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ロリショタバトルロワイアル24

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0001創る名無しに見る名無し2009/06/14(日) 18:17:16ID:lSvAgYo/
本性を晒け出せ!
衝動をぶち撒けろ!
欲望を解き放て!
情熱を、燃やせ!



ここは真性の漢共(女性可)が集まり、
ジャンルを問わないロリショタキャラでバトルロワイアルを行う、
あまりにもCOOLなスレです。
紳士淑女の心を忘れず冷静に逝きましょう。

前スレ
ロリショタバトルロワイアル23
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1230413656/

テンプレ、過去ログは>>2-5辺に
ロリショタロワ避難所(したらば)
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/12693/
LSロワお絵描き掲示板
ttp://oekaki2.basso.to/user11/hisou/
LSロワお絵かき掲示板2
ttp://bbs2.oebit.jp/LoliSyotaRowa/
まとめwiki
ttp://www25.atwiki.jp/loli-syota-rowa
0545彼女たちはこの島から逃れたい ◆tcG47Obeas 2010/02/06(土) 19:39:42ID:xdu0gmta
そんなトリエラに、
『それにしても信用ね。どうすればあなたに信用してもらえるのかしら?
 こんな島で信用できる相手ってどんな子かしら?
 何をしたとしても、私を信じる事なんて出来るのかしら?
 参考までに聞いてみたいわね』
“太刀川ミミ”の方から、挑発的な響きすら含んだ言葉が来た。

トリエラは答えようとして、言葉につまる。
確かにこの島で誰かを信用するというのは並大抵の苦労ではない。
トリエラもは明確な答えを出せる自信がなかった。
トリエラは優れた知性を持っている。
判断力もある。
公社の義体達の中では纏め役になれるぐらい社会性も高い。
濃密ではあれ実質上数年分の人生経験しか無いにも関わらず、それを感じさせない程に。
それでもある種の経験が、少し足りない。
繋がりの薄い相手と絆を結ぶにはどうすれば良い?
背中を預けあえる相手を作るには?
人と人と想いを通わせるには?
銃を手に肩を並べるのではなく、互いの手を握り合うには?
……できるはずだ。
けれど言葉に惑う。

人間的な行為が出来ると、そう断言する事に自信が持てない。

『分かりきった事じゃない』
受話器の向こうから聞こえてくるのはどこかしら愉悦の混じった言葉だ。
なにがという問いに、“太刀川ミミ”は楽しげに答えた。
『あなたも私も、利害の一致でしか動けない人種だろうって事よ』
まるで嘲りのように響く聲が。

違う、と否定する。
トリエラは自分がそこまで冷血になれるとは思えないし、なろうとも思わない。
それを“太刀川ミミ”は追い立てる。
『あなたが“そうしかなれない”のか“それしか知らない”のかは判らないわ。
 でも私は、あなたが利害関係で動く人間だと思ってる。
 少なくとも無垢な子供なんかじゃない。そうでしょう?』
「それは……」
『隠さなくても良いじゃない。私はそれを見込んで、あなたに頼み込んでいるんだから』
トリエラは確かに自分を無垢だなんて思えない。
だけど利害で動くというにも違和感を覚えた。
そもそもトリエラに利害なんて言葉は程遠い。
公社で義体として戦うのは当然の事だったし、そこには利とか害なんて計算は有り得ない。
ならば情で戦ってきたと言えるのだろうか?
この島に来る前まで遡っても?
言えるはずだ。
例えば担当官のヒルシャー……兄妹〈フラテッロ〉という呼び名の通り家族のような彼の為なら
自ら身を危険に晒しすらするだろう。
例えそれが。
(何処までが本当の想いで何処からが条件付け〈ツクリモノ〉なのか判らない感情でも)
『自分達の都合で子供すら人でなしにする人間の醜さを知っているのなら尚更ね』
「────!!」
思考が灼熱した。
ヴィクトリアの言葉に怒りが吹き上がり、そして。

それだけだった。

あからさまな怒りをぶつけながらも、トリエラはそれを抑え込む。
息を整えて、静かに、言った。

「黙って」
0546彼女たちはこの島から逃れたい ◆tcG47Obeas 2010/02/06(土) 19:40:52ID:xdu0gmta

『少し踏み込みすぎたわね。謝るわ』

あっさりと謝りながらも、電話の声には悪びれない余裕が有る。
どれだけ嫌悪しようとも自分を無視する事は出来無いという余裕が。
もしも首輪を解除する事が出来るなら、その切り札はあまりにも圧倒的だ。
無視なんて出来るわけがない。

『でも一つだけ、正直に話しておくわ。
 私はあなたの冷静さを信じながらも、あなたの判断力を疑っているのよ』
「私が感情に任せてあなたとの交渉を打ち切るって事?」
『あなたは基本的に冷静なようだから、それは無いと信じているわ。
 今も貴重な存在からの電話を切ったりはしなかったでしょう?
 私が疑うのは、あなたが誤断と誤解で周囲を巻き添えにしないかって事よ』
“太刀川ミミ”の指摘は明け透けなまでに痛烈だった。

『声が似ていたそうだけれど、私を別の誰かと思い込んで迷走する。
 金糸雀についても何か錯綜が有ったみたいね?
 他にも少なくとも一件、誤殺じみた事が有ったと聞いているわ』
「ぐ…………っ」
言い返しようが無い。
状況のせいも有ったとはいえ、トリエラは錯綜の果てに人を殺してきた。
あろう事かその全てがほぼ過ちであったと判明している。
『信用できるかと聞くけれど、あなたの方こそ信頼に値するのかしら?
 私には疑わしく思える程よ』
誰がトリエラを信じられるのだろう。
誤った標的ばかり捉えてきた銃口を。

『それとね。実を言えば、私の方からなら少しは信用させる要素が有るのよ』
「…………それは、何?」
思わず聞き返した。
会話の主導権を掴まれていた。
『ひまわりを保護しているわ』
「っ!!」
息を呑んだ。

リルルに保護されて逃亡した筈の赤ん坊が、どうしてそこに?

「待って。それじゃリルルもそこにいるの?」
小さな、溜息が聞こえた。
嫌な予感が膨れ上がり、
『生憎ね。彼女は、壊されていたわ』
身構える暇も無くはじけた。

また、死んだ。
また、殺された。
ほんの数時間前まで一緒に居た仲間が、何者かに殺されていた。
『人間で例えるなら体内を無数の蛇が食い荒らした様な、無茶苦茶な有様だったわ。
 生前の彼女の願いに従ってICチップを取り出したから、ますます見せられる物じゃないわね』
“太刀川ミミ”から。
ヴィクトリアから仲間の死を知らされるのは、二度目だった。

残酷な言葉は更なる有益な情報を残していく。
『詳しい話を知りたいなら、リルルからひまわりを託されたあの子に聞けば良いわ。
 ククリやリルルからはあなたの名を良い人と聞き、自らの目ではあなたの姿が人を殺す所を目撃して、
 あなたが善人なのか悪人なのか混乱してしまっている可哀想なイエローにね』
「っ!!」
0547彼女たちはこの島から逃れたい ◆tcG47Obeas 2010/02/06(土) 19:42:13ID:xdu0gmta
リルルは誰かに殺された。
イエローはそれを見取って、ひまわりを託された。
明らかな致命傷を生き延びたヴィクトリアこと“太刀川ミミ”はその二人を保護した。
そして受話器の向こうに立っている。
全てを疑うのは容易いけれど。

『さあどうするのかしら、トリエラ。
 苦労してあなたを信じようとしている私を信じてくれないの?』

悪辣で、辛辣な言葉でも、間違った事は言っていないように思えた。

「……あなたの言葉、ひとまずは信じるわ」

トリエラは肯定を返した。
一つだけ、付け加えて。

     * * *

まずは互いの同行者について、互いに与えすぎないよう警戒しながら情報を交換した。
“太刀川ミミ”にとって太刀川ミミを知るタバサがトリエラと同行しているのは難事だったが、
起きている太刀川ミミを見たのはほんの数十秒に過ぎない。
直接会っても疑惑が確信に至る事は無いだろうと判断し、逆に取引を持ちかけた。
『私が生きていた者として会えば、改心したその子にとって救いになるでしょうね』
トリエラはこれを黙殺する。
弱気な演技を取り払った“太刀川ミミ”ことヴィクトリアは何処かしら不安を抱かせた。
不安定な状態にあるタバサの心を逆に傷つけないか心配したのだ。
トリエラか、せいぜい小太郎を連れる程度の密会で済ませられないかと思案する。

『だけどタバサはミッドチルダ式のデバイスを所持しているんでしょう?
 私に合わせずどう説得するつもりかしら』
「グラーフアイゼンではできないの?」
『その分の差で失敗しても良いならね』
「タバサから武器を取り上げればその分の差で殺される危険が有るわね。似た様な物よ」
『へえ、そう』

“太刀川ミミ”は一旦引き下がる。
そして次の情報を要求してきた。

『ご褒美で支給された追加支給品について、情報は有るかしら』
「その前にどうしてそれを捜すのか教えて欲しいわね」
『ご褒美が急遽追加されたイレギュラーだからよ。追加支給品もその可能性が有るわ』
トリエラは与えて良い情報だと判断する。
少し情報を整理すると、幾つか心当たりの有る情報が有った。
「既に死亡した、イリヤスフィールへの追加支給品なら情報が有るわ」
『っ!! ……聞かせてもらえるかしら?』
大して期待もしていなかったのか、トリエラが想像した以上の驚きが返ってくる。
トリエラは答える。
「浄玻璃の鏡と爆弾岩。もう一つ有ったかもしれないけどそれは不明ね」
『効果は?』
「鏡は、三回まで制限の掛けられた、鏡に映った者のこの島に来てからの経緯が映し出される物よ。
 言わは強力な自爆に特化した、擬似生命体のようなものらしいわ。既に消費されたみたい。
 言われてみればどちらも強力で、イレギュラーな物に思えてくるかな」
『……ええ、そうね。残った鏡の方の見た目を教えてくれる?』
「手鏡状ね。形は……」
心当たりが有るのか、“太刀川ミミ”はふむふむと頷きながら聞いていた。

「私の方からも聞いていい? あなたどうやって生き残ったの?」
『気になるかしら?』
「まあね。グラーフアイゼンが見たあなたの状態はとても生き残れる物だとは思えない」
0548彼女たちはこの島から逃れたい ◆tcG47Obeas 2010/02/06(土) 19:44:54ID:xdu0gmta
『それでも生き残ったのよ。文字通り半死半生を超えてね。
 そうとしか言えないわ。
 人間ではない耐久力を持っている事は事実よ』
そう言い切られてしまっては踏み込みようが無い。
どうしてそんな肉体を持っているかなど意味の無い問い掛けだ。
トリエラが、己の素性を語っても仕方がないように。

「……まあいいわ。それじゃもう一つ」
『何かしら?』
トリエラは少し息を整えてから、切り込んだ。

「あなたと同じ場所で首を爆破されていた死体は、あなたの解除法による物じゃないの?」
フッと小さく息を吐く音がして。
それからすぐに。
『ええ、そうよ。残念ながら失敗したけれどね』
あっさりと返事があった。

「あんた……っ」
『仕方が無いでしょう? 殆ど手探りの危うい研究なんだから失敗はつきものよ。
 それに彼女は自分が何の役にも立てず振り回されている事に苦悩していたわ。
 何せ夕方の放送時点で仲間がみんな死んでいたんだから、哀れね。
 だから危険度が高い事を知りながらまだ不完全な解除実験に自ら志願して、死んだのよ。
 そのデータを積み重ねたおかげで私は成功した。
 彼女の名を讃えてあげて、トリエラ。
 “太刀川ミミ”という名をね』
「利用、したんじゃないの?」
『否定はしないわ。彼女の貴い犠牲のおかげで私は成功した。
 この時点で何を言おうと、利用したとしか取れないでしょうね』
彼女の言葉が真実かは判らない。
やはりそれ以上の追求は出来なかった。
トリエラは胡散臭いと感じて、それだけだ。
ククリとリルル、それに太刀川ミミ、彼女の口から語られる死者はあまりに多い。
だけどククリとリルルはただの偶然や、物陰から情報を集めている結果と見る事もできる。
どちらにせよ、彼女はトリエラの知る限りこの世界からの脱出に最も近い人物だった。

『次は私からよ。
 戦力と、研究を手伝える者と、この島を探索する為の人員。
 これらを集められるアテは無いかしら?』
トリエラはまた少し思案し、結論を出す。
その有力な札が有る事自体は教えて、取引を有利に進めた方が良い。
「……情報なら、有るわ。
 私達の元にはまだ生存している参加者の情報が、八割方集まっている」
『八割っ!?』
やはりこれは想像以上だったらしい。
受話器越しに本気で驚いた様子が伝わってくる。
「でもその情報を全て教えるほどお人好しにはなれないし、
 仲間に相談もせずあなたにそこまでする気にはなれないわ」
『待って。魔法に詳しい者の数だけでも教えてくれないかしら』
「そうね……十人かそれに足りない位だと思うわ。その内の二〜三人かは危険人物だけど」
『実質七人前後……二割程度、ね』
思案の気配が有る。
トリエラは攻め込んだ。
「解除法についてもう少し情報を公開してくれるなら、
 こちらからも情報を公開して良いんだけど」
『………………』
トリエラは初めてこちらから有利な条件を提示出来た感触を得る。
“太刀川ミミ”はしかし、事実上の拒否を返してきた。
『保留しておくわ。
 詳細を教えてあなた達が尻尾を掴まれたら、こっちまで危ないもの』
0549創る名無しに見る名無し2010/02/06(土) 19:45:03ID:xrir2BIp
支援
0550彼女たちはこの島から逃れたい ◆tcG47Obeas 2010/02/06(土) 19:46:52ID:xdu0gmta
消極的なまでに慎重な理由だった。
だが当然の慎重さでもあった。
トリエラも“太刀川ミミ”も、切り札までは切らずに様子をみている。
相手がどの程度の信用と信頼に値するかどうかを見定めようとしている。
“太刀川ミミ”は脱出に近づいているけれど、だからこそ危ういのだ。
彼女自身も、彼女を取り巻く環境も、一つ間違えば全てが失われる。
悪辣な少女はそれでも、希望の中心に立っていた。

『それにこの内容は電話で……口頭で話すにも不安が有るのよ。
 デバイスも試したいし、会って話したい所ね。
イエローとひまわりにも会うんでしょう?
 こっちはあなたから電話が有って会うことにした、と言っておくわ』
「場所は?」
『三丁目のパン屋の前。時刻は?』
タバサに隠した密談の形を取る以上、団体行動を始める朝では不味い。
トリエラは即行動を選んだ。
「雨の内なら吸血鬼も動かないそうよ。今すぐ会いましょう」
了承が返り、それで通話は終わった。

トリエラは通話を終えた携帯電話をポケットに仕舞い込む。
胸元に下がるアイゼンを確認し、銃を確認し、それから服装を鑑みる。
外には冷たい雨が降り続けている。
アイゼンの騎士甲冑で防寒防水をと考えたが、それでは帰りが不味い。
“太刀川ミミ”にアイゼンを渡した場合──流石に軽く渡すつもりは無いが、
相応の見返りが有っても渡した場合に、帰りが困る。
家のどこかで傘か雨合羽でも見繕う必要があるだろう。
それから言った。
「ま、そういうわけね。留守番を頼むわよ、小太郎」
いつの間にか、犬上小太郎が洗面所の入り口に立っていた。

「いつから聞いてた?」
「ひとまずは信じるとか言った辺りからやな」
つまり具体的な情報交換を初めた辺りだ。
ほんの少しだが、勝手にタバサと小太郎の事を話していた事について怒っている様子は無い。
少なくともその程度の信頼は有る。

「電話の相手、何者なんや? “太刀川ミミ”って言ってた気もするけど、それって」
「ええ、死んだはずの人間よ。ただしその正体は、ヴィクトリアね」
小太郎がぴくりと眉をしかめる。
彼が見たヴィクトリアは旅館で共にレミリアと戦い、
ククリの死体が転がる場所で金糸雀を殺し(後で金糸雀がククリを殺したようだと判明する)、
追いかけるが見失い、グラーフアイゼン曰くレミリアに殺害されたと聞いた人物である。
「どういう事や? あいつが生きとったっていうんか?」
「信じ難いけど、そうみたいね。しかもこいつを外したそうよ」

そう言うとトリエラは首をコツコツ叩いてみせた。
音が硬質なのは、そこに首輪が有るからだ。
ルールに違反した参加者を爆殺するための、ジェダに付けられた首輪が。

驚く小太郎に言う。
「タバサにはまだ内緒よ。
 太刀川ミミ、だけど中身は別物だなんて彼女には会わせたくないもの」
「だから一人で会いに行くっていうんか?」
「今のところそのつもりよ。
 私は向こうの連れに会うべきだと思うし、ひまわりの安否も心配だし、
 小太郎が残ってくれるならタバサについても安心だしね。
 ほんとは小太郎にも睡眠を取って、気だの魔力だのを回復して欲しいくらい」
0551彼女たちはこの島から逃れたい ◆tcG47Obeas 2010/02/06(土) 19:49:21ID:xdu0gmta

小太郎は吉永双葉を治療する為に多量の存在の力、彼の場合は気を消耗した。
時間の経過により徐々に回復しているし、全快とまで行かずとも睡眠は大きな助けになる。
タバサの方の魔力回復は尚更睡眠が重要だ。
十分な睡眠を取れば全快まで回復するというし、精神的疲労を考えても起こすべきではない。
それに気が格闘の補助的な小太郎と違って、タバサは魔法が決定打で白兵戦が補助らしい。
タバサの魔力の重要性は考えるまでもなかった。

とはいえ小太郎がトリエラの単独行動を心配するのも当然の事だ。
トリエラは眠った所で意味が薄いだけで、決して怪我や消耗が無いわけではない。
むしろトリエラは常人なら死んでもおかしくないほど無数の傷を負っているのだ。
義体の頑強さで動き続けてはいたが、三人の中で誰よりも深い傷と消耗を受けていた。

「ほんまに信じられるんか、そいつ?」
「一応、これまでの話に決定的な嘘は見えないわね。それも彼女自身に対する物を除けばだけど」
「明確な嘘は、あんまりなかったかもしれへんけど」
小太郎には不安と不満がある。
彼はヴィクトリアに大して良い印象がまるで無い。
金糸雀殺害は金糸雀がククリを殺したからだというが、イメージとしては最悪のままだ。
あと理屈では言えないがなんとなく、胡散臭いのだ。
「ただの勘違いやろうけど、俺はネギの仇討ちをしようとしてたわけやないで?」

小太郎はネギの仇を捜していた。
ヴィクトリアはそれを、ネギの仇討ちをするつもりだと証言している。
とはいえこの島で仇を捜す聞いたら普通は仇討ちを連想する、むしろ当然の補完だ。
ヴィクトリアは、少なくとも分かる範囲では決定的な嘘を吐いていない。
「明確な嘘は無くても誇張やバレていない嘘が無い証明にはならない、でしょう?
 言われなくとも判ってるわよ、そのくらい」
明確に嘘と分かる嘘は今回の偽名が最初だ。だけど、
「私が初めて聞いたあいつの言葉、言ったっけ?
 蜂蜜みたいに甘い声で、『あ、あなた……誰、ですか? 何でここに来たんですか?』よ」
ヴィクトリアは自分を偽れる人物だ。
もしも彼女が殺人鬼だったとしても驚きはしない。

「イエローの方とも話さなきゃいけないし、信用出来なければひまわりを引き取らなきゃいけない。
 ほんと厄介な仕事よ。
 タバサが万全ならあなたも連れて行きたいわね」
「朝まで待ってみんなで会えば良いやないか」
「言ったでしょ。“太刀川ミミ”にはタバサを会わせたくないの」

トリエラは緊張した面持ちで、寝る前に解いていた髪を留め始めた。
気を引き締めるようにツーテールに纏めていく。

「安心して、油断するつもりは無いから。
 多分あいつの方も、そんな薄い関係なんて望んでいない。
 嘘も真実も本気で来るわ」

そこには、脱出の希望に会いに行くなんて安心感は欠片も無かった。
0552創る名無しに見る名無し2010/02/06(土) 19:49:22ID:xrir2BIp

0553創る名無しに見る名無し2010/02/06(土) 20:18:38ID:7uFfW7sb
sien
0554創る名無しに見る名無し2010/02/06(土) 20:29:15ID:npVSMCGB
sien
0555創る名無しに見る名無し2010/02/06(土) 20:58:06ID:FNx/ih4M
しえんいる?
0556 ◆tcG47Obeas 2010/02/06(土) 21:53:43ID:xdu0gmta
そろそろさるさん規制も解けたかな。投下再開。
ちなみに青画面も見ました。
0557 ◆tcG47Obeas 2010/02/06(土) 21:56:00ID:xdu0gmta

     * * *

“太刀川ミミ”ことヴィクトリアは通話を終えて、一息を吐いた。
確かな満足感が付いてくる。
(上出来ね)
トリエラとの通話は、彼女に多大な成果を与えてくれた。

ヴィクトリアの目的は大雑把に分けて二つ有った。
一つは言うまでもなくトリエラから情報を得る事だ。

彼女がデバイスを入手したらしい事は幸運だった。
性格は大変一致しなかったものの少しは使い慣れてきたレイジングハートが無いのは残念だが、
レミリアが所持していた筈のグラーフアイゼンに加えて、
レイジングハートと同じミッドチルダ式のバルディッシュまで有るとは嬉しい誤算だ。
(念話はその世界では基本的な魔法らしいし、多分ベルカ式でも何とかなるだろうけど、
 どうにかならなかった時にミッドチルダ式を試せうるのは僥倖ね。
 それにグラーフアイゼンから得られる情報も有益かもしれないわ)
グラーフアイゼンはレミリアが使っていたデバイスだ。
ならばアイゼンの中にはレミリアの情報も詰まっているだろう。
ヴィクトリアにとって目下最大の脅威の一つであるレミリアへの対策を練れるかもしれない。
そう容易く渡してくれるとは思えないが、取引材料は幾つも有った。
例えば、トリエラの集団にデバイスが複数有るのならデバイス用のカートリッジも有用なはずだ。

更に追加支給品に関する情報も衝撃的だった。
爆弾岩も少し気になるが、既に爆発してしまったという事で無視する。
それよりも、浄玻璃の鏡とやらだ。
あれは、イエローの荷物の中の鏡に違いない。
もしもその使用回数がまだ残っているならば。
もしもその効果に対する対策が完璧ではないならば。



浄玻璃の鏡にQ-Beeを映してみればどうなるだろう?



(Q-Beeがご褒美を支給しに島を飛び回っているのだって開始時に決められたイレギュラー。
 それならば恐らく、映る筈よ)
Q-Beeがこの島に来てからの情報を映し出せるなら、
何処から来て何処に戻っているのかまでは判明するだろう。
即ちジェダの居城への道筋が出来る。
Q-Beeとジェダとの会話からそれ以上の情報が露呈する可能性も高い。
正に切り札と言っても差し支えない代物だ。

(しかもイリヤスフィールの追加支給品とはね。
 数奇にも程があるわ、一体どういう因果なのやら)
ホムンクルスという情報から、参加者名簿の中で個人的に興味を抱いていた少女。
夕方の放送で死が告げられてから、もう関係する事は無いだろうと思っていた。
そのイリヤスフィールの遺物が、今になって重要な価値を持ち始めている。
運命というものを感じずにはいられなかった。
0558彼女たちはこの島から逃れたい ◆tcG47Obeas 2010/02/06(土) 21:58:23ID:xdu0gmta

問題は、首輪の無い“太刀川ミミ”ことヴィクトリアがQ-Beeと逢う危険だが、
これはイエローに使わせるなり手が有る。
出来れば見た内容をしっかり記憶出来る者に使わせたい所だった。

加えて二つ目の目的。
それはトリエラを仲間に引き込む事だ。
問題こそ多いが、ヴィクトリアはトリエラの存在を買っていた。
危険人物と見れば即座に撃ち殺す冷酷さと、足手まといを抱え込む善人さは有益だ。
突きつけた通り判断力には不安が有るのだが。
(そこまで贅沢は言えないわ)
子供が多いこの島で冷たい判断が出来るだけでも御の字だ。

加えて、極々断片的ながら参加者名簿の表記を思い出した事も一因となった。
そこには公社の義体だとか、条件付けと呼ばれる洗脳がどうこう書かれていた気がする。
彼女も誰かに体を弄られ利用された身なのかもしれないと思うと、少しだけ親近感が湧いた。
……その親近感が傷の舐め合いに過ぎない事は判っていたけれど、それでも。

(ま、こっちは振られたみたいね)
カマを掛けてみた反応は思った以上だった。
しかしその後に彼女がヴィクトリアを信じると言った時、トリエラは付け加えたのだ。

『一つだけ訂正しておくわ。私は自分の境遇を不幸だなんて感じなかった』

銃を握り人を撃ち続ける行く末の短い生き方を定められても、小さな幸せがあった。
私はあなたとは違うのだ。
それがトリエラの返答だった。

(別に良いわ。それとこれとは別だもの)
一抹の寂しさを覚えた事こそ逆に驚きだった。
どちらにせよヴィクトリアがトリエラを有益な人物だと見た事に変わりはない。
彼女は「汚い事を許容出来る仲間」になりうる。
だから反応を見るために若干露悪的に接しさえしたのだ。
イエローに汚れ仕事は求められないし、ただの善人にも無理だろう。
だけど綺麗事だけでジェダの手から逃れる事など出来はしない。
誰か汚れ仕事を担う者が必要だった。

汚れ仕事をヴィクトリアだけが担うには無理が有るし、何より危険は避けたかった。
身も蓋もなく言えば、危険な事は誰か他の者に押し付けたいのだ。
ヴィクトリアが仲間を集める最終目的はあくまで自分のためだ。
その線を引いた上でなら仲間と恩恵を共にするし、助けもするだろう。
でもその線から出る事は決して無い。
恥も迷いもなくその線を守り続ける。
その違いはきっと、トリエラが得られてヴィクトリアが得られなかった物が生み出した。
故にヴィクトリアは仲間を利用する。
それが本当の仲間等ではないと判っていても、自分のため以外の目的なんて有りえない。
ヴィクトリアは所詮、人を食い物にして生きるモノなのだから。

(さて、まずはイエローよ)
トリエラを仲間にしようと思うなら、イエローの疑念を解いてやらねばならない。
トリエラには貸しを作る事にもなる。
逆にトリエラからヴィクトリアの事を暴露される心配はさほど無い。
イエローがヴィクトリアにとって用無しになる事は彼女にとっても望ましくない筈だからだ。
ヴィクトリアとしても本音建前共に、そんな事を望んではいなかった。

ヴィクトリアは窓から遠目に覗く事が出来る三丁目のパン屋に目をやってから、
イエローとひまわりが眠る部屋に戻って、告げた。
「起きて、イエロー。トリエラを名乗る人物から電話が有ったわ」
0559彼女たちはこの島から逃れたい ◆tcG47Obeas 2010/02/06(土) 21:59:31ID:xdu0gmta
【G-1/民家・洗面所/1日目/黎明】
【トリエラ@GUNSLINGER GIRL】
[状態]:頭部殴打に伴う頭痛。胴体に重度の打撲傷複数、全身に軽度の火傷、かなりの疲労。
    右肩に激しい抉り傷(骨格の一部が覗き、腕が高く上がらない)。
[装備]:拳銃(SIG P230)@GUNSLINGER GIRL(残弾数8/8)
    ベンズナイフ(中期型)@HUNTER×HUNTER、トマ手作りのナイフホルダー、防弾チョッキ
[道具]:基本支給品(パン1個、水少量消費)、ネギの首輪、血塗れの拡声器、北東市街の詳細な地図
    US M1918 “BAR”@BLACK LAGOON(残弾数0/20)、9mmブローニング弾×23
    インデックスの0円ケータイ@とある魔術の禁書目録、コチョコチョ手袋(片方)@ドラえもん
    グラーフアイゼン(ハンマーフォルム)@魔法少女リリカルなのはA's(ダメージ有り、カートリッジ0)
    回復アイテムセット@FF4(乙女のキッス×1、金の針×1、うちでの小槌×1、十字架×1、ダイエットフード×1、山彦草×1)
[服装]:普段通りの男装+防弾チョッキ
[思考]:最大限に警戒しつつ、確かめに行く。
第一行動方針:“太刀川ミミ(ヴィクトリア)”と接触、交渉する。
第二行動方針:朝になったら作戦(※)に従い、シャナを捜索する。タバサに携帯電話の説明も。
第三行動方針:トマとその仲間たちに微かな期待。トマと再会できた場合、首輪と人形の腕を検分してもらう
基本行動方針:好戦的な参加者は積極的に倒しつつ、最後まで生き延びる(具体的な脱出の策があれば乗る?)
[備考]:携帯電話には、『温泉宿』の他に島内の主要施設の番号がある程度登録されているようです。
     トリエラが警察署地下で見た武器の詳細は不明。
     ※トリエラの作戦
     まずシェルターまで全員で行動し、洞窟にも寄りつつシェルターに向かう。
     シェルター到着後に解散し、小太郎とタバサは城へ、トリエラは廃墟へ行く。
     それ以降は小太郎達は定期的にトリエラの携帯電話に連絡をする。

【犬上小太郎@魔法先生ネギま!】
[状態]:やや疲労、気が少々、背中と左足に怪我(瞬動術は使えないがそれなりに動ける)
[装備]:手裏剣セット×7枚@忍たま乱太郎
[道具]:基本支給品×4(一人分の水、パン1個消費)、工具セット、包帯、指輪型魔法発動体@新SWリプレイNEXT
    さくらの杖@カードキャプターさくら、目覚まし時計@せんせいのお時間、生乾きの服
    レミリアの日傘@東方Project、真紅の腕、金糸雀の腕、戦輪×5@忍たま乱太郎
[思考]:トリエラが心配。
第一行動方針:休息しながら、眠るタバサと家で待機?
第二行動方針:朝になったらトリエラの案に従い行動する。
第三行動方針:レックスと再会した後、シャナ一行あるいは梨花一行との合流を図る
第四行動方針:双葉に頼まれた梨々、小狼に頼まれた桜を探す。見つけたら保護する。
基本行動方針:信頼できる仲間を増やし、ゲーム脱出(必ずしも行動を共にする必要はない)。
[備考]:紫穂に疑いを抱いていますが確信はしていません。
0560彼女たちはこの島から逃れたい ◆tcG47Obeas 2010/02/06(土) 22:00:52ID:xdu0gmta

【H-1/住宅内一階/1日目/黎明】
【ヴィクトリア=パワード@武装錬金】
[状態]:精神疲労(中)、肉体消耗(中)、首輪解除、太刀川ミミに瓜二つの顔
[装備]:i-Pod@東方Project、スケルトンめがね@HUNTER×HUNTER
[道具]:天空の剣@ドラゴンクエスト?、基本支給品×2(食料のみは1人分)、
    塩酸の瓶、コチョコチョ手袋(左手のみ)@ドラえもん、
    魔剣ダイレク@ヴァンパイアセイヴァー、ポケモン図鑑@ポケットモンスター、ペンシルロケット×5@mother2
    アイテムリスト、詳細名簿(ア行の参加者のみ詳細情報あり。他は顔写真と名前のみ。リリスの情報なし)
    マッド博士の整形マシーン、カートリッジ×10@魔法少女リリカルなのはA's、
    思いきりハサミ@ドラえもん、その他不明支給品×0〜2
[服装]:制服の妙なの羽織った姿
[思考]:トリエラと接触する。
第一行動方針:トリエラと接触する。イエローを連れていく?
第ニ行動方針:首輪や主催者の目的について考察する。そのために、禁止エリアが発動したら調査に赴きたい(候補はH-8かA-1)
第三行動方針:“信用できてなおかつ有能な”仲間を捜す。インデックス、エヴァにできれば接触してみたい。
基本行動方針:様子見をメインに、しかしチャンスの時には危険も冒す
参戦時期:母を看取った後。能力制限により再生能力及び運動能力は低下、左胸の章印を破壊されたら武器を問わずに死亡。
[備考]:首輪が外れた事により能力制限が外れている可能性も有ります。
     首輪に『首輪を外そうとしている』や『着用者が死んだ』誤情報を流す魔法を編み出しました。
     ただし、デバイスなど媒体が無ければ使えません。攻撃に使うのも不意打ちで無ければ難しいと思われる?
     更にヴィクトリアの場合、実際に致命傷を受けて殆ど死に体になっていた事が助けとなった可能性も有ります。
0561 ◆tcG47Obeas 2010/02/06(土) 22:08:39ID:xdu0gmta
投下終了です。
間を空けましたが、支援ありがとうございます。
0562創る名無しに見る名無し2010/02/06(土) 22:35:32ID:Tyk1TK9L
投下GJ。トリエラとヴィクトリア、色々似ている二人の対比が実に面白かったです。
不幸だなんて感じなかった、という言葉も色々考えさせられます。
で、浄玻璃の鏡。その発想はなかった。
直接相対しての交渉第2Rはどうなるやら楽しみです。
0563創る名無しに見る名無し2010/02/07(日) 00:51:51ID:F4jvyZDo
投下乙。
現在一番ゴールに近いヴィクトリアだけど危険人物なんだよな、こいつ。
トリエラとはほしい情報をお互いに出し合える状態だけど、
自分だけが助かればいいってこいつは信用も信頼もできないんだよな……
浄瑠璃の鏡の使い方になるほど、と思った。

まとめっつーか現状の動向確認。

工場組
特に予定なし。皆睡眠中

城組
放送まで休息予定。
現在はシャナと情報交換中。
シャナはその後北東市街へトリエラを殺しに行く予定。

シェルター組
これからどう動くか、不明。
トマは塔か北東市街に行くかも?

弥彦
現在落ち込み中

パタリロ
現在盗聴中

北東市街
トリエラとヴィクトリアが接触予定
レミリアは放送まで動く予定なし

エヴァと蒼星石
エヴァは塔の魔女たちを殺す予定。蒼星石は……?

グレーテル
危険。核鉄が黒くなるかも。

ヴィータ紫穂
北東市街へ向かう予定。

メロブルー
メロが殺されるか、それとも……?
ブルーは名前が広まり過ぎててやばい。

千秋
お城から逃走中

リリス
知識を身につけて危ない存在。
現在反則中

Q−Bee
現在ニアの死体を確認中。
だがリリスの画策により拘束されている。
次の捜索予定がミミのため、北東市街組とかかわる可能性大


北東市街がヴィータ紫穂Q−Beeシャナと人がたくさん来て大変そうだな。
0564創る名無しに見る名無し2010/02/07(日) 01:21:18ID:7L3Q/lZU
投下乙!
緊張感溢れるいい話でした。
ヴィクトリアはつくづくやな奴だなw
しかし、電話での交渉、偽名看破、虚実誇張織り交ぜた情報の引き出しあい、信頼と信用というキーワードなど
どことなく、新漫画ロワの秋瀬或と鳴海歩のやりとりとオーバーラップしていて面白い。
や、作者さんも意図したわけじゃないだろうし、他所の話で恐縮だけれども。
0565創る名無しに見る名無し2010/02/08(月) 00:06:40ID:eRg18XJD
久しぶりに見たら大量投下キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!

昔の事は忘れて、読み手の意見なんか絶対に無視しろよー
エースオブエースはLSロワを見捨ててなかったんだ!!!
0566創る名無しに見る名無し2010/02/08(月) 02:15:42ID:AZ8zHF3j
大量投下って、どんだけ久しぶりに来たんだよw
前の投下は去年だぞw
0567創る名無しに見る名無し2010/02/09(火) 02:45:37ID:rLwXYWw4
投下乙
これってパタリロが得意の話術でジェダの計画に綻びを入れたことになるのかw
0568創る名無しに見る名無し2010/02/16(火) 23:24:14ID:r75S95GW
予約キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
イイヨイイヨー
0569創る名無しに見る名無し2010/02/17(水) 01:58:46ID:EAqRXjm7
これはパタリロ終わったんじゃねw?
0570創る名無しに見る名無し2010/02/19(金) 02:56:15ID:9SVaCZf8
仮投下来てるな
代理投下するわ
0571死者を求めて ◇S4WDIYQkX.2010/02/19(金) 02:57:00ID:9SVaCZf8
「うん、そう。その代わりに、なんだけどね……」
リリスは切り出した。
QBを手伝い死体を捜す代わりに、得たい物が有る。
リリスが得たい物。
「出来ればご褒美に渡すはずのそれ、ちょっと欲しいかなって」
それは、力。

例えばQBが三名殺人者達に与えるご褒美の支給品。
これを得られれば。
それを使いこなせれば、リリスは今よりその分だけ強くなれる計算だ。

「…………………………ソレハダメ、ダッタトオモウ」
「幾つか入ってるでしょ? 足りなくなったら補給に行けば良いじゃない」
「…………」
リリスの提案に黙り込む。
QBの知性はそれほど高くないが、それでも幾らか考えられる事はあった。

バレなければ叱られないのだ。

今の作業が遅れたのも喧嘩を売ってきた参加者をついつい捕食してしまった為で、
その殺害もQBではなく他の参加者がやった事にしている。
それはやらかした後で取り繕うという拙い浅知恵に過ぎないが、
僅かであれ知能を持っているのは本当なのだ。
リリスはそれに自ら条件を付ける事で誘いをかける。

「三人殺しで最高三つ入ってるのがもらえるんだから、一人調べる事に中身一つだけとか。
 ほら、ジェダ様だってその場のノリでご褒美あげるって決めてたじゃない」
「ア、ソッカ」
QBはリリスの提案を受け入れた。

   おとなはこどもたちのおてほんです。
   わるいこにしないようがんばりましょう。

「うん。じゃあ二人教えてあげる。ニアと、グリーンは、死んだよ。
 両方とも間違いないから」
「リリスニハナシヲキクダケデイイッテイワレタノ、ニアダケ」
「だからそれを手伝ってあげるんじゃない。代わりにあたしが見てあげる。
 それにQB、死体が目の前に有ったら食べちゃうでしょ。それは……ダメ」
「ワカッタ」
QBはコクリと頷き、見つかった死者たちの情報を念話でジェダに送信した。
これで最優先の三人の内、野上葵とニアは見つかった事になる。
それより後回しの五人も一人は判明して、残るはヴィクトリア、古手梨花、ククリ、金糸雀だ。
最優先の一人にして北東市街で死んだ事しか判らない太刀川ミミの捜索は厄介だが、
全員は見つからない捜索とも言われている。

「ねえ、残りは何処で死んだのか判る?」
「フルデリカハ、ジンジャニウマッテル。ホカハ、ホクトウノマチ」
「じゃあ神社はあたしが調べてあげる。ね、それじゃ」
リリスは手を差し出した。
ニアとグリーンで二人分。
「シキュウヒン、フタツ?」
「うん。グリーンとニアで二人教えたでしょ?」

支給品の代わりに回復や情報を貰えるよう交渉しても良かった。
しかし回復は必要になった時で良いし、情報は別の見込みがあった。
だから死亡者確認の見返りに支給品を求めたリリスに、QBは二つの品を取り出した。
0572死者を求めて ◇S4WDIYQkX.2010/02/19(金) 02:58:08ID:9SVaCZf8
一つ目はカードである。
効果はそのままカードに表記されていた。
リリスは首を傾げながら、それを使ってみた。
現れたのはリリスと同族にも思える、小悪魔の幻影だ。
幻影の小悪魔はリリスにパチリとウインクした。
それを見た瞬間、リリスの内から鮮烈な感覚が弾けた。

「ん……っ」

それは恐らく我を忘れる程の快感だったのだろう。
滂沱の涙を流し、噎び泣き、喘ぎ、体液を噴出させる程に強い快感だったはずだ。
麻薬の様に根深く心の中枢まで犯し尽くす、魔性の快楽であったはずだ。
ウインクを受けた者が人であれば、だが。

リリスは快感に身を震わせながらも、膝を崩す事も思考を鈍らせる事も無かった。
リリスは夢魔なのだから。
彼女に取って快感を得る行為は栄養の摂取に伴なう物であり、要するに味か食感のような物だ。
精気を伴わない中身の無い快感なんてノンカロリーで虚しいだけだった。
味はするのに何も食べた気がしない、ガムみたいな物である。
(『小悪魔のウインク』、かあ。どう使えばいいんだろ。
 何度でも出てきてくれるっていうけど、自分に使っても意味は無いよね。
 ……敵に使えば良いのかな?)
使えなくもないだろう。
カードを発動させてからウインクまでにタイムラグは有るけれど、
その間だってリリスが動けないわけではない。
ソウルフラッシュを遅く撃つように使えば、強力な牽制技として戦術に組み込めるはずだった。
しかし。
(でもこの位じゃ牽制にもならないよね)
すぐに、落胆と共にカードを仕舞い込んでしまった。

リリスが自分に使ってみた感想は『ちょっと驚く程度で大した物でもない』という所だ。
人間であれば完全に翻弄し動きも思考も止める事が出来るだろう事に気づかない。

増してやこの世界は外見判別で子供を集められた場所であり、
この感覚は肉体が成熟してからでなければ本来甘受できない感覚であり、
即ち幼くして苦難の人生を歩んだ者も、未成熟な肉体で永遠を生きる者さえも耐性の無い、
ほぼ全ての者にとって痛みの様に耐える事すら出来ない未体験の激感であった事に気づける筈もない。

小悪魔のウインクはハズレとして仕舞い込まれた。


もう一つは、黒鉄の銃だった。
替えの弾装やら何やらまで付いている。
早速壁に向けて引き金を引いてみた。
弾丸は入っているみたいなのに、何も起きない。

「……って、またおもちゃなの?」
この島に降り立った直後の繰り返しだ。
安全装置が掛かったままである事に気づかない。
リリスは落胆とともに黒鉄の銃をランドセルに仕舞い込み────。





(……待って)

その手を、止めた。
思考を、止めなかった。
0573死者を求めて ◇S4WDIYQkX.2010/02/19(金) 02:58:50ID:9SVaCZf8
グリーンを撃ち殺したように、この島にはちゃんと本物の銃も支給されている。
きっと、たくさん。
それなのに二度に渡っておもちゃの銃を引くなんて事、ありえるだろうか?

リリスは諦めずに銃の細部を観察し始めた。
引き金やグリップ、銃口。
銃口の中のライフリングに、グリップの細工、引き金の色つやまで。
……すぐに、重心の横についた小さな可動部に気がついた。

安全装置を外して、引き金を引いた。
銃弾はあっさりと射出され、壁を穿った。

「そっか、そういう事だったんだ」

きっとあの時も、同じ事だったのだろう。
ささやかな達成感と共に引き金を引く。
引き金を引く。
引き金を引く。
五発、六発、七発。

十一発、十二発、十三発。

カチリという音が弾切れを報せた。

「……あれ、これだけ?」

最初に入っていた弾倉はもう無くなってしまった。
十三発。
それがこの銃に入れておける弾数だった。
替えの弾倉は二つ有ったが、それ以前の問題にも気づいてしまう。
リリスは試射をした壁を見て、がっくりと項垂れた。
(うぅ、銃って打てば当たるものじゃなかったんだ)

標的を見つめる視力も反動に負けない握力も十分だったはずなのだが、当たり具合はイマイチだ。
この数mの距離で動かない相手の体の何処かになら当たったといえなくもないが、
自分と同じ位の速さで動いてる相手にならこの距離ですら当たらない。
文字通り零距離で撃ち込まなければ当たらないだろう。
第一零距離なら普通に翼で斬った方が威力抜群だ。
人の達人はこれを遠くの相手に当てられるのだという。
そう思うと感嘆すら感じてしまう。
人間って凄い。

「リリス、コレモ」
「へ?」
QBがもう三発、弾丸を差し出してきた。
どうやらランドセルの中にバラで入っていたらしい。
違和感があった。

(なんで他の弾倉と別になってるんだろう?)

よくよく見ればその弾丸は材質も違うようで、何かが奇妙だった。
得体の知れない強烈な力を秘めている気がした。
礼を言いつつ弾丸を受け取ると、その内の一発だけを銃に篭める。
壁を、撃ってみた。
引き金を引いた。
その瞬間。

予想だにしない閃光と轟音が鳴り響いた。
0574創る名無しに見る名無し2010/02/19(金) 02:59:53ID:QIyyyE+P
0575死者を求めて ◇S4WDIYQkX.2010/02/19(金) 03:00:15ID:9SVaCZf8

思わず上げた悲鳴が爆音に掻き消される。
全身が後方へと押し流される。
銃が、ものすごい力でリリスの体を押して来ているのだ。
さっき撃った時にも有った反動だと理解し、その桁違いの出力に当惑し、必死に床を踏み締めた。
耐えられなかった。
ふっと。
体が浮く。
跳ね飛ばされ反対側の壁に叩きつけられる。
銃を押さえ込みながら、強引に羽と足で着“壁”する。
肌が粟立つ奇妙な感覚が全身を襲う。
視界を塗り潰す閃光はしかしほんの一瞬で途絶えて。

ぽっかり穴の空いた向かいの壁を目にした。

「………………なにこれ?」

リリスが握る銃の名はブラックバレル・レプリカという。
とある世界における魔術教会三大部門の一つ、アトラス院に封印されし七大兵器の一つ、
ブラックバレル──のレプリカである。
ブラックバレルとは“天寿”の概念武装であり、対象の寿命に比例した毒素を発揮する。
即ちブラックバレルから放たれた弾丸は吸血鬼など不老の存在に絶大な破壊力を発揮するのだ。

しかし所詮はレプリカでもある。
レプリカから放たれる銃弾は確かに“天寿”の特性を備えていたし、
吸血鬼にも通用する有効な武器ではあったが、そこまででしかなかった。
吸血鬼にもダメージを与えられるが必殺には程遠い、その程度の武器だった。

だが、その威力では足りない怪物に対した所有者、シオンという娘は一つの工夫を付け足した。
彼女を怪物から庇って散った友人の武器、別の概念武装の欠片を銃弾に加工したのだ。
吸血鬼に対する純粋な滅びの概念武装、正式外典「ガマリエル」の欠片。
模造品と、欠片。

その二つを組み合わせた威力が本来の物に匹敵するかは判らない。
いや、恐らくは到底届くまい。
それでもこの融合により、ブラックバレル・レプリカは強大な出力を発揮出来るようになった。
弾丸ではなく極太のビームと化したその銃撃は、物理的な破壊力だけでも相当な物だ。
地面を撃てば人が埋まるほどの穴が開く。
特性が牙を剥く吸血鬼ならば、直撃して耐えられる者など数える程だった。
……逆に言うならば、数える程には居るのであるが。

「えーっと……大当たりなんだよね、これ」
リリスは唖然となりながら呟いた。
残り二発しか無いとはいえ、この銃弾をこの銃から撃てば物凄い破壊力を発揮出来るらしい。
そう認識しながらも自信なさげに呟くのは、やはり当てる自信が無いからである。

本来の所有者シオンは強靱で細い糸、エーテライトを使い自身の体を固定する事で横に撃っていた。
そうでなければ相手を上空に弾きあげ、反動を地面へ逃がせるようにして真上に向けて撃っていた。
シオンとてただの人ではなく、肉体は半ば程度に吸血鬼化していたのだが、
それでもそこまでしなければ撃てないほど反動が凄まじいのだ。

半分どころか完全に人外であるリリスは、当然の事ながらシオンより遥かに固く銃把を握れる。
しかしリリスには銃を撃った経験がまるで無い。
反動をどう逃がせば良いのかすら判らない。
これでは反動に吹き飛ばされるのも当然だと言える。
今さっきのは咄嗟の事だったにせよ、構えて撃っても抑えきれるものだろうか。

些か戸惑いつつも、リリスはブラックバレル・レプリカを仕舞い込んだ。
強力な武器には違いないが、文字通りの切り札なのだ。
何時どんなタイミングでどう使えば良いのかを考えあぐねていた。
0576死者を求めて ◇S4WDIYQkX.2010/02/19(金) 03:00:59ID:9SVaCZf8
落ち着こうと一息を吐いて、それから。
リリスはQBに質問を投げかけた。

「ところでさ、QBを倒すなんて一体誰がやったの?」
「レミリア」
「へぇ、どんな奴?」
「ジェダサマ、ヴァンパイアッテイッテタ」
QBはリリスの問いに躊躇う様子も無く答えた。

それはそうだ。
QBにとってこれは、話して良いと言われたリリスとの会話の延長にすぎない。
ご褒美を消費までしないと与えていけない情報とは認識していなかった。
リリスはこれを見込んで取引で情報を求めようとしなかったのだ。
ジェダが『会話を許した』リリスだけに生まれた特例であった。

「ああ、ヴァンパイアって事は夜は強くなるんだ。どこでやられたの?」
「ホクトウノマチ」
そしてやはり北東の町。
どうやら北東の町では本当に様々な事が起きたらしい。

「それならやっぱり北東は手伝えないね。あたしはそいつが近づいてきてもわかんないし」
北東の町でなく神社を手伝うと言っておいて良かった。
それから、今のは先にQBが何処でやられたか聞くべきだったのだと気づく。

(焦っちゃダメだよね。順番を考えなきゃ)

リリスの思考は未だ拙い。
理詰めで積み重ねる思考には未熟なのだ。
時折驚くほどの閃きを見せたかと思えば、元のままの愚かしさも見せる。
不安定な閃き。
不完全だからこそ成長し続ける者。
今のリリスはそんな存在だ。

「でもよくQBを倒せたね、そいつ。QBって制限も無くていつも通りなんでしょ?」
いつも通り、という言葉にQBは少し頭を傾げた。
当然だろう。
もし制限が掛かっていたとしてもQBは気づかないだろう。
リリスは聞き方を変えた。
「ねえ、そいつはどんな力を使うの?」
「ケンヲモッテタ。ツエヲモッテタ」
「……それだけ?」
「ソレダケ」
なんとも身も蓋もない返答であった。

QBにしてみればやはり当たり前の話なのだ。
QBよりはかなり遅いが相当な速さで空中戦が出来る事など自分と比較して特筆する事でも無いし、
腹に大きな風穴を空けても戦い続けた事だってダークストーカーなら驚く程でもない。
魔法を使った事も、その位は『よくある魔性の力』の一種でしかない。
QBの目からすればレミリアこそ普通の敵であり、特筆すべき事など何も無かった。
逆に言えば満月の夜に辛うじてとはいえ、普通に敵しえたレミリアが異常なのだ。

リリスはうーんと考えてその意味を解釈する。
具体的にどう強くて、どんな戦い方をしてQBを倒したのかは想像の外だ。
だから本質的な部分だけを探し出す。

(えーっと、つまり実力でQBを倒したって事なのかなあ?)

レミリアは単純に強いのだと判断する。
ならばどうすれば良いかは明白だ。
0577死者を求めて ◇S4WDIYQkX.2010/02/19(金) 03:01:42ID:9SVaCZf8
それはブラックバレルを当てれば良いとかそういうものではない。
QBに勝った程なら、必殺の一撃も避けるなり弾くなりしてしまうだろう。
単純に強いとはそういう事だ。
考えるべきはどう攻撃を当てどう攻撃を凌ぐか、即ちどう戦うかなのだ。
リリスが出した結論は。

(それじゃ、からめ手を考えれば良い……んだよね?)

肉体的に脆弱でありながらリリスを篭絡したグリーンやニアのような力である。

夢魔としてのトリッキーな強さを手に入れる。
これまでは感覚で行ってきた戦いをもう一段階進化させる。
リリスが掴むべきはそんな強さなのだろう。
(うう、むずかしそう。ほんとにあたしにできるかな)
不安になる。
少し、身震いする。
だけど腕に嵌めた首輪がしゃらんと鳴って。
想いを、思い出した。

(違う、できるかじゃない。やらなきゃいけないんだ)

この想いの答えに辿り着く為には、それしかない。
哀しみがリリスの意思を支えてくれる。
優勝して、神体の中のグリーンと言葉を交わしたい。
その答えが失恋だったとしても、その答えを受け止めたい。

想いが、思考を磨き上げていく。

(そもそもあたしにニアと同じ、戦う前に勝つなんてこと出来るわけがない。
 真似するだけで同じになれるわけがないもん。
 けどあたしには正面からでも戦える力がある。
 だから多分、ほんの少し有利に戦えるようにすれば十分なんだ。
 隙を作ったり、相手の切り札を出させないだけで。
 グリーンの指示を受けていた時みたいに、あたしの力をぜんぶ出せるようにするだけで。
 今はまだどうすればそんな風に出来るかも判らないけど、でも)

指針は、定まった。
どんな未来を目指せば良いかの指針は。

「……リリス?」
「ううん、なんでもない。
 QBは一回中身を補充してきた方が良いと思うよ。
 殆ど入って無いランドセルをあげても可哀想でしょ?」
もしかすると次をリリスが引く可能性も有るのだし。
「神社に埋められてる……古手梨花だっけ。そっちを確認したらまたちょうだいね」
QBがコクリコクリと頷く。
リリスはなんとなしに、呟いた。

「それにしてもこのご褒美っていうの、便利だよね。
 ジェダ様の言うとおりいっぱい殺せば強くなれて、もっと殺せるんだから。
 だからジェダ様も認めたのかな? あ、考えたのは別の子だっけ?」
「………………」

QBはその話には興味が無い。
ご褒美ランドセルの中身を補充するにしてもそのままにしても、その後は北東の街だ。
そこへ飛んで行き、言われた死体を捜す事しか目的には無い。
話を訊いて良いと言われたリリス以外の子供は、ご褒美を要求されなければ関係の無い存在だ。
だから何の義理も無くて。
0578死者を求めて ◇S4WDIYQkX.2010/02/19(金) 03:02:25ID:9SVaCZf8
「そう、あいつ。太った、白い男の子…………そうか、あの時に見てたんだ……。
 グリーンを殺したあいつ、今頃、どこに居るんだろ」
「ソコ」
あっさり答えた。

「……え?」

誰よりもリリスが唖然となった。
QBは、壁を指差している。
隣の部屋とを隔てる、壁。
誰も居ない壁際……いや、壁に空いた穴。
バレルレプリカによる空いた、隣の部屋に繋がる穴。
その穴の向こうから、ビクッと気配が漏れた。

カサカサと走り去る音が響く。
リリスはハッとなり部屋の壁に突撃し、その勢いのまま隣室へと転がり込んだ。
その部屋の、窓際には。

グリーンが撃たれた時、顔だけで振り向いた時に見た。
最初の会場でご褒美の交渉を求めた時に見た。

肉まんみたいな少年の姿があった。

「ま、待て、暴力はいけないぞ、暴力は」
あたふたと慌てた様子で変な挙動を見せる。
だらだら脂汗を流しながら、自分は無力と言うかのように両手を上げる。
「話しあおうじゃないか。暴力はんたーいっ!」
怯えて、命乞いをする、無様で小さくて太った肉の塊。
それはとてもみっともないちっぽけな姿で。

どうしてだろう。
リリスの胸の奥からは吹き出す感情は、憎しみではなかった。

グリーンの姿が脳裏を過ぎる。
それはどれも、宝石みたいにきらきらと輝く思い出だった。
綺麗な事ばかりじゃない、ニアと会ってからは何かすれ違いも有ったはずだ。
豚にされた時のグリーンは、大好きな事は変わらないけど言葉をかけてくれなくて苦しくなった。
なのに、そんな光景は一つも浮かばなかった。

胸の奥から浮かぶグリーンの姿はどれも、輝いていた。
頭脳明晰で、リリスには思いつきもしない発想をくれて、
彼の言うとおりにしている間は全てが上手く行っていた。

力じゃまるで大した事無いのに、すごい人だった。

それが、目の前の肉まんみたいな子供に殺された。
そいつの撃ったらしい銃弾でグリーンは死んだ。
あっさりと。
ほんとうに、すごい人だったのに。
ずっと離れたくないって思えた人なのに。

抱き締めたいってだけじゃなくて、抱き締めて欲しいって思った人なのに。

こんな奴に殺された。

期待外れ?

どうして?

目の前の奴がどんな奴でも関係無いはずなのに。
0579死者を求めて ◇S4WDIYQkX.2010/02/19(金) 03:03:09ID:9SVaCZf8
コイツは、グリーンを殺した奴だ。
それだけが判ればリリスにとって関係無い話のはずなのに。

どうしてこんなに。

憎いのでも殺したいのでもなく。


ただただ腹が立つのか。


「わああああああああああああああああああああああああああっ」

気づけばリリスは、喉の奥から絶叫を上げて突撃していた。
そして刃に変えた翼を力いっぱい振り抜いた。
作戦も予測も無くて、ただ純粋に力強くて速い攻撃だった。

それよりも肉まんが窓から体を踊らせる方が早かった。


「え?」

肉まんは飛べる能力が有った様子も無く、落ちて行った。
リリスは理解できずにただただ困惑を浮かべて。



ガシャンと、下の方から響いた音を耳にする。


よく見れば、窓際にはロープが括りつけられていた。
慌てて下を覗き込むと、下の方の部屋の窓が割れていた。
どうやらそこから別の部屋に移ったらしい。
更にそっちの方でドタドタと騒がしい音が聞こえてきた。

肉まんはみっともなく逃げていく。

なるほど、それは賢い選択なのだろう。
逃げる算段もそれなりに立てているのだろう。
だけどリリスにはどうしてか、追いかけるつもりにすらなれなかった。
だって。

(……いいや、あんな奴)

どうしてか、そんな想いが込み上げてしまったから。


あんな奴がグリーンを殺した事は絶対に許せないけれど、
それを追い掛け回して殺すことに必死になる自分を想像したら、なんだか。

くだらないと思えてしまった。

湧き上がった熱情も見る見るうちに褪めていく。
それよりも行動すべきなのだろうと思考する。
あんな奴に構うよりも行動して、グリーンの魂に一秒でも早く辿り着くべきだろう。
その為にみんな殺していけば良いだけだと、そう思う。
最早リリスの眼中には太った少年の事など無くて、腕に飾った二つの首輪だけが映っていた。

目尻が濡れていた。
0580死者を求めて ◇S4WDIYQkX.2010/02/19(金) 03:03:51ID:9SVaCZf8
(……早く、会いたい)

いつの間にか傍に居たQBが、ポツリと言った。

「リリスハ、フルデリカヲサガス」
「…………うん。そうだよ」

それだけを確認すると、QBはそっけなく飛び去った。
QBにはリリスが涙を零す理由も、それがどういう意味なのか理解する知能も無い。
リリスが約束を守ってくれるならそれだけで十分だった。

リリスにも自分がどうして泣いているのか判らなかった。
だけどリリスには一つだけ理解出来る知能があった。
この涙はグリーンを想っているからなのだろう、と。

(行こう)

想いを確かめようと、前に進み始めた。
行動を再開した。
QBから非正規のご褒美も正規のご褒美も貰って、もっともっと強くなるために。

振り返らず進んでいこう。
改めて、強く思った。

【C-6/ラブホテル/2日目/黎明】
【リリス@ヴァンパイアセイヴァー】
[状態]:右足と左腕にレーザー痕。顔に酷い腫れ。全身打撲。(以上全て応急手当済み)
     疲労(小)。全身に軽度の火傷。額に浅い切り傷。背中に打撲。
     微かな哀しみとすっきりと澄み渡った決意。『考え』る事に目覚めた。
[装備]:首輪×2(グリーンとニアのもの。腕輪のように両腕に通している)
[道具]:基本支給品二式(ランドセルは男物)、眠り火×8@落第忍者乱太郎、魔女の媚薬@H×H、
    メタちゃん(メタモン)@ポケットモンスターSPECIAL、きせかえカメラ(充電済)@ドラえもん
    モンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL 、小悪魔のウインク@H×H、
    ブラックバレル・レプリカ(13/13)@メルティブラッド(予備弾倉×1、ガマリエル弾×2)
[思考]:力を付けなきゃ。もっと強くならなきゃ。
第一行動方針:神社に向かい埋葬されているはずの古手梨花の死体を捜す。
第二行動方針:Q-Beeに協力。その恩賞として色々得る。
基本行動方針:優勝して、グリーンの魂ともう一度語り合う。もう「遊び」に夢中になったりはしない。
[備考]:
荷物の中の『魔女の媚薬@H×H』には説明書がついていません。
Q-Beeからジェダに命じられた任務の内容を聞きました。

【Q−Bee@ヴァンパイアハンター】
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:不明(なし?)
[道具]:ご褒美ランドセル(不明支給品0〜1(ただし補給する?))
[思考]:テツダイ……
第一行動方針:北東市街地の死体を捜しに行く。
第二行動方針:ジェダの指令をこなす
第三行動方針:(……ゴハン)
基本行動方針:本能に逆らえる範囲内で、ジェダの指令を忠実にこなす
[備考]:野上葵、ニア、グリーンの死体の存在を確認しました。
    ジェダには内緒で少しの間休憩をとりました。
    キルアの殺害者を弥彦に偽装する事にしました。
0581創る名無しに見る名無し2010/02/19(金) 03:04:39ID:QIyyyE+P
0582死者を求めて ◇S4WDIYQkX.2010/02/19(金) 03:05:05ID:9SVaCZf8
肉まんことパタリロは息を潜めて、リリスとQBが飛び去って行くのを見送った。
ふむと首を傾げ、考え込む。
予測した内容は、当たったような当たらなかったようなびみょーな結果になった。

パタリロの予測は、リリスがジェダの手を離れているのではないかという物だ。
リリスがあの青年、グリーン(とリリスが言っていた)に重大な内情なりを話してしまい、
それによりジェダはリリス達に刺客を差し向け、
人目に付かせずそれを果たす為に雨を降らせたのではないか、という推測である。

最初、QBがその場所に居た事は予想を裏付ける物に思えた。
ジェダから放たれたQBがリリスを殺しに来たのだと。
しかしどうも様子がおかしい。
リリスはQBに死体捜しを手伝うからご褒美をなどと言っていた。
グリーンは既に死んでいたというのだ。

いち早くジェダに始末された後という可能性も有りえたが、それにしたってQBは何をしに来たのだろう。
大体もしそうならQBが死体を捜す理由が無い。

(戸棚に隠されたお菓子をこっそりと食べてもばれなければOK、というのは合ってたみたいだが)

QBもリリスを始末しようという様子では無かった。
むしろリリスに秘密裏の任務を申し付けに来たように思える。
残念ながら部屋の壁がいやんばかんを漏らさない防音壁であるせいで最初の方は
パタリロの耳を持ってしても聞き取りにくかったのだが、QBがリリスに何か用が有って来て、
リリスはその代わりにご褒美を要求したようだ、という所までは把握出来た。
具体的に誰の死体を捜しているのかも。

(しかし死体捜しとはけったいだなあ。
 野上葵とニアと太刀川ミミが最優先で、
 他にグリーン、ヴィクトリア、古手梨花、ククリ、金糸雀も見つけないといけないというが。
 なんでそんなにあくせく死体を捜しているんだ?)

まさか死亡確認を目視で行っていたのだろうか。
QBはご褒美を配達に飛び回っているわけだし有り得るのかもしれないが。
とりあえず、死体はほぼ聞き覚えが無い者ばかりだ。
もしかするとグリーンは自分の仕業かもしれないが、他は一体なんなのか。

(何がなんだかさっぱりだが、どうやら重要な死体みたいだな)

例えばQBの先回りをして死体を調べたりすれば何か判るだろうか。
だがQBは物凄い速さで飛んで行ってしまった。
あれの先回りを出来るとは思えない。
どうにかならない物か。

もう一つ奇妙なのは、追いかけられなかった事だ。

途中で銃を撃たれた時はあわや気づかれたのかと慌てたし、
髪の先っちょを焼き焦がしてぶっぱなされたなんだかよく判らない砲撃には死んだかと思ったが、
その後に追撃もなく、本当にただの試し撃ちで気づかれなかったのかと胸をなでおろしたものの……
そんなワケは無く、やっぱり気づかれていたらしい。
0583死者を求めて ◇S4WDIYQkX.2010/02/19(金) 03:05:53ID:9SVaCZf8
にも関わらずQBもリリスも話が一段落するまで動かなかった。
リリスは穴を抜けて襲って来たが、攻撃は真っ直で甘かったし、追っても来なかった。
もしもパタリロがグリーンを殺したというのなら、リリスにとって仇である筈なのだが。

(元々グリーンって奴とは仲が悪かったのかな?
 そういえばあの時も口ゲンカをしていた気がする。
 ジェダに言われたら普通に切り捨てられる程度の奴だったとか。
 しかしそれにしたって聞かせてくれた理由がよくわからん。
 もしかしてジェダの奴、配下にも裏切られてるんじゃなかろーな?)

故意に聞かせてくれたとすればそう考える事もできる。
QBやリリスは先程の情報をパタリロに漏らす事で何かを狙っているのだと。
バレたら不味いからそれなりに殺そうとはするだろうけど、本気ではない。
既にジェダを見限っていて、この殺し合いを破綻させようとしているのだ。
穴を空けたのも話がよく聞こえるようにというまごころだ。
割と筋が通る気もしてきた。

「もしそうだとしたら、期待に答えてやらんとな」
やはり先ほど聞かされた情報から何かを読み取らなければならない。

考え中。


考え中。



考え中………………。




「って、どんな奴かもわからん死体をどう考えろとゆーんだ!!」

わかるわけがない。
パタリロは死んだ者達がどんな事をして何時何処で誰にどんな風に殺されかかも知らないのだ。
これでは考察の立てようも無い。
とにかく情報を集めなければにっちもさっちも行かないのだ。

「追いかけるのも手か」
QBの向かった北東市街地はともかく、リリスの向かった中央部なら行けなくもない。
どうせ間に合わないだろうが、痕跡を調べるなり出来るコトも有るだろう。
ただし目撃情報を聞くのは難しいが。
参加者の殆どに警戒されているという条件が厳しい。
信頼してもらうための土産話も殆ど無い。
だって土産話になる考察をする為の情報が集まらないんだもの。
0584創る名無しに見る名無し2010/02/19(金) 03:08:11ID:QIyyyE+P
如何せん、何を考えるにも情報が足りなすぎる。
その上に仲間が居ないのだ。
マー詰んでるね。
モー詰んでます。

「くそー、ほんとなんて事をしてしまったんだぼくはー!?」

どったんばったん思い悩むパタリロ。
最初の会場であんなに堂々と取引をしてしまった事による孤立無援が痛すぎる。
この状態で出来る情報収集なんて盗み聞きくらいのもんだ。
ほんとにもうどうしてくれようこの事態。

「……待てよ? そういえばあいつ、グリーンを殺したのはぼくだって言ってたな」

ふとリリスの言葉を思い出す。
やっぱり間違いなくあの時の銃撃でグリーンは死んだのだ。
とすればグリーンの死体はあの辺りに有る筈だ。
もしかしたら建物の中に運び込まれたかもしれないが、血まみれビショ濡れ汚れ有りの死体である。
道路の痕跡は綺麗さっぱり洗い流されても、建物の入り口を見れば濡れた物を引きずった跡が残る。
周囲の建物を虱潰しに見ていくのは相当面倒くさいが、見つけられなくもないだろう。
埋められていたら厄介だが、とりあえずは考えないでおく。
たぶん、大丈夫のはずだ。
古手梨花は神社に埋められているってわざわざ言っていたし、グリーンの方は埋まってないだろう。

グリーンの死体を見れば、どうしてQBがそれらの死体を確認していたのか、
どうしてわざわざ死亡確認をしていたのか判るかもしれない。

「よし、善は急げだ。早速捜しに行こう」

カサカサと音を立てて走り出す。
未だ止む気配の無い雨の下、パタリロは死体を捜しに駆け出した。

【C-6/市街地/2日目/黎明】
【パタリロ=ド=マリネール8世@パタリロ!】
[状態]:頭にたんこぶ、ずぶ濡れ
[装備]:S&W M29(残弾4/6発)@BLACK LAGOON、 ヘルメスドライブ@武装錬金(破損中・核鉄状態、使用登録者アリサ)
[道具]:支給品一式(食料なし)、44マグナム予備弾17発(ローダー付き)
    せんべい、お茶菓子、コーヒー豆、がらくたがいくつか
    ミニ八卦炉@東方Project、クロウカード『翔』@カードキャプターさくら、
    エーテライト×2@MELTY BLOOD、はやての左腕
[思考]:それにしてもひどい雨だ。
第一行動方針:グリーンの死体を捜索する。
第二行動方針:首輪の調達。藤木あたりが候補。
第三行動方針:調達した首輪を調べたい。道具や設備も確保したい。
第四行動方針:他にも対主催として有用な情報を得て、自分を信用してもらう材料とする。
第五行動方針:弥彦と千秋にはあう確率は低いと判断。でもできれば再開したい
第六行動方針:仲間集めは、慎重にしたほうがいいかな……
第七行動方針:暇ができたらはやての腕を埋葬してやる。
基本行動方針:好戦的な相手には応戦する。自分を騙そうとする相手には容赦しない。
最終行動方針:ジェダを倒してお宝ガッポリ。その後に時間移動で事件を根本から解決する。
[備考]
自分が受けている能力制限の範囲について大体理解しています。
弥彦を完全には信用していません。簡単に情報交換済みです。
よつばと藤木の死の真相について大雑把にですが勘付いて、千秋を少し疑っています。
キルアとエヴァが少なくとも今の自分にとっては危険人物であると判断しました。どちらも、名前は知りません。
自分が誰からも警戒されている存在だと、改めて把握しました。
リリスとQ-Beeが内心ではジェダを裏切りわざと会話を聞かせたのだと考えています。
0585死者を求めて ◇S4WDIYQkX.2010/02/19(金) 03:09:52ID:QIyyyE+P
【小悪魔のウインク@HUNTER×HUNTER】
「このウインクを受けた者は、この世のものとは思えないほどの絶頂感を味わうことができる。
 何度でも現れてウインクしてくれるが、中毒に注意。」(カード原文より)

グリードアイランドのカード。
現れてウインクをしてくれる小悪魔に実体は無い物とする。


【ブラックバレル・レプリカ@メルティブラッド】
魔術協会三大部門の一つであるアトラス院に展示される七大兵器の一つであるブラックバレル、の模造品。
“天寿”の概念武装であり、その生命の寿命に比例した毒素(攻撃力)を発揮する。
ただし通常弾では吸血鬼にも一応通用する程度の模様。
外見は自動拳銃で、通常弾(十三発)のカートリッジ三本と、
対吸血鬼の純粋な滅びの概念武装である槍鍵ガマリエルの破片から作られた特殊弾三発が付属する。
特殊弾の射撃は銃弾ではなく太いビーム砲撃と化す。

本来の所有者シオンは横に撃つ時エーテライトで固定して撃っており、
基本的には相手を跳ね上げて真上に撃つ事から、強烈な反動があるようだ。
ただしシオンの身体能力は、元が運動不足で、半吸血鬼化して多少は人外という微妙な程度。
0586死者を求めて ◇S4WDIYQkX.2010/02/19(金) 03:11:50ID:9SVaCZf8
代理投下終了
規制されたから途中から携帯で
0587創る名無しに見る名無し2010/02/19(金) 03:31:59ID:QIyyyE+P
あと感想も
やっぱパタリロいいな
ニケが死んだ今、このロワで唯一の清涼剤と言えるかもしれない
参加者のほとんどに警戒されてて、いつ死んでもおかしくないのが怖いけどw
リリスもパタリロも当面の行動方針が定まったようだし、これからに期待
0588創る名無しに見る名無し2010/02/19(金) 11:55:37ID:EKm1oTrq
投下乙です
リリスとパタリロはこれからどうなるかほんと怖いなあ。
リリス→本調子 パタ→迷推理
で怖さの方向性は真逆だけども……。
0589創る名無しに見る名無し2010/02/19(金) 13:12:17ID:T5lGdmE1
投下&代理投下乙!
何というか、リリスが段々といい女になっていくなあ。
悲しみを乗り越えて前進する様はマーダーなのに、どこか主人公っぽい。
そしてパタリロは相変わらずぼっち過ぎるwww
0590創る名無しに見る名無し2010/02/20(土) 01:11:54ID:GywN/q4d
「あいつ、今頃、どこに居るんだろ」
「ソコ」

なんだこのシュールな会話www
0591創る名無しに見る名無し2010/02/20(土) 01:34:11ID:7AzVaD/r
最近Q-Beeもメインで活躍するようになってきたし、Q-Beeの追跡表も用意すべきかな
それならついでにジェダもやっといた方がいいと思うんだけど
0592創る名無しに見る名無し2010/02/20(土) 14:35:13ID:GywN/q4d
必要がない気もするけど。
時系列バラバラであちこちに宅配にいってるし、気にしない方がいい。
0593創る名無しに見る名無し2010/02/21(日) 01:40:10ID:szKRZ6Rv
あって困るもんではないからな
0594創る名無しに見る名無し2010/02/24(水) 11:10:33ID:9wLL65Cs
予約来てるな
0595創る名無しに見る名無し2010/02/24(水) 21:56:39ID:5j1jAVGb
2つもきたのかー
0596創る名無しに見る名無し2010/02/25(木) 01:30:56ID:tkH+aD7o
城の情報交換と、パタリロが仲間と再会かー。
パタリロの進行方向的に弥彦が南西市街に帰ってくるんかな?
0597 ◆S4WDIYQkX. 2010/02/26(金) 05:22:00ID:bXQHNs0H
投下を開始します。
0598優しい微笑みを浮かべて ◆S4WDIYQkX. 2010/02/26(金) 05:24:38ID:bXQHNs0H
「雛ちゃんを知ってるの!?」

待った、と思った。
その発言と共に起きて来た木之本桜を見て、最も思考したのはベルカナだった。
彼女は桜が雛苺を『雛ちゃん』と親しげに呼んだ事に対して、警戒心を抱いたのだ。
ベルカナがこれと思考する時、その思考速度は超人的な物だといえる。
それは人より深く考えられるとかそういう意味とは少し違う。
知性という意味でも極めて明晰な知性を持つが、人間離れした程でもない。
観察し、知識と照らし合わせ、分析し、結果を推測する。
そういった普通なら時間の掛かる思考が早いのである。
常人が長時間掛かる程の緻密な作戦を、数瞬の猶予しか許されない遭遇戦で実行する。
それこそがベルカナの持つ武器である。

(どうしてそういうニュアンスで雛苺を呼びますの?
 梨々による所、雛苺は彼女に残酷な行為を強いた危険人物です。
 そして梨々による所、木之本桜はそういった行為に激しい苦痛を感じる人物の筈です。
 桜がおかしいのか、梨々の情報がおかしいのか、あるいは数時間で何かが有ったのか。
 どういう事か彼女から聞き出すのが最も効果的ですが、一つ障害が有ります)

問題はシャナの存在だ。
引き下がりはしたものの、先ほどはイヴを殺すと主張していた彼女の、所謂……正義感が厄介だ。
もし彼女が雛苺に対して敵意を抱いていた場合、雛苺を擁護するのは危険だろう。
木之本桜がおかしくなっていて危険人物である雛苺を擁護しているのだとすれば、
桜を護るなど百害有って一利無しだが、死んだ梨々の事を想うと見捨てるには早すぎる。
梨々は、ベルカナの仲間だったのだから。

「とりあえずシーツでも纏いなさい、さくら」
「え? ……きゃあああぁっ!? な、なんで裸なの!?」
「服が濡れていたからです。服はそこに干してありますが、まだ乾いてないと思いますわ」
「はうぅ、わかりましたぁ……」

着替えを始めた桜を尻目に思考を継続する。
幸い、シャナも理が有れば引き下がる人物のようだ。
ベルカナは丁寧に言葉を選びながら探りを入れた。

「ええ、木之本桜さん。意識を失っていたから、紹介もまだですわね。
 私はベルカナ・ライザナーザ。
 梨々=ハミルトンと仲間に協力し、あなたを救出すべく行動していました」
「梨々、ちゃん……? 梨々ちゃんが生きてたの!? きゃっ」
「ああ、ほら、服を着ながら慌てるからです」
ベルカナは慌てて桜を助け起こす。
同時に、少女の一言に篭められたあまりにも真摯な愛おしさだけで迷いは雲散していた。

彼女は、梨々の友人だ。

どんな理由が有ろうとも、梨々の友である事だけは間違いない。
桜が自らの感情まで全て演じてみせる名優という可能性はさて置く事にした。
仲間の友人であるというならば、護らなければならない。
その人物に伴う危険性など後の話だ。

「どういう事? 説明しなさい」
「ええ。雛苺という人形は初め夕方の森に出現した危険人物です。
 そこで彼女、木之本桜を拉致して殺人を強要しました。
 彼女の仲間だった梨々=ハミルトンもその時に殺されかけています。
 つまりは私達の、敵です」
「待って、待ってベルカナさん!」

シャナの問いにベルカナが答え、桜が異を呈した。
0599優しい微笑みを浮かべて ◆S4WDIYQkX. 2010/02/26(金) 05:26:27ID:bXQHNs0H
木之本桜にとって交わされる言葉は冷たい刃のようだった。
そこに交わされる言葉の殆どは、厳然たる事実だ。
むしろ事実はそれ以上の物とすら言えるだろう。

雛苺は多くの命を奪った殺人鬼である。

その事は桜だって判っている。
語られた以上の罪を木之本桜は目撃し、体験してきた。
あれだけの罪を誰が赦せるというのだろう。
弱さから罪に走った雛苺には罪を背負う事すらできはしない。
雛苺は罪を振り返る事もない極悪人としてこの島に立っている。
だけど、それでも。
雛苺の瞳に湛えられた恐怖と悲しみは。

彼女が漏らした悲痛な訴えは真実の叫びだったと信じたい。

(たすけたい。絶対だいじょうぶだよって信じさせてあげたい)

この島で雛苺は罪を振り返れないかもしれない。
絶対に赦されない事をしたという、その重みを受け止められないかもしれない。
今は。
でも何時か。
今日は無理だろう。
明日でも無理かもしれない。
でもずっと一緒に居てあげて、雛苺の心が落ち着きを取り戻せたら。

その日が来たら、一つ一つ清算していこう。
全ての罪を。
全ての過ちを。
例えどれだけ掛かったって、何時の日か。
だから桜は、思うのだ。

「その通りだけど、でも違う。違うの!
 雛ちゃんはただ寂しくて、一人になるのを怖がっていただけなの。
 それで本当にひどい事を何度もしてしまった。
 それはほんとう。
 でも、これ以上はさせないから。
 わたしが一緒に居れば、大丈夫だから。
 雛ちゃんにはもう、人殺しなんて絶対にさせない!」

彼女に救いと、時間をあげて、と。
悪意と殺意が支配するこんな残酷な島の時間じゃなくて、
誰かと心を通わせて、なんて事も無い、だけど掛け替えの無い温かな時間を。
立ち上がるのに少し時間が掛かってしまうのは、決していけない事じゃないと思うから。

しかしベルカナは、首を振った。

(どうして?)
桜はベルカナの瞳を見た。
何かしら強い感情を湛えた、冷たい瞳を。
ベルカナは告げた。
「私は咎人の罪を裁きなどしません。私達の敵で無いならば。
 全てはあなた次第です。
 もしもあなたが本当に雛苺を御す事が出来て、
 かつ雛苺について最も渦中にいるあなたがあれを赦す事が出来るなら」
「赦……す…………?」
桜が先ほど訴えた言葉では、まだ不足なのだろうか。
戸惑う桜にベルカナは教えた。
雛苺が絡む更なる罪を。
0600優しい微笑みを浮かべて ◆S4WDIYQkX. 2010/02/26(金) 05:29:01ID:bXQHNs0H
「雛苺に操られるあなたに殴り殺されかけても。
 あなたを救う為に、勇敢にもかつて敵だった者達に助力を求め、
 私達と共にあなたの為に戦った梨々=ハミルトンが。
 少し前の雛苺が乱入した戦いで戦死していると聞いても、同じ事を言えますか?」

「…………え……?」

頭をハンマーで殴られたようだった。
ついさっき、梨々は生きていたと聞いた。
どうして今この場に居ないのかは判らなかったけれど、すぐに聞こうと思っていた。
何度も謝って、何度もお礼を言って、仲直りしたいと思っていた。

雛苺によって死んだと思っていた梨々は、生きていた。
ずっとずっと、桜の為に戦い続けていた。
そして雛苺が乱入した戦いによって、梨々は命を落とした。

雛苺は木之本桜の親友の梨々=ハミルトンを、二度殺した。

「あなたは雛苺を御せてなどいない」

ベルカナの言葉は鋭く、冷たく、熾烈だった。
同時に、優しかった。

「もしかするとあなたは、それでも雛苺を赦せるのかもしれませんわね。
 私達よりずっと多くを奪われたあなたが雛苺を赦すなら、私も彼女を赦しましょう」
そしてベルカナの言うとおり。

木之本桜はそれでも雛苺を、赦せてしまう。

何時の日か償って欲しいと思いながら、それでも慈悲の心が上回る。
桜が傷つけ、救おうとし、逆に桜を救ったプレセアが殺されたというのに。
この島で信じられた数少ない親友の梨々=ハミルトンを二度殺されたというのに。
桜の手を見ず知らずの罪も無い少年の血で汚させたというのに。
大切な人達を何人も殺されて、桜の身も心も鋭い茨で引き裂いてきたというのに。
それでも桜は、雛苺を可哀相だと思ってしまう。

桜にはきっと、誰かを恨み憎む事なんてできないのだろう。

「ですが、雛苺が更なる罪を重ねる事は許せません。
 あなたに彼女を御す事が出来るかどうか。
 私達にとって重要な事はそれだけです」
ベルカナは会話を断ち切るように、告げた。
全ては桜次第だとそう言って。

「待ちなさい。それで結局、雛苺は何処へ行ったの?」
シャナが言葉を差し込んだ。
次は彼女との会話が待っていた。
ベルカナは答える。
「その時に襲撃してきた別口の誰かが連れ去りました。
 少女のようでしたが、守りの外套で全身を包んでいましたから顔も名前も不明です。
 何か支給品で転移したようですから、何処へ消えたかは判りませんわ」
「そう。それじゃ」
「お待ちなさい、こちらが話すだけでは堪りませんわ。
 そちらからも聞きたい事は幾つかあります。せめて友好的人物と危険な人物について」
シャナは、答えた。
0601優しい微笑みを浮かべて ◆S4WDIYQkX. 2010/02/26(金) 05:31:44ID:bXQHNs0H
「友好的な人物は犬上小太郎、犬の耳が生えた少年。強いけど、力を消耗してる。
 吉永双葉、少年みたいな少女。インデックスに預けた。
 妙な短剣を持っていなければ、三宮紫穂。変な服装。双葉と一緒。
 野比のび太。気弱そうな眼鏡の少年。
 高町なのは。精神が摩耗してるけど理性的で、行動自体は感情的な少女。
 インデックス。スケスケの服を着た銀髪碧眼の少女。北西の森周辺に居る。
 ヴィータ。赤い髪を三つ編みお下げにした少女。インデックスの仲間。
 明神弥彦。時代がかった和服でツンツン髪の剣術少年。不殺主義。
 キルア。姿も不明な仇を捜して南の市街地から中央部に向かってた。
 ここまでインデックス以外は見た目十歳かそこら。
 あと私は直接会ってないけど、アラストールがコキュートスから見たのが何人か。
 神社にエヴァンジェリン、ニケ、リンク、古手梨花というインデックスの仲間が居るみたい。
 全員外見は小学生も下の方くらいだけど、概ね戦えるそうよ。
 ここからは危険人物。名も知らない銀髪の少女。
 インデックスとの見分け方はよく笑うのと、明らかに邪悪で、胸部に穴が空いた喪服みたいなドレス。
 キルアに殺害されたらしいのに生きていたから、似た奴が居るのかも。
 リリス。南西の町で戦ったけど、逃げられたわ。思ったより狡猾で、純粋だった。
 ブルー。茶髪の少女。でも外見年齢を自在に変えられるみたい。
 それと一緒に居たのがイヴなんだけど……これはさっきの話で、とりあえずは良いわ」
シャナは矢継ぎ早に人物の解説をしていく。
朝までに北東の街へと着いておきたいシャナには時間が無いのだ。
そこを差し引いても不親切な所は多々あるが、こちらはシャナの性格による分が大きかった。
彼女は人に何かを教えたり伝えたりするのが大の苦手である。
これだけの説明で見た時に判るか、それどころか覚えておけるか怪しいものだが仕方が無い。
それから、トリエラとリルルの事は意図的に伏せていたし、
そうでなくとも高町なのはに頼まれたアリサなど話忘れが存在していた。
むしろ冷静に考えればシャナにこれほどの情報を提供する義理は無いのだが、
急いでいるからこそ逆にあまり考えず片っ端から話していた。

「あと学校に、私もアラストールも話でしか聞いてないけど、
 リンクや古手梨花の仲間だった小狼というのも居たみたいだけど神社とは別の方向に……」
「小狼くんが居たの!?」
大切な少年の名に木之本桜が喰らいつく。
「夕方の放送よりも前に聞いた事よ、何処に行ったかは…………判らないわ」
シャナは少し考え、学校に居た小狼は南へ向かったという話を伏せた。
ある可能性に気づいたからだ。

もしかすると、南の市街地から中央に続くトンネルの入り口に転がっていた、
まだ死んで間もない、あの死体こそが季小狼だったのではないだろうか?
生憎シャナもアラストールも小狼の姿を知らない。
もしそうであれば放送で呼ばれるし、そうでなければ無駄に不安がらせる必要も無い。

一方、ベルカナはシャナの話を聞いて少し考えていた。
彼女が出会った人物の数は結構なものだ。
しかし危険人物として伝わっていたのはヤミヤミことイヴだけ。
(案外、中央の森林部はかなりの壁になってくれたのかもしれませんわね。
 遭遇数が少ないアルルゥはともかく、レックスの情報も案外広がっていないのは僥倖です。
 それから……)
「吉永双葉は梨々の親友でしたわね。貴重な情報をありがとうございます。
 もう少しだけ良いですか? イエローやタバサという人物に心当たりは?
 両方とも金髪の少女、イエローは格好によっては少年に見えるかもしれません」
「金髪は……少し会ったり聞いたけど、全部名前は判ってるから違う」」
「そうですか。あとあなたがどの辺りで行動してきたか、教えてもらえますか?」
「私は島の西端を北から南、南西の市街地からここ。でも」
『我がインデックスと共に、島の西端から山岳地帯を経て神社、そこから西だ』
胸元のコキュートスからアラストールの声が響く。
その二つの情報から考えれば、島の西域は概ね網羅されている。
森林部に穴が有るものの、それ以外はほぼ全域を通っている。
(イエローとタバサは島の西域に出没していない──と見て良いのでしょうか)
吉永双葉は気になるが、島の西域を捜してもイエローやタバサは見つからないかもしれない。
0602優しい微笑みを浮かべて ◆S4WDIYQkX. 2010/02/26(金) 05:36:14ID:bXQHNs0H

「ふえ……わたし、そのイエローって子、知ってるかも……」
「本当ですか!?」
おずおずと上げられた桜の手にベルカナが反応する。

「う、うん。森で、雛ちゃんが襲ってきた時、緑の髪の人形と一緒に現れた子が、
 金髪でなんだか男の子みたいな見た目だったから。
 凄い爆発が有ってすぐに居なくなっちゃったから、どうなったのかは判らないよ」
「そう、ですか。何時頃、どう来たか分かりますか?」
「えっとね、時間は夕焼け空の頃で……」
木之本桜が語る内容にベルカナは内心で少しだけ、不安を抱いた。
謎の人形と戦場に現れたイエロー。
プレセアの治療に懸かっていた桜の視点からでは状況がよく判らなかったものの、
イエローとその人形が組んで行動していた事は確かだと思われた。

それ自体は別段悪い事ではない。
イエローも何か行動している事しか意味しない。
単に戦いを止めようと割って入ったのかもしれない。
だけど目の前に居る木之本桜からの連想で、ベルカナはこんな不安を抱いた。

イエローも桜のように、人形に操られているのではないか。

とはいえ、ベルカナが知る危険な人形は真紅と雛苺だけだ。
二度ある事は三度あるかもしれないが、三度目の正直かもしれない。
(雛苺の一件で人形に対して過敏になりすぎているのかもしれませんわね。冷静にならないと)

ベルカナは、ジーニアスの仲間こそ正に友好的な人形であった事を知らない。
翠星石の名と首はベルカナの中で結びついていないのだ。

「それで、その人形も何処へ行ったのか判らないの?」
「うん。ものすごい爆発が起きて、みんなはぐれちゃったから。
 ベルフラウちゃんともはぐれて……そのまま……」
シャナの問いに応じた桜の答えに、ベルカナは一瞬視線を泳がせる。
ほんの一瞬、それだけの反応だ。
彼女はベルフラウが何処で死体になっていたかを知っている。
この城のバルコニーで、誰とも知らぬ別の少女と並んで死んでいたのだから。
「……あなたが助けようとしていた、プレセアともですね」
話を逸らすように問い返す。
今度は逆に、桜が顔を俯かす。
苦痛から。
「ううん。プレセアさんは………………雛ちゃんに、殺された」
「そう、ですか」

ベルカナはまたも少し、惑う。
雛苺に関わって失ったものが多すぎる。
それは彼女自身が赦す赦さないという問題ではない。
仲間の結束を保てるかどうか、それこそが問題だった。
だからベルカナは釘を刺しておいた。
「私の仲間にはプレセアの大切な仲間も居ます。その事はあまり話さないように。
 恨み憎しみなんて少ないに越した事はありません」
「え……う、うん。…………ごめんなさい」
戸惑いと罪悪感を満面に浮かべた桜の謝罪に、ベルカナは息を吐く。
ひとまずは、これで良い。
ひとまずは。
0603優しい微笑みを浮かべて ◆S4WDIYQkX. 2010/02/26(金) 05:39:07ID:bXQHNs0H
「それで? 結局、自動人形についての情報はそれだけなの?」
「ええ。申し訳ありません、シャナさん。一応、お聞かせ願えますか?
 あなたが自動人形を捜す理由は?」
「自動人形の破壊が私の使命だからよ」
ハッと息を呑む桜を、シャナは冷たい目で見つめた。
彼女が何か言い出すのを塞ぐように、宣言する。
「おまえは納得しないかもしれないけど、私には関係無い事だわ。
 おまえは理屈が通じる相手じゃないだろうし、それにもう片方は納得している。
 そうでしょう? ベルカナ」
「ええ。さくらが雛苺を御せて、且つ私の仲間が彼女を赦せるならば、
 私は私と仲間に無理が無い範囲であなたから雛苺を護る立場になるでしょう。
 それだけの事です」

それだけの事。
ベルカナ一行が雛苺を取り込んだ所で、シャナと再会しなければ関係の無い話。
この狭くも長生きできない島では、そんな事が十二分に有りえるのだ。
雛苺絡みの事も、雛苺が何処かで殺されれば桜以外にとってはめでたしめでたし。
そんな話なのだ。

『話しすぎではないか、シャナ?』
「別に隠すような事は無い。……けど、今度はこっちから話してばかりか」
シャナはアラストールの危惧に応えて、気づく。
ベルカナばかり話していると思ってこちらからも話したけれど、まともな情報を得られたわけでもない。
アラストールの警戒は、言外にあしらわれているのではないかと注意したものだ。

ベルカナは言葉通りに取って、答えた。
「では私も、せめて危険人物についてお話しましょう」

ベルカナは朝の森で見た銀髪の少年、レミリア、イヴと城を襲撃したロングコートの少女について語った。
中でもシャナにとって興味深かったのは銀髪の少年だ。
その存在はシャナに一つの確証を抱かせる。
少年というのは気になるが、やはり銀髪の子供は二人居たのだ。
あの少女は時折、戦いの最中、口調と雰囲気が少年のようなそれに変わっていた。
これは思い切った想像だが彼女が男装、あるいは女装をしているとすれば説明が付く。
「多分その銀髪の少年が、キルアに殺害された方ね」
『待て、シャナ』
そう思いきや、アラストールが疑問を呈した。
『学校において、襲撃を仕掛けてきてなのはが倒したというのも銀髪の少年だった。
 恐らくそれがベルカナの見た少年だろう。
 少年と少女が別に居たとしても、まだ説明はつかん』
「え? 二人で二度も死んだはずなのに?」
推理は更なる混乱へ迷い込む。

両方とも、桜など聞くだけで顔が青くなる程の死因から見て生き延びたとは考えにくい。
学校組か、あるいはキルアが嘘を吐いていたのだろうか。
あるいは二人どころか三人も居るのだろうか。
それともまさか、心臓を抜かれても上半身が消し飛んでも再生したのだろうか。
結局、二度殺された銀髪少年(?)の正体は判らなかった。

0604優しい微笑みを浮かべて ◆S4WDIYQkX. 2010/02/26(金) 05:46:55ID:bXQHNs0H

「……話が長くなったわね。私はそろそろ行くわ」
得られた収穫は半端な物だが、シャナも長居してはいられない。
シャナの目的地はあくまで北東の市街地だ。
双葉やインデックス達が居るかもしれない中央エリアを無視しながらも城に舞い降りたのは、
方向が完全に一致していた通り道で、灯りが見えて、少し寄り道しただけに過ぎない。
雨の中を飛び続けた事による疲労も一因だったが、これ以上ぐずぐずしてはいられない。
旅立つに良い時間というものは標的が移動してしまう時間でもあるのだから。

いつの間にか、空を覆う雨雲にも切れ目が見え始めていた。
もうそろそろ四時が近いのだろう。
今から城を発てば雨が止んだ頃には街に着けるはずだ。

「それじゃ、生きていたらまた会いましょう」

少女は炎の翼を広げると、冷たい雨の降り続ける夜空へ飛び立っていった。
その先にある戦いを見据えて。

朝は、まだ来ない。

【F-3/グランバニア城上空/一日目/黎明】
【シャナ@灼眼のシャナ】
[状態]:しろがね化、消耗(小)
[装備]:楼観剣(鞘なし)@東方Project、コキュートス@灼眼のシャナ、あるるかん@からくりサーカス
[道具]:支給品一式(水少量、パン一個消費)、包帯
[思考]:なに、もう一人いたの?
第一行動方針:ベルカナ達と情報交換。自動人形の情報を得る。
第二行動方針:北東の市街地に向かい居るはずの自動人形(トリエラ・リルル)を破壊する
第三行動方針:要件が済んだら、インデックスや双葉たちと合流。
基本行動方針:ジェダを討滅する。自動人形(と認識した相手)は、全て破壊する。
[備考]:義体のトリエラ、及びロボットのリルルを自動人形の一種だと認識しました。
[備考]:これまでのインデックスの行動の全てを知っています。
    神社を拠点にする計画も知っています。
    弥彦、キルア、アラストールと情報交換しました(どの程度かは次の書き手任せ)



そして、またも少女たちが残される。
雨の夜、身を寄せ合うようにして城に休む少女たちが。
ベルカナは木之本桜を振り返ると、言った。

「さくら。これを渡しておきます」
「え、これって……」
『水』と『風』のクロウカード。
ベルカナはその二枚を桜に手渡した。
「それから、これも」
更に金色の十字架を提示する。
桜は目を見開き驚いた。
「リインちゃん!?」

起動していなくても間違える事など無い。
リインフォースII。
デバイスにして意思を持った少女だ。
その桜の反応を見て、ベルカナはやはりそうかと再認識する。
別にそうである確証はなかったのだ。
0605優しい微笑みを浮かべて ◆S4WDIYQkX. 2010/02/26(金) 05:49:02ID:bXQHNs0H
「私が持っていてもこれらを使う余裕は有りませんから。
 ある程度は魔力を回復させたあなたの方が適任という物です」
「で、でも良いの?」
「もう一度だけ確認させてもらえれば十分です」
「確認?」
「ええ」
身構える桜に、ベルカナは重要なたった一言を問いかけた。

「あなたにとって、梨々=ハミルトンは友達でしたか?」

桜は予想外の問いに目をぱちくりさせて、それから。
俯いて。
息を吐いて。
息を吸いこんで。
顔を上げ、真っ向からベルカナを見つめて。
答えた。

「はい、そうです。ほんとうにたいせつな、友達です」

ほんの数時間だけを共にした友情を肯定した。
梨々=ハミルトンは木之本桜の親友だったのだと。
ベルカナはそれを確認しただけで、良しと頷いた。
「それなら十分です。あなたは、私達の仲間です」


仲間の友人というだけ、本当なら信じるには根拠が薄い。
仲間が信用できても、仲間が騙されていなかった証拠など無い。
この程度で騙されたら騙した奴が狡猾なのではなく、騙された奴が馬鹿だっただけである。
だけどもしそうなら、ベルカナが警戒しておけば良いだけだ。

ベルカナは心の底では、桜への警戒を緩めていなかった。

木之本桜が純粋な少女である事には半ば確信を持てている。
ただし、危険人物にさえ手を差し伸べてしまう別の意味の危険人物だとも認識しているし、
表層に出ていないだけのなんらかの精神病理を患っている危険や、特殊な思想を持つ可能性も有ると考えていた。
“あの”雛苺──
同族の生首をお化け人形の首に吊るし、桜に梨々を殺そうとさせ、自分でも積極的に襲い来る怪物を、愛せる事。

(そんなモノに優しくできるのは、心の何処かがおかしな者だけです)
ベルカナは心中でそう断言する。
心の奥が病んでしまったのか。
あるいは。

おかしなまでに純粋で心優しく、慈悲深いのか。

ベルカナは、後者であればそれで良いと考えている。
だけど自分は彼女を警戒し続けることにした。
信用するのは、アルルゥ達に任せる事にした。

信じることをベルカナの信じる仲間達に任せ、自らは信じるふりをして警戒を維持しよう。
そういう役割分担である。
アルルゥもレックスも純粋で、ヤミヤミが記憶を失い経験を持たない以上、
自分には外部の者を疑い、勘ぐり、利用し、あるいは関係を調整する役目があるという結論に至ったのだ。
0606優しい微笑みを浮かべて ◆S4WDIYQkX. 2010/02/26(金) 05:52:18ID:bXQHNs0H
「共に生き抜きましょう、さくら。私の仲間達と共に」
「仲間……? そういえばベルカナさんの仲間ってどんな子達なの?」
その問いに、ベルカナは少し声を潜めた。
「それですが、良いですか。驚くのは構いませんが、焦って逃げたりしてはいけませんよ。
 そのリインフォースの意思とやらにも後で顔合わせしてもらいますが、同じく過敏な反応はなさらないように」
「驚いても、焦るな?」
困惑する桜へ、ベルカナが返答する。
「言ったでしょう。梨々=ハミルトンはかつて敵対した者を仲間にして、あなたを助けようとしたのです」

しばらくして戻ってきたレックス達に、果たして桜は動揺した。
霧の中、梨々に襲いかかってきたというレックス。
更には森で戦いになり、梨々に押さえ込まれていたアルルゥ。
二人とも、目にした桜が驚くのは当然のことだ。

とはいえ事前の注意もあり、桜は二人を疑う様子もなくすぐに沈静化した。
一時的に起動し顔合わせをさせたリインフォースIIも、同じような経緯を辿る。
レックスの謝罪を受け入れて落ち着くまで、全ては拍子抜けするほどスムーズに進んだ。

もちろんこの和解は彼女達の純粋さと、梨々の存在が成した事である。
木之本桜もリインフォースIIも、レックスもアルルゥも、四人全てにとって梨々は仲間だった。
だから梨々の仲間であるお互いに対して、思いのほか容易く心を開き始めたのだ。
まだすれ違いは起きるかもしれない、もしかしたら落ち着いたのは表面上だけかもしれない。
だけど今のところ、そう警戒すべき様子には見えなかった。
ベルカナの警戒は今のところ取り越し苦労だと言える。
そして、これこそベルカナが自らに課した役割でもあった。

取り越し苦労をする係。

外部と外部から入ってくる者達を最大限警戒して、何かあったら対応し、何もなければ良かったね。
そんな係である。
(まったく、ずいぶんと損な役を引いた気がしますわ)
徐々に打ち解けていく様子の桜達を少し外から見守りながら、ベルカナは疲れた溜息を吐いた。
実際にも大変疲れている。
今から放送直前まで寝たところで、精神力は全快時の半分も回復するか怪しいものだ。
たっぷりと睡眠時間を取るつもりだったのに気づけばこの有様、ちぐはぐである。
それでも睡眠を取るに越したことはない。
ベルカナは深い溜息を吐き、

「私はもう少し睡眠をとりますわ。さくらも熱があるのですから無理はしないように。
 それでは、おやすみなさい」

浅い眠りに就いた。


【F-3/グランバニア城一階・宿屋/一日目/黎明】
【ベルカナ=ライザナーザ@新ソードワールドリプレイ集NEXT】
[状態]:精神力消耗大、ツーカー(→イヴ)
[装備]:ネギの杖、果物ナイフ@DQ5、ゴロンの服@ゼルダの伝説、レースのビスチェ@DQ5、
[道具]:支給品一式×4、懐中時計型航時機『カシオペア』@魔法先生ネギま!、黙陣の戦弓@サモンナイト3
    テーザー銃@ひぐらしのなく頃に、爆弾石×2@ドラゴンクエスト5、魔晶石(15点分)@ソードワールド、
    消毒薬や包帯等、ツーカー錠x3@ドラえもん、マジカントバット@MOTHER2、パワフルグラブ@ゼルダの伝説
[服装]:ゴロンの服。その下にレースのビスチェ
[思考]:少しでも寝なければ……
第一行動方針: 放送直前まで眠り、少しでも精神力を回復させたい。
第二行動方針: 朝の放送でイエローが無事だった場合、『交信』でイエローと連絡したい。
第三行動方針:イエローと合流し、丈からの依頼を果たせるよう努力はする(無理はしない)
第四行動方針:仲間を集めたい(イエローの友人の捜索。簡単には信用はしない)
基本行動方針:ジェダを倒してミッションクリア
[備考]:葵が死んだことを知りません。
    レベッカ宮本を『フォーセリアのレッサー・バンパイア』だと考えている?
0607創る名無しに見る名無し2010/02/26(金) 08:26:40ID:akB3YPLW
お、投下きてた
0608代理2010/02/26(金) 10:13:18ID:ijYeH1uy
【木之本桜@カードキャプターさくら】
[状態]:魔力消費(中)、疲労(中)、発熱、核鉄二つで回復中
[装備]:核鉄『シルバースキン・アナザータイプ』@武装錬金、核鉄LXX70(アリス・イン・ワンダーランド)@武装練金、
    クロウカード『水』『風』、リインフォースII@魔法少女リリカルなのはA's
[道具]:基本支給品×2、梨々の普段着(近くに干されている)、
[服装]:裸シーツ
[思考]:色々有って少し混乱中?
第一行動方針:状況を把握する?
第二行動方針:雛苺を止めたい、約束を守りたい、彼女にこれ以上殺人を起こさせないようにしたい
基本行動方針:状況を把握する。雛苺のそばにいてあげたい。
[リインフォースIIの思考・状態]:???、梨々の知り合いの情報を聞いている

【レックス@ドラゴンクエスト5】
[状態]:魔力中消費
[装備]:ドラゴンの杖@DQ5(ドラゴラム使用回数残り2回)、勇気ある者の盾@ソードワールド
[道具]:基本支給品×2、GIのスペルカード『磁力』@HUNTER×HUNTER、飛翔の蝙也の爆薬(残十発)@るろうに剣心
    ドラゴンころし@ベルセルク、バトルピック@テイルズオブシンフォニア、
    爆弾石×2@ドラゴンクエスト5、魔力の尽きた凛のペンダント、小さなメダル@DQ5
[服装]:普段着
[思考]:あれ、シャナもう行っちゃったの?
第一行動方針:仲間を守りつつ、レミリアとタバサを捜す。
第二行動方針:魔力が回復して余裕が出来たら、不明アイテムや水中の調査
基本行動方針:勇者としてタバサの兄として誇れるよう生きる。でも敵には容赦しない。
[備考]:エンディング後なので、呪文は一通り習得済み
    アルルゥや真紅はモンスターの一種だと思っています。
    ベッキーは死亡したと考えています。
    お城の地下に迷宮があるのを確認しましたが、重要なことだと思っていません

【アルルゥ@うたわれるもの】
[状態]:魔力消費(中)、右腕の手首から先が動かない。眠たい。寝よう。
[装備]:タマヒポ(サモナイト石・獣)、ワイヴァーン(サモナイト石・獣)@サモンナイト3
[道具]:基本支給品×2、クロウカード『泡』『駆』@カードキャプターさくら、
    海底探検セット(深海クリーム、エア・チューブ、ヘッドランプ、ま水ストロー、深海クリームの残り、快速シューズ)@ドラえもん
    スタンガン@ひぐらしのなく頃に、アタッシュ・ウェポン・ケース@BLACK CAT
[服装]:普段着である民族衣装風の着物(背中の部分が破れ、血で濡れている)
[思考]:眠たい。
第一行動方針:眠たい。寝よう。
第二行動方針:レックスについていく。
第三行動方針:レミリアやイエローを捜したい。
基本行動方針:優勝以外の脱出の手段を捜す。敵は容赦しない。
参戦時期:ナ・トゥンク攻略直後
[備考]:アルルゥは獣属性の召喚術に限りAランクまで使用できます。
    ゲームに乗らなくてもみんなで協力すれば脱出可能だと信じました。
    サモナイト石で召喚された魔獣は、必ず攻撃動作を一回行ってから消えます。攻撃を止めることは不可能。
    アリス・イン・ワンダーランドに対して嫌悪を覚えています。
    ベッキーは死亡したと考えています。

【ヤミヤミ(イヴ)@BLACK CAT】
[状態]:疲労(大)、10歳前後の容姿、ツーカー(→ベルカナ)
[装備]:レミリアの服、エッチな下着@DQ5、返響器@ヴァンパイアセイヴァー
[道具]:基本支給品×2、光子朗のノートパソコン@デジモンアドベンチャー、
    フック付きロープ@DQ5、神楽の傘(弾0)@銀魂、エーテライト×1@MELTY BLOOD、
    胡蝶夢丸セット@東方Project、ラグーン号操船マニュアル、病院服、ただの布切れ
[服装]:レミリアの服、その下はエッチな下着
[思考]:さくら、起きたんだ
第一行動方針:桜の世話をする。
第二行動方針:自分の過去を知りたい。そのために、ブルーや千秋から話を聞きたい。
基本行動方針:自分の過去を知りたい。そして罪と向き合いたい。ベルカナ達に付いて行く。
[備考]:記憶をすべて消し去りました。元世界の記憶、この島での記憶、共にありません。
    ヤムィヤムィと名づけられました。ヤミヤミという呼称が使われます。
0609創る名無しに見る名無し2010/02/26(金) 10:18:03ID:ijYeH1uy
代理投下完了。
そろそろ次スレの季節ですが…こちらもよく規制に巻き込まれるので、すみませんがお願いできますでしょうか。
0610創る名無しに見る名無し2010/02/26(金) 12:09:31ID:S1CkY+hY
投下乙〜
梨々の存在はやっぱでかかったんだなあ
チーム組みだしてからベルカナ輝いてる
0611創る名無しに見る名無し2010/02/26(金) 23:23:34ID:q7SaJhpp
次スレ立てました。
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1267193874/
0612創る名無しに見る名無し2010/02/26(金) 23:56:46ID:ijYeH1uy
>>611
スレ建て乙です。
0613創る名無しに見る名無し2010/02/27(土) 00:59:30ID:RXJ+QNbc
投下とスレ立て乙!

梨々の存在感とベルカナの思考がいいなー。
放送前はさえなかったけどこういう参謀タイプは人が増えると本領発揮だよな。
0614創る名無しに見る名無し2010/02/27(土) 01:18:13ID:Kf9oZ+GK
投下GJ! みんな言っているけど死んでしまった梨々に対しての描写がうまかったです。
ベルカナの語りのうまさもあって静かな臨場感がありました。
シャナとのドライなやりとりも面白かったです。
……しかし雛苺を保護することがもうかなわないのは良かったのか悪かったのか。
それにしても不安要素がないわけじゃないけどこのパーティーは強いな。
集団戦力としては島で最大級か。

>>611
スレ立て乙です。
0615創る名無しに見る名無し2010/02/27(土) 05:58:02ID:pRBPjqOw
スレ立て乙
じゃあこっちは埋めるか?
0616 ◆PJfYA6p9PE 2010/02/27(土) 11:38:14ID:syfWWLk0
パタリロ、明神弥彦を投下します。
ただ、このスレを使うと容量的に入りきらないので、次スレに投下します。

……できれば、昔のスレであったような埋めネタが見たいなぁという期待も込めつつw
0617創る名無しに見る名無し2010/03/01(月) 02:53:27ID:dMi+xwKq
さてこのスレはもう用済みだし、適当に生存者のAAでも貼って埋めるか
容量的に数人分くらいしか無理そうだけど

                          __
                   ヽ,,,_,,,- '''  ̄    ̄'''''  -.,.ヽ、; __
                  ,,..-"               'i r''"
                /                   ,;;ー-
                /                     ヽ
               イ   イ丿ソ^ii^i iヽヽ、          i
               l λ/  ノ|| || ヽ ヽヽ .,_          l
               !ll i i    ヽ ヽ      ' ;,          l
                ヽム       `   ,,、 <,,  ,,.- .,   l
                人スミ=;;,  、,;;;;;;;ニソ"'ヽ 丶 ii 入 i   l
                  i`'テ〒`,  '^彳〒';=-  .i i ii ヽ i   l
                    l ^'''^ !    `''''''"   i i ii,,,.//   ll
                  l   /          i i i ,/     ll
                  ll  ゝ-''         .リ>!!レi,     !
                   i   ー----      ''" ,,,;!,    !,
                     リヽ  ー-       _,,-'", ; i,    '!,
                    ヽ   ,     _,,.-''ヽ ヽ ; ; i,    '!,
                     i\,l___,,..-i;;" i  i  i .i  ; i,    '!,
                         i i ヽ;;;;;;::"i   i  !  ! '   i,,     '!,
                    __i !   i   '   '         >-;;...,,,!,_
              __,,,.. -''フフ                 ,,.-',,-''"   "'''''''=
           ,.-−フ   / /               ,/,/
         /  /   ;' ;'              ,./,/
        /   /     i i           ,,. / /

                          アリサ
0618創る名無しに見る名無し2010/03/01(月) 02:54:10ID:dMi+xwKq
              ,-ー─ 、
            _ ノ _ィ==ュ
          /__ ン´     ` ヽ 、
         ///  ィ〜、  ィ〜ー 、 ヽ
         / / ./´/ / /|. | ヽヽ ヾ 、 |
          |  /|ヽ|/_トレ'||ンヽ_\ ヽ)ヘ
         ノ  /「| /rァy    r=:、ヽ7、. ヽ  rv'7、
        //| /l弋| に:ソ .  に:ソ / ノ\ |  |、V /ユ,
     r777ュ/ .l / |. |ヘ   「 7   /ィ. /| )) 〉_ `ー/
     L_  ヽ、`⌒`ー_、_`7ュ `´ ィ ンー‐:.、ノ/ ノ::::::::7
      >、/::} k´:::::| \::ー--__>、::_::_:ノ)ー‐'`ヽ::/
       }:::::/Y \ノ   rィ´:::::::ヽヘ/__/
       ` ヽ   //    y、::::::::ノ∧'´
         `ー ´ /   /ノ` ー'"  ヽ
            `ヽ_//     _,ム
             /:: ̄ ̄::::: ̄::\
           /::::: : : .::::::::::::. : : .::\
          /:::::::: : : : .:::::::::::: : : : .:::::::\
          `ヽ::_:_: : : .:::::::::. : :_: :_:::::::::ノ
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            アルルゥ
0619創る名無しに見る名無し2010/03/01(月) 02:54:51ID:dMi+xwKq
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               ,.ヘ/     /`ヽィ八 ノノ         {  ,′
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        ,.く::::\:::::::::::::::::::::::\ ...イ::.、\; .     ゝ ー- フ´
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    /.:::::::::::::::::::::::::::\.:::\ノ.::::::::::::ヽ.\\\{:川::::\`ヽ

                        イエロー
0620創る名無しに見る名無し2010/03/01(月) 02:55:34ID:dMi+xwKq
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    小太郎
0621創る名無しに見る名無し2010/03/01(月) 02:56:25ID:dMi+xwKq
                         ___
               ,  ´ ̄    `ヽ/
              /,r-────-.....、| ゲ.素 生
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               〈/:::::--|/--\/-∨├| : ら て
                |ハ:::::::/'ィ=ミ    .ィ=ミ、|::|  .し る
                 \/{ 弋リ    弋リ リハ   い っ
                ___ |(l  ‐ __'__ ‐ l):::|) .で て /
              /´/,\)::\  !、  ノ , 'l , 'ィ⌒ー─'
          〈    /^):::{::`ト、 __ イ::::l|::::|:',
.            〉、   ト、:::i\_} _.   l、_:l|::::|:::\
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             インデックス
0622創る名無しに見る名無し2010/03/01(月) 02:58:42ID:dMi+xwKq
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        イヴ
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