>>461の続き
 一見まともなように見えるが、首が捻れ、白目をひん剥いた状態でたたずんでいる女性。
 残虐極まりない光景であったが、そのせいなのか、それとも私自身が幼かったせいか、特に恐ろ
しさはなく、その姿の異常さ事態に無邪気に純粋に興味を持ち、立ち止まってはそれを珍しげに
眺めていたのだ。
「何みてるの?」
 母は尋ねた。
「・・・・わかんない・・・・」
こう答えるしかなかった。そうであろう。当時の私では今目にしている状況を言葉で正確に説明
出来る能力は無い。私は母に手を引かれながらも、自分の周りの”彼ら”に目線を向け続けた。
 生きているとは思えない・・・が、なぜか彼らには人格や意思の存在があるように思えた。
 しかし、何かを訴えているようには見えない・・・ただ一様にそこにたたずんでいる。
 そうしているうちにも、彼らの存在は少しずつだが、徐々に増えていった。
 今や公園内のあちこちに彼らはいる。座っているもの。立ちすくんでいるもの。生きている人間と
さほど変わらない姿の者もいたし、肉体が激しく損傷している者も多かった。