松田署が昨年11月、男性教諭を傷害の疑いで書類送検した際、男性教諭の同僚は「事件化されてしまうほどの
行為だったのか」と受け止めていた。同校の瀬戸成男校長は「行き過ぎた指導」と認めながらも、
「教員たちの間では戸惑いがあった」と打ち明ける。

 男性教諭の児童に対する行為は「体罰」との認識で共有されているものの、
関係者の間には「事件」として扱われることに違和感を抱くケースも少なくない。

 県教委は「けがをした事案でも起訴されないことが多いのに、けがが認められていない事案で起訴されるのは珍しい。
聞いたことがない」と指摘。略式起訴の罪状が「傷害」ではなく「暴行」であることを踏まえ、困惑している。

 ただ、男性教諭の行為は、県教委が昨年7月に体罰の具体的行為や教師の理想的指導方法などを示した
「体罰防止ガイドライン」の体罰に該当するとの認識。その上で、「教師に一定の落ち度はあったので、
重く受け止めたい」とし、当局の判断を見守るとしている。

 町教委によると、男性教諭と男子児童は以前から「指導上のトラブル」があった。昨年9月ごろには学校側も把握していたが、
瀬戸校長は「(男性教諭は)今まで大声を出したり手を上げたりするようなことはなかった」と説明。児童との関係については
「それほどの問題には至っていなかった」としており、学校側の対応をあらためて検証する意向を示している。

 学校側は体罰防止を徹底しつつ、「遠慮しすぎず、教師として信念ある指導を貫こう」と、指導を重ねている。(終)