵ月を残して早くも前年の13件を上回った。
倒産件数が前年を上回るのは2014年以来3年ぶりとなる。参加人口の減少が続くパチンコ業界であるが、2018年2月には出玉規制の強化も予定されており、市場環境には逆風が吹き続けている。
■3ヵ月を残し、倒産件数、負債総額共に前年越え
調査によると、2017年のパチンコホール経営業者の倒産件数は9月時点で16件となっている。倒産件数が前年を上回ったのは2014年以来3年ぶりとなるが、
2017年はまだ3ヵ月を残しており、このペースで倒産が続くと2014年の25件以来の20件超えとなる可能性もある
負債総額で見ると、2017年は9月時点で198億1800万円となっている。こちらも残り3ヵ月を残しているが、早くも2013年以来4年ぶりの前年(102億5500万円)超えとなっている。
負債総額については1月に倒産した岡山県に地盤を置くゲンダイグループの大型倒産の影響が大きい。中核子会社となるゲンダイの負債総額は105億円となっており、
2007年以来10年ぶりに負債100億円以上の倒産が発生した事となる。一方で小規模倒産も増加しており、負債総額1000万〜5000万円未満の倒産件数は前年の1件を大きく上回る8件となり、件数では全体の半数を占めた。
パチンコ業界の倒産件数はピークであった2007年、2008年にそれぞれ72件を記録したが、その後は減少の傾向が見られた。
2016年の倒産件数は13件に留まり、過去10年間で最低となっている。負債総額についても、2016年は2011年に次いで、過去10年間で2番目に低い数字となっていた。
今年は倒産件数、負債総額共に、9月時点で早くも前年超えとなっており、パチンコ業界を取り巻く事業環境の潮目が変わった可能性もある。
■縮小続くパチンコ業界 参加人口は20年で約3分の2に
警察庁の統計によると、パチンコホールの店舗数は1990年代後半には1万7000店前後で推移していたが、
2016年には1万986店となっている。店舗数は20年近くで約3分の2に減少した。
店舗数減少の原因はパチンコ参加人口の減少に伴う市場規模の縮小だ。日本生産性本部の発行する「レジャー白書2017」によると、
参加人口は1996年の2760万人から2016年には940万人になっている。ピーク時には3000万人に迫った参加人口はその3分の1の規模にまで減少した。
市場規模も同様に1996年の30兆700億円から2016年には21兆6260億円と大きく減少している。パチンコ業界を取り巻く環境は非常に厳しいと言える。
パチンコ参加人数の減少は度重なる法規制に加え、パチンコ以外のレジャーの増加が原因と見られ、
近年はスマホの普及等により、どこでもゲームを楽しめるようになった事も大きな影響を与えているようだ。
参加人口の減少が大きいパチンコであるが、参加人口1人当たりの年間平均来店回数は増えているという特徴もある。
「レジャー白書2017」によると、1996年には年22.5回であった平均来店回数は2016年には年29.8回にまで伸びている。
現在のパチンコ業界は一部のコアな利用者によって支えられているとも言えるだろう。
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