紬「放課後ティータイムの消失?」
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0001以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/09(水) 21:17:25.35ID:AuMqLfeY0それは2年生の2学期、終業式も今や遅しとせまろうかとしていた日の放課後。私たちはいつものようにティータイムをして過ごしていた。
私が紅茶を用意し、唯ちゃんは早く早くと急き立て、そんな唯ちゃんを梓ちゃんが宥め、その間にりっちゃんはおふざけをして澪ちゃんにまた叱られている。
そんな光景を背中で感じながら、ああ今日もいつもの軽音部だなとあらためて実感する。
そして待ってるだろうみんなの元に今日も今日とてとっておきのお菓子と紅茶を、とっておきの笑顔で運んでいく。
唯「いいね! やろやろ! またうちでやろう!」
私は幸せだった。心からそう思っていた。
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2011/02/10(木) 00:11:48.03ID:hts5Mwh60律「うーん、なんて説明すりゃいいかな」
唯「もし、私が桜高に合格していなかったら」
梓「もし、私が軽音部に入部していなかったら」
澪「もし」
律「もし」
澪「そんな『もし』が沢山、沢山集まった」
――もし?
律「私と澪は、この世界では桜高には通っていなかった」
澪「私は文学部、律は軽音部を諦めて帰宅部になっていた」
律「それでも疎遠にならずになんだかんだ仲良くやってたけどな」
梓「私はジャズ研に入ってましたね。だけど肌にあってなかったみたいですけど」
唯「私はまた軽音部に入ってたね。ギー太ともまた会えた」
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2011/02/10(木) 00:13:38.69ID:hts5Mwh60梓「誰が願ったかはわかりません」
澪「だけど偶然こんな世界が生み出された」
唯「こういうのを神様の悪戯っていうのかな?」
悪戯だとしたらあまりにたちが悪すぎる。
律「こんな世界もありえたんだよな」
唯「でもムギちゃん凄いよ!」
律「ああ、それでもこうやってみんなをまた集めることが出来た」
梓「奇跡ですね!」
紬「それはみんなに会いたかったから」
本当に心から。
唯「だからそんなムギちゃんにご褒美があります! ぱんぱかぱーん!」
律「帰れるぜ、ムギ。元の世界に」
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2011/02/10(木) 00:14:40.25ID:hts5Mwh60梓「だけど良いんですか、それで?」
澪「みてみなよ、あのみんなの姿」
足元がまた明るくなる。
向こうの世界の、私を知らないみんなの姿がまた映し出される。
――――
「でも、楽しかったよね」
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2011/02/10(木) 00:15:17.65ID:Nz+fepdA00100以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:16:00.36ID:hts5Mwh60「うるさい! 思い出させるなって!」
「でもみなさんとの演奏、本当に楽しかったです。また演奏できたら良いのに」
「だったら、バンド!」
「うーん、どうする澪?」
「い、良いんじゃないか」
「だってよ」
「やったー! 梓ちゃんはどう!?」
「私もみなさんとなら喜んで。丁度外バン組めたらって思ってたんです」
「じゃあ、あとは」
「紬ちゃんだね」
――――
足元では今なお向こうの世界のみんなが楽しげに会話を弾ませている。
0101以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:18:50.11ID:zLGLPu1H00102以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:21:12.71ID:nJBvrxohP0103以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:21:27.31ID:tLC60RFA00104以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:25:06.96ID:/dtXzEjfO申し訳ない!
0105以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:26:25.20ID:hts5Mwh60唯「そうだよ、ムギちゃん。あっちだって楽しいよ、きっと」
梓「また前みたいにみんなでライブも出来ますよ」
澪「ティータイムだって集まれば出来るよな」
唯「折角また仲良くなれたんだから」
紬「ごめんなさい!」
あっちのみんなには悪いけれど、私の心はもう既に決まっていた。
0106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:27:31.10ID:hts5Mwh60私を囲んでいるみんなはただニコニコとこちらを見つめている。
紬「こっちのみんなにも会えた。それに仲良くもなれた。
確かにきっと元の世界のような関係にもなれるかもしれない」
だけど!
紬「私が今まで過ごしてきたこの2年間は、それ以上にかけがえのないものなの!」
だから、
紬「元の世界に帰りたい! 私にはそれしか考えられないわ!」
――ムギならそういうと思ってたぜ。
――だな。
――うん!
――はいです。
急に周りが明るくなる。
明かりは急速に強まり、目を開けていられなくなる。
眩しい!
そう思った瞬間――。
0107以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:29:37.20ID:hts5Mwh60うん?
なんだか変な夢を見てた気がする。
頭が少しくらくらする様な。
薄目を開けてみると、そこには白い天井。
見慣れた自分のベッドの天蓋ではない。
ここは何処だろう?
すぐに所在を確認しないと、そんな気がした。
目を開け体を起こそうとする。するとそこにはりっちゃんがいた。
しかもなにかに大層驚いたような表情を浮かべている。
紬「りっちゃん?」
律「ムギ!」
なにをそんなに驚いているのだろうか。
紬「どうしたの?」
律「どうしたの、じゃねー!」
紬「えっ?」
0108以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:30:38.34ID:hts5Mwh60真っ白な部屋、カーテン。
奥のほうにはつい立の向こうにドアが見える。
律「まあいいや。ええとこういう時は看護婦さん呼べば良いんだっけか?」
そうしているとそのドアが開いた。
澪「律、真面目にやってるか?」
唯「ムギちゃんはどう?」
あ、澪ちゃんに唯ちゃんだ。それに梓ちゃんもいる。
律「それどころじゃねーって!」
梓「あっ!」
唯「ムギちゃーん!」
唯ちゃんは思いっきり飛びついてきた。
梓「よかった。ムギ先輩気が付いたんだ」
0109以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:31:48.92ID:hts5Mwh60澪ちゃんは何故だかぐずぐず泣き出した。それに梓ちゃんも嬉しそうだ。
律「お前、ぽかんとして。なにも覚えてないのかよ」
あら、りっちゃんが泣いてるなんて珍しい。
唯「ムギちゃーん! 良かったよ!」
あらあら、唯ちゃんまで。
律「ムギ、この一週間ずっと眠ったままだったんだぞ」
紬「ええっ!」
りっちゃんの話によると5日ほど前、学校で急に倒れてからそのまま
今日まで意識不明のままだったらしい。
5日、いつの間にそんなに経っていたのか、その間の記憶はさっぱりだ。
ただ年末パーティを開くと唯ちゃんがいっていたのはよく覚えている。
そうだ!
0110以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:32:43.55ID:hts5Mwh60梓「ムギ先輩ったら」
律「目を覚ましたらいきなりそれかよ。たっく、バカムギ!」
紬「りっちゃんったらひどいー!」
律「散々心配掛けやがって。この」
澪「ムギー!」
突然、澪ちゃんまで抱きついてきた。
梓「あ、私もです! ムギせんぱーい!」
律「こらー、私も混ぜろー!」
唯「ムギちゃーん! うえーん!」
みんなに抱きつかれた。
とっても賑やかだけど、とっても暖かい。
それに何故だかわからないけど、すごく懐かしい、そんな気がした。
紬「みんな大好き!」
0111以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:33:56.14ID:hts5Mwh60唯ちゃんの家での年末パーティに参加することが出来た。
思い描いていた通りとっても楽しい年末だった。
そして初日の出をみんなで見、初詣を済ませるとあっという間に冬休みが終わった。
0112以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:34:47.32ID:hts5Mwh60授業は半日で終わり、それからすぐにみんなと軽音部部室に向かう。
倒れたせいで部室とはだいぶんご無沙汰だったので冬休みの間ずっと待ちきれなかった。
部室に入ると早速お茶とお菓子の準備に取り掛かる。
唯「ムギちゃんのお菓子。ふっふふっふふん」
梓「唯先輩、新学期なんですから少しは練習しましょうね」
唯「あずにゃん、わかってるって」
律「澪、なにやってんだよ。早く座れよ」
澪「なあ」
突然澪ちゃんがみんなに声を掛ける。
その澪ちゃんの方を向くと、ホワイトボートを見つめていた。
0113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:35:36.28ID:hts5Mwh60律「なんだよ」
りっちゃんは立ち上がると澪ちゃんのいるホワイトボードの前に向かった。
律「いいや、私はこんなこと書いた覚えないけど」
唯「なになに?」
梓「待ってください、唯先輩」
唯ちゃん、梓ちゃんもホワイトボードの前に。
梓「なんですか、これ」
唯「私もわかんないなあ」
紬「どうしたのみんな?」
私も気になってホワイトボートを確認しに行く。
律「いいから見てみろよ」
そこに書かれていたのは。
0114以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:37:08.68ID:hts5Mwh60『目標:放課後ティータイム再結成!』
文字は掠れ、消えかかっていた。
澪「再結成って、解散もしてないのになんだか縁起悪いな」
唯「ムギちゃんどうしたの?」
紬「えっ?」
気付くと涙が零れていた。
その理由はわからない。
だけどその文字はなにか大事な事を私に伝えてくれているように見えた。
忘れてしまった何かを。
紬「わからない。なんでだろう。可笑しいね、悲しくないのに」
律「……まあ良いや。こんな縁起悪いもんは消しちまうに限るな」
梓「そうですね」
紬「待って」
自然と声が出ていた。
何故だかわからないけど確信があった。
それは、それをするのは私の役目なんだと。
0115以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:39:48.87ID:bgtMfH9+O0116以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:42:58.96ID:tLC60RFA00117以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:48:21.12ID:nVCSSo+qO0118以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:53:44.28ID:/dtXzEjfO次でラストなのに。
むぎゅ
0119以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:54:28.56ID:hts5Mwh60律「そっか、なら景気良くぱぱっとやっちまえ!」
みんなが見ている中、一文字ずつ丁寧に消していく。
丁寧に、愛しむように。
もう私は独りじゃない。今こうやってみんながいるんだ。
最高の5人組『放課後ティータイム』。
もっぱらお茶ばかりであまり練習しないけれど、どんなバンドにも負けない。
強い絆で結びついたとびっきりの5人組。
もう二度と消えることはない。
甘い茶葉の香りが部屋に薫る。
いつものティータイムが始まる。
紬「さあみんな。お茶にしましょう」
――放課後ティータイムの消失:完――
0120以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:55:55.22ID:hts5Mwh60さっきから酷いタイミングでさるさんくらって大変でした。
引き続き、質問、罵倒、苦情などあればどうぞ。
0121以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:56:26.65ID:tLC60RFA0単純な夢オチではないんだろうけど消失世界とは一体・・・?
0122以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:56:50.93ID:RJDAMFxE00123以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:57:04.03ID:nVCSSo+qOむぎゅ頑張った
0124以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 00:58:35.21ID:zLGLPu1H0消失時にもっと悲壮感があれば目覚めた後の話が引き立つと思ったけど
まあムギだし深くは落ち込まないだろうなと思った
0125以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 01:01:20.75ID:6Bthh62r00126以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 01:01:41.56ID:4K73uttLO0127以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 01:03:41.92ID:QHk7WlN300128以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 01:09:37.13ID:EaWgItxY0むぎゅは天使
0129以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 01:11:30.40ID:mJ2TeEw1O0130以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 01:13:24.51ID:35SZjYUC0順調に事が進んだお陰でわりとあっさりと解決したなw
ハルヒでも谷口が風邪を引いてなければこうなったんだろうけど
0131以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 01:14:46.43ID:qwlMOmcp00132以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 01:22:41.02ID:X6BGdnvj0加筆乙
0133以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 01:23:06.91ID:HAvUc3gG0俺も見たぜ
0134以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 01:32:25.75ID:ffOKUld000135以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 01:36:26.57ID:hts5Mwh60初めてのSS投下で緊張しっぱなしでした。
またどこかでお会いしましょう!
0136以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 01:38:44.48ID:zLGLPu1H00137以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 01:39:37.43ID:9gHArVHu00138以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 01:39:48.88ID:nJBvrxohPもう少し掘り下げがあってもよかったかもしれないけど
そのかわりテンポがよくて読みやすかったです
0139以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/10(木) 01:40:14.81ID:f+UZCIca0┏┛┗┓ ┏━┛┗━┫┃┃ ┏┓ l ハ| i′ - 、 ノ ', / |┏┻━┫┏┻━┫┏┻━┫ ┃┃┃┃
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2011/02/10(木) 01:52:20.93ID:VFNnrNki0http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1297253845/
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2011/02/10(木) 02:57:53.53ID:fiv3a1CM0次回作にも期待します
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2011/02/10(木) 07:08:30.77ID:raWCW+t50次からSS速報板でやろうぜ
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