福井ゆかりの「恐竜博士」誕生 浙江省の金幸生さん

福井ゆかりの「恐竜博士」誕生 浙江省の金幸生さん

 福井から外国人の“恐竜博士”が誕生した。勝山市の県立恐竜博物館で技術研修を積んだ
中国・浙江自然博物館(浙江省)副館長の金幸生さん(44)が、恐竜の卵の化石を研究して富山大の博士号を取得。
研究を支えた東洋一副館長を県立恐竜博物館に訪ね、謝意を伝えた。

 同省と県は姉妹提携を結び、技術者の交流を進めている。
金さんも2002年秋から1年間、県立恐竜博物館に在籍し、東副館長と卵の化石を共同研究した。

 同省では1990年代から高速道路の建設工事で多数の卵の化石が出土している。
殻しかないので生んだ恐竜の特定は困難だが、金さんは殻に開いた穴や模様を分析し、
進化の度合いを系統立てることに成功した。

 技術交流の終了後、県と同省の両博物館は金さんを懸け橋に姉妹提携を締結。
「お世話になった日本で博士号を」と、金さんは研究成果を学位論文にまとめ、
東副館長の勧めで富山大の審査を受け、今月23日に合格した。

 論文を審査した大藤茂教授(地質学)は「研究点数が700点にも及び、卵の分類学だけでなく、
発見場所の地質学的な見地からも価値がある」、
東副館長も「日本で卵は破片しか見つかっていないため、国内の研究者にとって貴重な基礎資料だ」と評価する。

 金さんは父親と同じ数学者を目指して中国の名門・南京大に入学したが、
「大学側の意向でたまたま」地質学を学ぶことになったという。
「卵の化石と出会い、福井に来られたおかげで、恐竜が大好きになった。
日中友好のためにも研究を発展させたい」と話している。

http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20090330/CK2009033002000001.html