前衛書道:カーテン裏からお宝発見 静岡・沼津市役所
http://mainichi.jp/select/news/20140426k0000m040011000c.html
毎日新聞【石川宏】 2014年04月25日 17時59分(最終更新 04月25日 18時39分)


 静岡県沼津市役所4階特別応接室のカーテンの裏から、抽象美術家、篠田桃
紅(とうこう)さん(101)の前衛書道の壁画が見つかった。約30年前に
作品の前にカーテンをかけ閉め切ったため、いつしか職員も存在を忘れていた。
突然のお宝発見。市は見学を希望する人に見てもらうことにした。

 縦2.5メートル、横7メートルの大作「泉」。前衛書道の一種で、漢字か
ら受けるイメージを自由に膨らませ絵画表現として描く「墨象(ぼくしょう)」
と呼ばれる作品だ。「泉」という漢字から受けるイメージを膨らませて描かれ
たと思われる。

 1966年7月の市庁舎完成に合わせ、当時120万円で購入した。篠田さ
んの壁画は駐米日本大使館や東京の増上寺大本堂にもあり、京都御所や大英博
物館も篠田さんの作品を収蔵している。

 しかし沼津市は作品の前にカーテンを設置。そのまま忘れられていた。詳し
い経緯は不明だが、黒と灰色の作品が暗い印象を与えるため隠されたらしい。
発見の端緒は栗原裕康市長が親類から「篠田さんの作品が市役所にあるはずだ」
と知らされたこと。市職員が作品を“捜索”したところ、4月になりカーテン
裏から見つかった。カーテンで日差しやたばこの煙から守られていたため、汚
れや色あせがなく保存状態は良いという。

 約30年ぶりの再発見に、市は特別応接室が使われていない時だけ希望する
市民らに見てもらうことにした。問い合わせは市管財課(番号削除)。希望が
多い場合は公開日を決めることも今後検討する。

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画像:特別応接室のカーテン裏にあった篠田桃紅さんの「泉」