ロリショタバトルロワイアル24
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0001創る名無しに見る名無し
2009/06/14(日) 18:17:16ID:lSvAgYo/衝動をぶち撒けろ!
欲望を解き放て!
情熱を、燃やせ!
ここは真性の漢共(女性可)が集まり、
ジャンルを問わないロリショタキャラでバトルロワイアルを行う、
あまりにもCOOLなスレです。
紳士淑女の心を忘れず冷静に逝きましょう。
前スレ
ロリショタバトルロワイアル23
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1230413656/
テンプレ、過去ログは>>2-5辺に
ロリショタロワ避難所(したらば)
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/12693/
LSロワお絵描き掲示板
ttp://oekaki2.basso.to/user11/hisou/
LSロワお絵かき掲示板2
ttp://bbs2.oebit.jp/LoliSyotaRowa/
まとめwiki
ttp://www25.atwiki.jp/loli-syota-rowa
0317創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:29:51ID:TlKjQXDMすみません、ちょっとちょくちょくお待たせするのもあれなので。
できる限り支援に回りますので、引き継ぎをお願いしてもいいでしょうか。
0318創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:30:44ID:kOUQiWG50319遺。(後編) ◇T4jDXqBeas
2009/11/20(金) 02:31:28ID:kOUQiWG5あれほどの戦闘経験者が追撃を掛けずに立ち去るのは──ブルーを見逃した事は不可解だが、
既に致命傷を与えているからに他ならない。
事実、近寄って見たメロの姿は致命傷を受けているようにしか見えなかった。
氷の刃は折れたのか貫通こそしていないものの、
丁度心臓の上の場所を正確に、真っ赤な血で染め上げていたのだから。
だからエヴァが飛び去った後でメロが不敵な笑みを浮かべても、理解できなかった。
「予想通り、焦っていやがる」
「え……?」
困惑の声を上げて、数瞬してから気付く。
エヴァがニケを助ける為にご褒美を求めているならば。
もう一人分の殺害予定を体育館に放置しているならば。
エヴァには“何か切り札が有るかもしれないブルーにまで戦いを挑む理由が無い”。
もちろんその可能性は低いが、何らかの支給品で足止めを喰らう可能性は否定できない。
それなら遠距離からメロに致命傷を与えただけで、近寄らずに退く事は、
一刻一秒を争う状況では妥当な判断だったと言えるだろう。
しかしメロのそれを見落とした事は明らかな失敗だった。
「ぐ……賭けに生き残った。それだけだ」
メロは胸元から、真っ赤に染まった布を取り去った。
梨花の死体を舞台装置として機能させるために、梨花と、メロの体には布が被せられていた。
その布を適度な大きさに千切り、ニケの血に浸した物がそれだった。
メロの胸元を染めた真紅の血は、ニケが使っていた血溜まりの一片だ。
それによりメロは偽りの致命傷を演出した。
それだけではエヴァの魔法を受けて生き残る理由になりえない。
「氷の攻撃なら、掠める位なら耐え切れるだろうと思ってな」
メロが着ているローブは賢者のローブ。
高熱と冷気と暴風から着用者を守る魔法のローブだ。
加えてメロに氷の刃は直撃していなかった。
左肩と左脇腹と右膝を掠めてはいたが、ローブに守られていた事もあって深い傷ではない。
メロは生き残った。
同時に、それでも不味い状況だと認識する。
命に別状は無くとも重なる傷は全身を消耗させている。
ようやく取れた睡眠も完全ではなく、疲労自体もかなりの物だ。
今も降り続く冷たく鋭い雨が傷に滲み込んで疲労を深くしている。
なにより手足に受けてきた傷が、不味い。
(左腕は殆ど動かず、指は三本だけ。左腕が動かないだけでも相当な痛手だ。
右手も縄抜けの際に抜いた親指が痛むな。握力はかなり下がっている。
物を掴んで運ぶ位は問題無いが、相手が一般人でも殴殺は厳しいだろう。
今受けた右足の傷も、深くは無いがさっさと応急処置をして逃げないとまずい。
右手でランドセルを掴んで来れたのは僥倖だが……クソ)
冷静に自分の状況を省みて、歯噛みする。
舞台に転がっていたメロのランドセルは、目ぼしい物を殆ど抜き取られていた。
恐らく舞台まで持ってきた所で中身を検分したのだろう。
残っているのはバカルディや食料などを含む基本支給品だけだ。
弾だけで無意味だったとはいえ弾丸は当然抜き取られたし、救急箱や薬品の類も無い。
チャチャゼロを失ったのも痛手だ。
恐らくは倉庫の方に転がったままなのだろう。
加えて、急いでここを離れる必要が有る。
エヴァをやり過ごす事が出来たとはいえ、彼女はご褒美を呼ぶはずなのだ。
数分もしない内にメロが生きている事が露呈してしまう。
0320創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:31:53ID:TlKjQXDM0321遺。(後編) ◇T4jDXqBeas
2009/11/20(金) 02:32:31ID:kOUQiWG5「判っている。肩を貸せ。手当てをすれば治る程度だが、足が痛む」
「え。ええ、判ったわ」
すぐさまブルーが近づき、メロの右肩を下から抱え込む。
メロはブルーの肩を借りて歩き出す。
泥水を跳ねながら、歩いていく。
この場から離れていく。
急ぎ、思考をめぐらせながら。
今すぐに、とても重要な事を決めなければならないのだ。
ブルーを殺すかどうかを決めなければならない。
(肩を貸してもらうのも賭けだったが、咄嗟に切り捨てられはしなかったか。
だろうな。
身を挺して自分を守ってくれる人間だと判断したなら、この状態でも俺はまだ有用だ。
ブルーには俺を切り捨てるかどうか、ゆっくりと考える時間が有る。
そして俺にとってもブルーは有用……そう、ただ有用なだけだ。
感情は、抑え込める。
抑え込めなければならない)
媚薬によるブルーへの慕情はまだ存続している。
なにせメロは、今回の危機に当たって二度もブルーを助けているのだ。
どちらも自分の為に繋がる行為であったが、それだけと断言する事はメロ自身にも出来ない。
だが。
それでも、どうしても必要ならば、メロはブルーを切り捨てられる。
ニアを出し抜いてLを超えるためならば。
メロは自分が決して理性的な人間ではない事を理解している。
メロが持つ殆どの動機の根幹は、ニアへの対抗心によるものだ。
ニアを超えなければ、メロはLに届かない。
羨望か、嫉妬か、嫌悪か。
向上心か、虚栄心か、名誉欲か。
何にせよそれは、メロの全てと言っても良い。
その為ならば、家族や恋人でも切り捨て“なければならない”と考える。
だからメロはじっくりと考えた末に必要であれば、慕情さえも押し込めて。
ブルーを、殺せる。
今ここで三人目の殺害によりご褒美を貰う必要が有ると考えたならば、ブルーを殺せる。
最初に殺した大柄な少年に火事の現場に放置し放送で呼ばれた江戸川コナンを含めれば、
次の殺害でご褒美がもらえるのだ。
殺害方法は容易い。
今メロが肩を借りている……つまりメロの腕の中に有るブルーの首を、抱き締めて。
絞めれば良い。
右手の握力は落ちているが、腕力への影響は無い。
ある程度は鍛え抜かれたメロの膂力なら、片腕でも女子供くらいは絞め落とせる。
風の剣を展開されると不味いが、絞めに入ってからなら勝算は十分に有る。
奇襲と呼吸困難による混乱から立ち直るのは難しいからだ。
それこそ絞めに入った時点で腕に握られてでもいなければ七割、いや八割方は殺せるだろう。
そうしてブルーを殺せば、ご褒美で傷を治す事が出来る。
全身の消耗を回復して両腕も万全にすれば、行動の選択肢はかなり広がる。
ブルーを殺すメリットは他にもある。
ここまで負傷が重なったメロは何時ブルーに切り捨てられてもおかしくない存在だ。
安全の確保という意味でも、メロにはブルーを殺すメリットが存在している。
リスクとリターン。
メリットとデメリット。
メロは考えに考えて。
ニアを超える為にどうするかを決めた。
0322創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:32:44ID:/HQcmm640323創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:33:32ID:kOUQiWG5さっきの場所からは十分に離れていた。
エヴァが追撃に出てきても、足跡が消え視界も悪い豪雨の中での捜索は困難だろう。
事を起こすなら、今だ。
だからメロは、言った。
「さっさとやれ。その手に握った風の剣でな」
「なっ!?」
ブルーの手には自らの首に巻きつくマフラーの一端が握られていた。
即ち風の剣の一端だ。
ブルーは既に、メロを殺す為の凶器を握り締めていた。
「ち、違うわよ、メロ、これは……」
メロを放り出してあとずさるブルー。
その瞳に浮かぶのは激しい迷いと、動乱。
ブルーはメロを殺すかどうか迷っている。
一方のメロは放り出されて泥水に膝を付く。
前のめりに倒れそうになり、辛うじて右手をついた。
親指が、痛んだ。
泥飛沫が舞った。
メロは仰向けに倒れ込む。
木々の枝を抜けてくる冷たい雨に顔を打たれながら、ブルーの姿を見上げる。
借りていた肩を避けられれば地に叩きつけられる程に、今のメロは弱かった。
「言い訳は不要だ」
それでも言い訳はせず、させない。
迷うブルーを説き伏せようともせず、逆に言葉で畳み掛けていく。
「俺を殺す気なんだろう? いいだろう、殺せ」
ブルーよりメロにとって有り得ないはずの選択肢へと追い込みを掛ける。
「おまえになら託せるからな」
「託す……?」
メロは断言する。
ブルーの心情を、自らの言葉で定義する。
ああと頷いて、宣言した。
「おまえは信頼できる女だ」
困惑。そして惑乱。
理解できない。
まるで意味の通じない言葉の連なり。
ブルーは問うた。
「それが、今から自分を殺そうとする女に向ける言葉?」
首肯が返る。
それが確かな事がと知っている、そんな頷きが。
「確かにおまえは信用できる女じゃない。きっぱりと悪女だろうよ」
「なら、どうして」
見つめる視線。返る視線。
内に秘められた、量れない意思。
ブルーにはメロが何を考えているかわからない。
同じように、メロにはブルーが信じられる人間かなんてわからないはずだった。
それなのに。
「おまえは人を裏切ることができる女だ。
親しい人間にさえ嘘を吐き、翻弄することができる女だ。
騙り、偽り、謀り、誤魔化し利用して陥れることができる女だ。
化かす女だ。
なのに、想いを裏切ることだけはできない」
メロは言い放つ。
ブルーの内に秘められた本質を。
「だからおまえは、信頼できる女だ」
0324創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:34:14ID:+UYrLeDu0325創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:34:16ID:LoNp/PnP0326創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:34:17ID:/HQcmm640327遺。(後編) ◇T4jDXqBeas
2009/11/20(金) 02:34:28ID:kOUQiWG5自らの想いを。
「俺の想いを託すに足る女だ」
わからない。
ブルーにはわからない。
風の剣を握る手が震えているのは寒いからだろうか。
それとも、怖いからだろうか。
(多分、怖いからだ)
そう理解する。
ブルーは彼の知恵を、洞察を、意思を恐れている。
刃を振り下ろす勇気さえも。
その後に再び歩き出す強ささえも危うく思えるほどに、圧倒されている。
「俺の目的は、俺の打った手がニアのそれよりも早くジェダの牙城を打ち崩すことだ。
だから俺はおまえに託すと言っている。
おまえに、俺のやったような事をやれとな」
だから、メロの言葉を返せない。
まるで染み入るように染み込んでいく。
ブルーを規定してしまうメロの言葉が入ってくる。
「足手まといは殺してもいい。もちろん邪魔な奴もだ。
親しい奴だろうと、自分を慕う奴だろうと関係無い。
手段は選ばず、だが俺の目的を継いでくれ。
俺を殺してな」
その言葉はこれから殺される人間とは思えないほどに力強くて。
思わず、ブルーは呟いた。
「……できないわよ、そんなの」
小さな弱音を吐いていた。
ブルーが自ら決意したのであれば別だったかもしれない。
自ら殺害を心に決めていたのであれば。
だけどメロから向けられた遺言で逆に、揺らいでしまった。
最初の出会いの時からメロに感じていた敗北感が、圧倒的な迫力を見せ始める。
意のままに操れば。あるいは殺せば、メロを乗り越えられると思っていた。
だが、大きな過ちだった。
実際にメロが、その慕情から命がけでブルーを守り、命すら差し出してきた時、思ったのだ。
メロを殺した後、自分はどうするのだろうか、と。
メロの遺言を無視して自分だけの為に生きることはできない。
それは解くことのできない呪いを生涯背負って生かされるようなものだ。
だが、メロの遺言に従い彼を継ぐ事などできるのだろうか?
殺意すらもメロに握られたこの有様で。
ブルーは堂々巡りの迷路に嵌る。
そんなブルーに。
「殺せ」
「できない」
「やれ。何なら酒の勢いに頼ってでも、踏み出せ」
メロは一本のボトルを取り出していた。
バカルディ・ラム。
0328創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:35:01ID:TlKjQXDM0329遺。(後編) ◇T4jDXqBeas
2009/11/20(金) 02:35:26ID:kOUQiWG5ストレートで飲めば喉を焼くと共に理性をも焼くだろう。
メロはそれを軽く呷ってから、ブルーへと放った。
「飲め」
ブルーはそれを受け取り、戸惑い、躊躇いながらも。
それに、口を付けた。
初めて味わう高濃度のアルコールは、思ったより軽やかな味で喉を流れ落ちていった。
少し生っぽい泡を感じた気がして、だけどそれを気に留める暇もなく。
次の瞬間、腹にカッと火がついた。
「っ」
灼熱感とでもいうべき感覚。
戦いの中で炎に焼かれる痛みじみた熱さとは全く違う、なのに火に灼かれると表現すべき熱さ。
喉も胃も焼けるようだった。
ブルーは自分の支給品の水と噛み砕いた食料で喉を濯ぐ。
ストレートのバカルディは子供の体で飲みすぎれば酔い潰れてしまいかねない。
やがて少しずつ、酔いが回っていく。
気持ちが大胆になっていく。
「おさらいだ、ブルー。Q−Beeについての仮説は覚えているな?」
恐らく二人で考察を交わすのも最後なのだろう。
殺害と違ってこの行為に抵抗は無い。だから、素直に言葉が出てきた。
「ええ。あの復活劇は逆にQ−Beeの重要性を証明したって話でしょう。
次にすべき事は、Q−Beeを殺害した参加者を捜して情報を得ること」
「その通りだ。その参加者の居所についても考えてみたが、幾つか限定できる。
まずあの映像において、Q−Beeの死体は抉れた地面に転がっていたが、
あの地面にはアスファルトの破片が混じっていた」
流石、という感想が過ぎる。
つまりQ−Beeが殺されたのは、どこか道路が張り巡らされている場所だ。
「でもそれだけじゃ、殆ど島の全域よ? 何処を目指せばいいの?」
「砕けた地面について考えろ。
あの地面は元々砕けていた可能性も有るが、強力な攻撃で、
路面ごとQ−Beeの頭部から下を吹き飛ばした──そう考えても辻褄が合う」
「それがどういう……ああ、そういう事」
そういった攻撃は得てして轟音を伴う。
強力な爆弾を炸裂させたようなものだ。
ブルーの知識なら、マルマインの大爆発を一斉に炸裂させたようなものだろう。
「この近辺の奴じゃない。少なくともあの小坊主を殺した厄種の仕業じゃない。
それから、確率の話だが森の中や平地といった“移動中の道路”である可能性は低い」
これもブルーは理解した。
むしろブルーの得意とする領域の話だ。
戦場が開けた場所であれば、立ち回りによって狭い道路から外に移動する可能性は高い。
森の中ならば特に、遮蔽物を利用した戦いに持ち込むのは必然と言っても良い。
Q−Beeが殺されたのは恐らく市街地。
北東か、南西か、南東の廃墟か。
「八度目の使いという所からして、時間的には遅い時間帯のはずだがな。
夕方の六時時点でご褒美は四度だと言った。
その時点で一人〜二人の殺害分が残っているとはいえ、半分よりは後だろう。
九時以降というところか。
夜遅く、轟音の響く戦いが起きた街で、誰かが、Q−Beeを殺した」
確信を持ったメロの言葉。
ブルーは何度も流石だと身につまされる。
情報収集力と相手の裏をかく力には自信が有ったブルーだが、
その二つはともかく情報分析力においてはメロが圧倒的に上回る。
メロとブルーはしばらく言葉を交わす。
情報を纏めていく。
0330遺。(後編) ◇T4jDXqBeas
2009/11/20(金) 02:36:28ID:kOUQiWG5それがどちらであったにせよ、メロにとっての問題にはなりえない。
何故ならブルーの選択の如何に関わらず、メロの意思は続くからだ。
ブルーがメロを殺せなかった場合の理由は言うまでも無い。
数時間後にブルーの中で膨れ上がる『メロへの慕情』が掻き消えたとしても、
その頃にはメロの広く浅い傷と消耗もマシになり、切り捨てられる理由はなくなる。
メロからブルーへの想いも醒めているだろう。
メロは再び優位に立つ。
何よりそれまでの間、彼女の愛を受けられるというのは好ましい。
今、この瞬間のメロは、ブルーを愛し、穢し、貪り尽くしたいとすら想っているのだから。
メロにとってこちらの結果が最良である事は語るまでも無かった。
だがしかし、それが叶わなかったとしても。
メロを殺せばブルーはその死に呪縛される。
例えしばらくして『膨れ上がるメロへの慕情』が掻き消えたとしても、
それまでにブルーは行動方針を確たる物にしているだろう。
ちょっとしたきっかけの一つが失われても既に歩き出しているはずだ。
死者への問いが解決する事は無い。
メロの意思は託される。
その成果を自分で確認できない事は悔しいが、ブルーが上手くやる確率はまあまあだろう。
既に武器を握り締めていたブルー相手にこれならば、上々と言っても良かった。
切った札は媚薬入りのバカルディ・ラム。
メロが口を付けた水と同じ、最初から封を開けられていた飲料。
メロはそれがそうであるという確証さえなかった。
ただ、ブルーが既に武器を握り締めていた以上ブルーの殺害はありえなかった。
ブルーに殺されない手段としても追い込む方が確率としては高かったし、
ブルーに託して現状の散々なメロより上手くやってくれる見込みはそれなりに有った。
メロは既に、ブルーに対して勝利していた。
メロとブルーの視線は絡み合い、そして。
* * *
0331創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:36:35ID:U2pFQtKI0332遺。(後編) ◇T4jDXqBeas
2009/11/20(金) 02:37:10ID:kOUQiWG5感情を押し殺した吸血鬼エヴァンジェリンの言葉が、淡々と闇に響いた。
それはニケの死も、想いも、全てを踏み躙る言葉に思えた。
とても残酷な答えだと。
だから蒼星石は抗った。
「──それで、いいの?」
手も。
足も。
仮初めの仲間も。
生きうる見込みも。
全てを奪われたって、それでも。
「彼は、それじゃダメって言ったじゃないか」
ニケは怯まなかった。
身動きも取れず死にゆく身でさえ、己の意思を貫き通した。
蒼星石は思う。
勇気ある者とは彼のようなものを言うのだろう。
だから想う。
自分のためではなく彼のために、何かをしてやりたいと。
蒼星石は元より、自分の為に動くのは性に合わない。
善い事の為でも、悪い事の為でもなくて、誰かを進ませる為に何かを為したかった。
エヴァはそんな蒼星石を見下ろして。
蔑むように、哀れむように、嗤った。
「蒼星石。ククリの話にはまだ続きが有るのだろう?」
「………………」
見抜かれていた。
蒼星石は仕方なく、しかし構わない事だと受け入れて頷く。
ニケに隠し通せたのだから、隠し続ける理由はもう無い。
「彼に告げた通りだよ。
ククリさんは何人もの仲間に守られて、北東の街の旅館に居た。
温泉も有るところだった──だけど。
僕が見た時、旅館は既に破壊されて、ククリさんは僕の姉妹に殺されていたんだ」
沈痛な結末にエヴァはやはりかと頷いた。
全てではなくとも、その死は予想の内に有ったのだろう。
「おまえの姉妹は人殺しで、おまえも人を殺す生き方に手を貸した。
相方に裏切られてそうなっているのはおまえの正しさではない。
ただの弱さだ。
おまえが悪としても半端だったという、それだけの結果にすぎん」
辛辣な言葉に、蒼星石は頷く。
けれど食い下がった。
「そうだ。僕はもう、何にもならないものになってしまった。
だからこんな話を僕がするのは幾らでも笑ってくれていい。
全てが、自業自得なんだから。
でも君はそうじゃない、エヴァンジェリン」
返るのはせせら笑いだけ。
それでも蒼星石には懸命に言葉を重ねることしかできない。
「ニケ君は君に、帰ってこいって言ったじゃないか。
それなら君は帰ることができるはずだ。
例え彼が死んでしまっても、彼は帰る道を示したんじゃないか」
0333創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:37:12ID:TlKjQXDM0334遺。(後編) ◇T4jDXqBeas
2009/11/20(金) 02:37:58ID:kOUQiWG5エヴァは蒼星石に問いかけた。
「おまえは何のために殺し合いに乗ったのだ」
「優勝者に与えられる願い事でみんなを生き返らせて、全て無かった事にするために」
エヴァはそれが可能であるか不可能であるかを問おうとは思わなかった。
優勝の見込みも、ジェダがそこまでの願いを叶えるどうかも問おうとはしなかった。
「復活が存在する事は間違いない。僕は修復された体に呼び戻されてここに在る。
他にも復活の魔法が存在する世界から連れて来られた人は居る」
「そうか。それで?」
ただ、問うた。
蒼星石は答えた。
「だけど、殺して、殺しあって、殺されて。
嫉み、怨み、憎み、怒り、嘆いて。
そんな想いを抱いたまま、全てを無かった事にする事なんてできないんだ。
例え蘇ったとしても、その死が呼ぶ妄執は心の樹に絡みつく。
どうしようもなくなった後で、ようやく気付いた。
例えどんな理由で、何をして戦うにしたって。
歪んだ想いを、歪んだまま果たしちゃいけなかったんだ」
「そうか」
エヴァはその言葉をただ、聴き。
そして、
「だが」
言った。
「正しさの結末が奴の死だ!!」
まるで全ての想いを吐き出すように。
「正義は、弱い」
煮え滾る言葉。
その怒りの言葉は何故か、敗北者の如き苦渋に満ちた声で紡がれていた。
「手を汚さず、足を泥に沈めずに何が出来る。
汚れる事を怖れず襲ってくる相手にどう抗う!?
抗えはしない! ならばっ」
いや、きっとそうなのだろう。
彼女は。
エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルは。
「誰かが全ての罪を背負って往かねばならんのだっ」
死という終着に向けて歩いていたのだから。
沈黙が横たわる。
雨の音がただただ響き続けている。
「君は……まさか……」
エヴァの言葉を噛み締めると共に、蒼星石は理解しつつあった。
彼女が何に対して怒っていたのか。
ニケが言ったように、どんな理由であれ。
それが他の殺害者を減らしたり誰かを助けるためであれ、人を傷つければ怨み憎しみが生まれる。
傷つけられた者が苦しみ、被害者とその仲間が加害者を怨むだけに留まらず、
加害者も苦しみ、その仲間と加害者の絆さえも危うくなる。
それこそが負の連鎖だ。
断ち切れない悪夢の侵蝕だ。
「正しさを拠り所にすれば罪は皆に降り注ぐ。
それを悪いとは思わんが、勝手な都合を押し付けるつもりも無い。
ならば私は、悪を往こう」
0335創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:38:46ID:/HQcmm640336遺。(後編) ◇T4jDXqBeas
2009/11/20(金) 02:38:51ID:kOUQiWG5例えば高町なのはなどは、そうやって孤立した末に迷走したのだろう。
ヴィータを殺さずに止めた時は賞賛したが、やはりあれは、
(あの娘は罪を背負うべきではなかったのだ)
叶うならば、エヴァが行いたかった。
あの時のエヴァにはその余力が無くて、ヴィータを殺すことが出来なかった。
だからそれを殺さずにしてのけた高町なのはを賞賛すらした。
彼女は悪を背負えるのだと信じて。
もしもエヴァが行えていれば、高町なのはがあんな姿になる事はなかっただろう。
そう思うと、胸が痛んだ。
古手梨花の殺害から、エヴァは悪に生きて散る事を決めた。
これまで歩いてきた道を、命尽きるまで走り果てる事を選んだ。
光に住まう者達が愛しいから、護りたい。
もう、誰もこちら側──闇側に堕ちる必要など無い。
あらゆる罪は一切合切エヴァが背負い、悪の代表として正義の前に果てるのだ。
たった一人、誰も道連れにすること無く。
それがエヴァの胸に燈る最期の望みだ。
エヴァは哀切と共に床に横たわるニケの遺骸へと視線を下ろす。
(おまえが死んでどうするのだ、ニケ)
正義の味方は他にも居る。
あの工場に居た、リンクやインデックス達は皆そうだと思えた。
だけど叶うならば、この勇者に。
世界に存在する理不尽にツッコミを入れ茶々を入れ、悲劇を台無しにしてくれる、
この喜劇舞台の勇者に倒されるならば、どんな結末も笑って赦せそうな気が、少しだけしたのだ。
ほんの少しだけ、他よりも小さじ一杯程度には強く期待していたのだ。
万感を込めた視線は、一瞥だけで離れた。
「私は光を知らしめる影となる。おまえはそれを手伝え」
「僕が……?」
蒼星石は困惑と共にエヴァを見上げた。
「あれだけの事があり、あれだけの事を言って、何もしないとは言わせん。
おまえには私を手伝ってもらう。
別に罪を背負えとは言わん。私に付いてくる必要も無い。
悪を映えさせる者として正義に味方してもかまわん。
ただ私の在り方を手伝え。それすらしないというなら死ね」
あまりにも身勝手な言い分だった。
だけど蒼星石が何もすまいと、エヴァはそう生きて、死ぬのだ。
彼女に従うにせよ抗うにせよ、少なくとも放っておけるはずはなかった。
一つの、致命的な問題を除いては。
「今の僕に何が出来るっていうんだ」
彼女の両手足はニケの咄嗟の反撃と、グレーテルの悪意によって破壊されている。
両腕が有ればふわふわと浮かびながら金糸雀のバイオリンで戦えなくもない。
片腕と両足が有れば、機敏に駆け回り庭師の鋏で戦えなくもない。
しかし全てが破壊されれば、浮かび移動する事は出来てもその先が何も無い。
まだこの肉体を『自らが在るべき体』として認識し“生きて”いられる事さえ驚きなのだ。
破損部は残っているものの、繋げられるのは稀有な人形師だけで、完全に八方塞──。
0337遺。(後編) ◇T4jDXqBeas
2009/11/20(金) 02:39:37ID:kOUQiWG5何時の間にか、エヴァの手には人形が抱かれていた。
いかにも口の悪そうなカクカクとした口の人形だ。
エヴァは人形を見下ろして、旧知の仲の様子で話し始めた。
「本当に倉庫に転がっていたか。久しぶりだな、チャチャゼロ」
「オウ。オレハ御主人ガブッ倒レテル時ニ会ッテルケドナ」
「神社の時か。やはりあの男の言っていた事は本当だったのだな」
「めろノ事カ? アイツハナカナカノ悪党ダッタゼ。ソーイエバドコイッタ?」
「私が殺した」
「エッ」
「なんだその驚き様は。いつもの事だろうが。」
「ダッテアイツ、御主人ガ気ニ入リソーナ気合ノ入ッタ悪党ダッタゼ。
ソレニ御主人、最近ツマンネー程マルクナッチマッテタジャネーカ」
「………………」
「昔ノ筋金入リダッタ頃ノ御主人ミテーダゼ」
変わった。
いや、戻った。そうなのだろう。
エヴァは自分が少し前とは違い、ずっと前のようになっている事を自覚していた。
闇の底を這いずるように生きていた、あの頃のように。
「イヨイヨヤル気ニナッタッテーナラオレハ楽シインダケドヨ」
「なら口を挟むな、チャチャゼロ」
「御主人、ヤケニナッテネーカ?」
自棄。
そう、それも間違いなく今のエヴァを駆り立てる理由の一つなのだろう。
悪であろうという決意はあっても。
光に寄り添うことすらせず、闇として討たれようなど、少し前のエヴァならば考えなかった。
「ソコニ転ガッテル吸血痕付キノガキト関係」
「もういい、黙れ」
「オウ」
疑問の言葉は封殺された。チャチャゼロは黙った。
矢継ぎ早に命じた。
0338創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:39:52ID:TlKjQXDM0339遺。(後編) ◇T4jDXqBeas
2009/11/20(金) 02:40:22ID:kOUQiWG5おまえの体を部品に使って、仮の人形契約も結べば、私が送る魔力で動かせる物にできるだろう」
側に転がっていた蒼星石が、息を呑んだ。
「まさか君は、僕の修復の為に従者を壊すつもりなのか!?」
エヴァはチャチャゼロを見つめたまま、答えなかった。
沈黙は肯定だった。
治される身である蒼星石当人が、誰よりも驚愕した。
「その子は長年連れ添った君の従者なんだろう!? それを、そんな理由で……!」
「アァ。オレハ御主人ニ従ウゼ」
「な……っ!!」
別に大した事でもない。
チャチャゼロはそんな口ぶりで終わりを受け入れた。
エヴァは自らの従者に告げる。
「中枢部は使わないが、私は生きて帰るつもりが無い。永い眠りになるだろう」
「ソーカ。オワカレダナ、御主人」
起こす者は居なくなるだろう、と。
チャチャゼロを宿した人形の中枢は、誰にも省みられる事無く徐々に朽ちて逝くだろう。
何十、何百年という時間の果てに。
チャチャゼロは茶化すように、言った。
「マ、ドーセ御主人ガ学園ニ囚ワレテカラハ別荘デ暇シテタンダ」
「うっ」
エヴァは思わず言葉に詰まる。
エヴァが学園結界に囚われ、チャチャゼロを動かす魔力が無い頃、
チャチャゼロが動ける唯一の場所でも有る“別荘”の管理を任せていた。
ただでさえ退屈で冗長な学園生活に鬱屈したエヴァが使わなくなっていた、
外の一時間で中の一日が過ぎ去る異空間の別荘だ。
「ナニ気ニシテンダ、御主人」
チャチャゼロの表情はいつも通り、カクカクと喜劇めいた人形の顔。
そこに苦しみや辛さは見受けられなかった。
人形であるチャチャゼロの時間感覚は人間のそれとは違う。
「オ人好シニ悪党ハデキネーゼ?」
「判っている。だが」
「ダガ?」
それでもエヴァは言わずに居られなかった。
エヴァの都合で使えなくなり一時期遠くに置いても、代わりを作っても。
それでも最後の最期まで忠実であった、この従者に、ただ一言。
「すまなかった」
詫びを送りたかった。
チャチャゼロが、ケタケタと笑った。
「ジャーナ。ドーセナラ派手ニ散レヨ、御主人」
「フ……フフ……分かっている、私を誰だと思っている?」
「最強ノ悪ノ魔法使イ、えヴぁんじぇりん様ダロ? オレノ自慢ノ御主人ダ」
「ああ、そうさ。そうだとも。じゃあな。……眠れ、チャチャゼロ」
短い会話の末に、チャチャゼロは眠りに就いた。
きっと、目覚めることの無い眠りに。
0340創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:40:26ID:/HQcmm640341遺。(後編) ◇T4jDXqBeas
2009/11/20(金) 02:41:04ID:kOUQiWG5その右腕から抜き出された素材は蒼星石の右腕を縫う為に使われた。
その左足から抜き出された素材は蒼星石の左足を直す為に使われた。
その右足から抜き出された素材は蒼星石の右足を継ぐ為に使われた。
エヴァは蒼星石と契約を結ぶ。
人形契約。
人形を人形の従者に変える為の契約を。
意思無き者に意思を与える物でもあるが、既に意思が入っている相手にその効果は無い。
これは単に、蒼星石の新たな手足を動かすためだけの物だ。
新たな手足を魔力で繋げ、動かす為だけの物だ。
魔力を篭められた手足は蒼星石と接合され、蒼星石の意思で動き出す。
そしてエヴァは繰り返し告げた。
「もう一度、言っておく。おまえが手伝うのは私の往き方だ」
私が悪で在る事だけを手伝ってくれればそれでいい。
それだけがこの手足の条件だとエヴァは告げた。
悪として生き、立ちはだかる全てを薙ぎ払うエヴァの生き方を、蒼星石に真似できるとは思えない。
彼女は結局、心の芯から善良な選択をしたのだから。
何よりもして欲しくなかった。
エヴァは誰も道連れにする事無く、ただ一人闇に沈み果てるつもりだった。
だが悪を手伝うだけなら出来るだろう。
それを打ち倒す為、正義を助けても良いのだ。
というよりも、むしろ。
エヴァは、蒼星石が何をどう選ぼうと構わなかったのだ。
だってエヴァのほんとうの願いは、ニケの想いを汲んだ蒼星石が生き延びることなのだから。
ただそれだけの想いを篭めて、エヴァは蒼星石を救った。
【D−3/森/2日目/黎明】
【メロ@DEATH NOTE】
[状態]:全身に無数の負傷。左手の小指と薬指欠損。右手親指亜脱臼後の痛みによる握力低下。
左肩に刺傷(殆ど感覚がないが無茶をすれば何とか動く程度)(以上は全て応急処置済)
左肩、左脇腹、右膝に切り傷。負傷+冷気+雨による体温低下。
弱い催淫効果の影響で、ブルーのことが理屈抜きで気になっている。
[装備]:賢者のローブ@ドラクエX(上半身裸)
[道具]:なし
[思考]:どちらにせよおまえは俺のものだ、ブルー。
第一行動方針:ブルーの選択を待つ。
第二行動方針:『ご褒美』で情報を得たい。QBを殺した奴が誰か知りたい。
第三行動方針:どうでもいいが板チョコが食べたい。どこかで手に入れたい。
基本行動方針:ニアよりも先にジェダを倒す。あるいはジェダを出し抜く。
[備考]:ブルーが絡むことについて、理屈でなく衝動で行動してしまう恐れがあります。本人も自覚しています。
ブルーを通して、「ブルーが聞いた光子朗の考察」の一部を知りました。
0342創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:41:17ID:U2pFQtKI0343遺。(後編) ◇T4jDXqBeas
2009/11/20(金) 02:41:46ID:kOUQiWG5[状態]:全身に骨折、打撲、擦過傷等多数(以上応急処置済み)、精神疲労(中)、激しく動揺
メロに惚れつつある。マフラー状態の風の剣を握っている。びしょ濡れ。
[服装]:新体操で使うレオタードに、ジャージの上だけを羽織った格好
[装備]:風の剣(マフラー状態)@魔法陣グルグル、シルフスコープ@ポケットモンスターSPECIAL
[道具]:支給品一式×3(食料、水分少し減)、
ターボエンジン付きスケボー@名探偵コナン(やや不調)
年齢詐称薬(赤×3、青×3)、G・Iカード(『聖水』)@H×H、チョークぎっしりの薬箱、
Lのお面@DEATH NOTE、マジックバタフライ@MOTHER2、
シャインセイバー(サモナイト石・無)@サモンナイト3、モンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL
[思考]:殺せって、そんな……
第一行動方針:メロを殺す? 殺さない?
第二行動方針:イヴと合流できてまだ利用価値があるようなら、上手く利用する
第三行動方針:第五行動方針:グリーン、イエローのことが(上の行動方針に矛盾しない程度に)心配
[備考]:
イヴの心変わりに気付いていません。イヴがGIのカードを使って脱出した可能性に思い至りました。
頑張って光子朗の考察内容を思い出しました。どの程度思い出したのかは未定。
メロの考察を知りました。メロが自分に「惚れかけて」いることに勘付いています。
ターボエンジン付きスケボーは、どこか壊れたのか、たまに調子が悪くなることがあります。
【D−4/体育館内/2日目/黎明】
【エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル@魔法先生ネギま! 】
[状態]:全身に痛み、左腕が殆ど動かない、魔力消費(大)
[装備]:フェアリィリング@テイルズオブシンフォニア
[道具]:支給品一式、手足の無いチャチャゼロ(半永眠)@魔法先生ネギま!
[思考]:…………次は、どうするか。
第一行動方針:休憩するか、それともすぐに動くか。
第二行動方針:リリスと遭遇することがあったら、リリスを倒し身柄を押さえ、情報を得る。
第三行動方針:ジェダの居場所に至る道を突き止め、露払いをする。
第四行動方針:ジェダを倒そうと挑む者たちの前に立ち塞がり、討たれる。
基本行動方針:ジェダ打倒のために暗躍。ただし仲間は作らない。誇り高き悪として、正義の前に散る。
[備考]
梨花の血を大量に吸いました。雛見沢症候群、及び女王感染者との関連は不明です。
ジェダ打倒を目指している者として、ニアの名前をグリーンから聞いています。
パタリロを魔族だと思っています。名前は知りません
紫穂の『能力』が、触れることで発動することを見抜きました。詳細までは把握していません。
雲に隠れていても満月による補正は有るようです。
【蒼星石@ローゼンメイデン】
[状態]:金糸雀のローザミスティカ継承、雨で服が湿っている。
殺人には激しい抵抗有り、チャチャゼロの部品と人形契約により四肢を維持
[装備]:庭師の鋏@ローゼンメイデン、金糸雀のバイオリンと弓@ローゼンメイデン
[道具]:基本支給品×2、ジッポ、板チョコ@DEATH NOTE、 戦輪×4@忍たま乱太郎
素昆布@銀魂、旅行用救急セット(消毒薬と針と糸)@デジモンアドベンチャー
トンネル南側入り口の鍵
[思考]:僕は……
第一行動方針:エヴァに付いて行き手伝うか、あるいは。
基本行動方針:優勝のお願いで全てを無かった事にしたかった。
[備考]:現在蒼星石の四肢はエヴァとの人形契約により動いています。
蒼星石の自由に動き、エヴァにとっての負担もほぼ有りませんが、
昼間のエヴァの魔力の減衰や、死亡によって影響を受ける可能性は有ります。
0344創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:42:30ID:kOUQiWG50345創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:43:34ID:TlKjQXDMお手数掛けました。ありがとうございます。
0346創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:46:13ID:U2pFQtKIうわああああニケェェェ!!
ここでニケが死ぬとは、まぁマーダーに囲まれてた生活だし
いつかはと思っていたが。
だが、ヒーローとしての生きざまを貫いたから良かったのかなあ
マーダー同盟早くも崩壊。偽悪コンビ結成か。
そして、メロとブルー。
こいつらの動きも気になるぜ
0347創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 02:50:36ID:kOUQiWG5原作ではあまりないシリアスなニケなのに、最後までらしいと思えた
で、生き残った奴らの動向も気になるな
エヴァはこのまま悪を貫くのか
ブルーはメロを殺すのか生かすのか
そしてグレーテルはどこに行くのか…
0348創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 03:02:35ID:TlKjQXDM最期までニケらしく勇者らしく頑張っただけに、余計に衝撃でかいです
揺れてるブルーや蒼星石がどうするのか気になります
それにしてもグレーテルはほんとに楽しそうだ……
0349創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 17:51:14ID:VX5i0+ie三勇者合流叶わず……!
だけどニケの最後の言葉は蒼星石に届いたようで、これからどうなるやら。
エヴァも救われてほしいな。
ブルーもどうなるかな。
周りの対主催は全員こいつ警戒してるしw
0350創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 18:40:15ID:Mp5KIxtr0351創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 18:42:34ID:c6qKem4N0352創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 18:43:28ID:bWIwgYq0というかマーダー勢が装備充実してたりして強すぎるw
0353創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 19:35:41ID:yXzPqOBIうっわあああ、なにこの無常感…読み終えた後のこのなんともいえない感じは凄いな。
ニケは死んだけど確実に何かを残して逝ったって感じだ。
GJ、これはいい作品だ。
0354創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 19:42:44ID:zjLNamnsこれでグルグル勢も全滅か。
終盤ぽくなってきたな。
0355創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 19:49:02ID:Mp5KIxtrでも貴重な鬱ブレイカーがここでリタイアして個人的にかなり堪えた・・・
後は頑張ってくれ、エヴァ、蒼星石。
0356創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 19:55:36ID:vSboi+MQ0357創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 19:58:15ID:bWIwgYq0号泣したw
今からグルグル全巻買って来るぜ
蒼星石は一時はどうなることかと思ったが、なんとか立ち直れたみたいでよかった…
既に逝ってしまった姉妹達のためにも頑張ってほしいな
ニケの死を無駄にしないためにも
てか感想がこんなにw
まだ人がたくさんいることが分かって良かった
このロワはまだまだやっていけるな
0358創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 21:37:54ID:VX5i0+ie読み返してたら展開が変わりかねない問題に気付いた……
ニケが自分の剣だしたら抵抗出来たんじゃね…?
痛みやらで忘れてたで行けるだろうか。
0359創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 22:17:03ID:BE+0i4fO確かに言われればグレーテルにあれだけ啖呵切ってたから意地でも抵抗はしそう。
0360創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 22:25:52ID:VX5i0+ie今回の話通したいのに変な事に気付いちゃった的な意味で。
0361創る名無しに見る名無し
2009/11/20(金) 23:30:47ID:bWIwgYq00362創る名無しに見る名無し
2009/11/21(土) 00:04:11ID:aYblQP7P少なくとも修正必須な程とは思わない
どっちでも作者さん次第で
0363創る名無しに見る名無し
2009/11/21(土) 02:37:04ID:dQl5Embhニケが最後の力でカッコイイポーズやっているとことか最高だった。
生死に関わらず先の展開に深みが増すやり取りだなと思いつつハラハラしながら読んでました。
チャチャゼロの役回りも良かったなー。メロが相棒だったと説明しているとこと
エヴァとの別れのところに何ともいえない物悲しさを感じた。
やっぱりニケは勇者だったな。こいつの明るさがあるかぎり対主催いけるんじゃねという根拠のない
安心感を持っていただけにショックが大きいや。
キルアとか雛苺とか最近(といっても数ヶ月前か)の死亡話はホント読んでて面白いな。
ニケは前の話で魔力消耗も激しい上に怪我もしているんだから、
自分の剣すら出せないほどに疲弊していたのでいいのでは。
0364創る名無しに見る名無し
2009/11/21(土) 09:34:25ID:sFUjnd25そして残るショタはたった7人…
0365創る名無しに見る名無し
2009/11/21(土) 12:32:43ID:Es8YmZE3このスレが終わりなのは見えてるのに期待してします
ロワで絶望していても何故か諦めない参加者みたいに諦めたくないみたいな気分がする
0366創る名無しに見る名無し
2009/11/21(土) 12:37:01ID:IHLyuNBW0367創る名無しに見る名無し
2009/11/21(土) 13:16:37ID:YzBJFC9J放送後に全員動いたということでマップ更新だよー!
ttp://www25.atwiki.jp/loli-syota-rowa?cmd=upload&act=open&pageid=8&file=romap+263.gif
動くはマーダーばかり、対主催は待機ばかりで拠点を攻められてばかりの対主催。
本当に大丈夫かー!?
トップレベルの能力者のキルアやロワの清涼剤エロ勇者が死に、
ショタ不足が深刻化してきました。
このままでは
「ロリショタロワ終了のお知らせ。次回からはロリバトルロワイヤルが始まります」
なんてことになりかねません。
書き手の皆様方、ショタに愛の手をー!
0368創る名無しに見る名無し
2009/11/21(土) 14:48:58ID:sbYJxIVjエヴァじゃないけどこいつになら倒されてもいいって思えるすごいやつだった。
勇者ってほんとああいう奴のことをいうのかもしれん。
エヴァはほんとせつねえことになってるな。
青い子との偽悪コンビがどうなるかも期待
そしてチャチャゼロ。
俺はあんたのことも好きだったぜ。
メロがどこまでもニアに勝つことを求めてるのがよかった。
しかし惚れ薬系が最初から後半まで猛威ふるってるな、このロワw
0369創る名無しに見る名無し
2009/11/21(土) 16:17:28ID:sFUjnd25生存率は約45%
ショタは35人中7人生き残ってる
生存率は20%
ショタ頑張れw
0370創る名無しに見る名無し
2009/11/21(土) 17:01:19ID:+9lTQEi10371創る名無しに見る名無し
2009/11/21(土) 19:52:48ID:YzBJFC9J0372創る名無しに見る名無し
2009/11/21(土) 20:43:17ID:NP5BkT5h0373創る名無しに見る名無し
2009/11/21(土) 21:44:31ID:7r2lK495まあ、読んで色々いう俺らも十分おっかないが。
0374創る名無しに見る名無し
2009/11/22(日) 10:01:12ID:IXOTJcm6LSは元より頭数の少ないショタが優先的に退場させられてるから尚更
0375創る名無しに見る名無し
2009/11/22(日) 10:13:00ID:cS+2Wexg死亡数は同じなんだし
てかもうこの話やめよう
何か不穏な感じになってきた
0376創る名無しに見る名無し
2009/11/22(日) 13:30:23ID:GA/15N/40377創る名無しに見る名無し
2009/11/22(日) 14:44:52ID:OmKlAsH5文句言ってる奴は当然率先して書いてくれるんだよな?
0378創る名無しに見る名無し
2009/11/22(日) 15:22:39ID:nJsAK0I20379創る名無しに見る名無し
2009/11/22(日) 15:51:11ID:z7xuB4+N書く人はあまり差別なく書いたほうがいいよ。
0380創る名無しに見る名無し
2009/11/22(日) 19:07:46ID:cS+2Wexg構って損した
0381創る名無しに見る名無し
2009/11/24(火) 19:29:48ID:H3dpFDRx0382創る名無しに見る名無し
2009/11/24(火) 20:54:19ID:DH72vOUc0383創る名無しに見る名無し
2009/11/25(水) 18:28:11ID:H7Ar4adP同じくらいにして欲しいかな。
0384創る名無しに見る名無し
2009/11/25(水) 19:36:29ID:pV40b0TW完結させずに2を始めても前のが終わってないのに云々となるし。
0385創る名無しに見る名無し
2009/11/25(水) 20:01:30ID:3o+obT3A0386創る名無しに見る名無し
2009/11/26(木) 00:01:47ID:8lwszMhJこのロワですら完結できるかどうかも怪しいし
でも実際、今一番楽しみなのはこのロワなんだけどねw
このロワはこんな所で終わっていいわけがない
0387創る名無しに見る名無し
2009/11/26(木) 00:35:18ID:hbL2lrui0388創る名無しに見る名無し
2009/11/26(木) 23:01:07ID:U568qpv+把握とここまでのフラグ整理が壮絶なことになってて諦めたことがある
0389創る名無しに見る名無し
2009/11/29(日) 18:23:16ID:drJAc1oP0390創る名無しに見る名無し
2009/11/29(日) 18:35:00ID:kcNQEo9h>実際ものすごくクオリティが高いから
同感。
せっかくここまで来たのなら最後まで行って欲しい。
リスタートとかで無かったことになるのは忍びない。
0391創る名無しに見る名無し
2009/11/29(日) 18:53:44ID:iEjDNg1r0392創る名無しに見る名無し
2009/11/30(月) 12:13:26ID:9uH13l9D0393創る名無しに見る名無し
2009/11/30(月) 12:41:21ID:evyx647k0394創る名無しに見る名無し
2009/12/01(火) 21:20:28ID:swu8CGsUニケのストリーを追ってたら「屏風の虎」から「遺」へリンクが張ってなかったんだ
それで、リンクを張って…パス打ち込んでたしかめてみたら
「SSが半分以上消滅していた」
…なんでやねん
みんな、ごめん。誰か「屏風の虎」の内容拾ってこれる人いる?
俺には無理だorz
0395創る名無しに見る名無し
2009/12/01(火) 21:27:36ID:3Q4kDVri0396創る名無しに見る名無し
2009/12/01(火) 21:42:09ID:xchNqmdi0397創る名無しに見る名無し
2009/12/02(水) 12:55:11ID:INP/6mgd直してくれてありがとう!
0398創る名無しに見る名無し
2009/12/02(水) 17:45:46ID:LhAb1uUE湖底都市とか南や北西の塔なんか詳しく調べられてないし。
0399創る名無しに見る名無し
2009/12/06(日) 12:39:35ID:EWHphWXg0400創る名無しに見る名無し
2009/12/07(月) 05:38:46ID:IyDWy+uo0401創る名無しに見る名無し
2009/12/07(月) 10:17:24ID:NUUantjg0402創る名無しに見る名無し
2009/12/07(月) 17:22:49ID:uHMhBOPq0403創る名無しに見る名無し
2009/12/07(月) 18:34:14ID:aWgmyguv0404創る名無しに見る名無し
2009/12/08(火) 22:39:52ID:6EGTz+w9ぽつぽつとでも人が戻ってきた気がするよ……
0406ギップリャアアアの謎 ◆tcG47Obeas
2009/12/08(火) 23:41:02ID:6kJOWeKw陰鬱で、憂鬱で、沈鬱だった。
鬱々とした沈黙が部屋に満ちていた。
レベッカ宮本は何も言わない。
トマに話すべき事は話し終えたし、濡れた体もシャワー浴びさせてまあそれなり対処した。
後は時間をかけてでも、受け止めれば良い。
シェルターの通話装置に通話記録が有った事と、その内容について。
白との会話で気付いた事だけは隠して、それ以外は隠しもせずに。
ククリの死は、隠してもどうせ朝の放送で告げられるのだ。
冥王の悪辣な宣告で知るよりも、今知っておいた方がマシだったろう。
それだけを話してレベッカは静かに待った。
自らも考えに耽り考察を立てながら、トマが起き上がるのを待つ。
仲間の死、親しい人の欠落による衝撃を受け止めるのを待つ。
目を合わせないよう、気を使わせないように適当な作業をしながら待つ。
茶化すように言葉を交わして、行動に次ぐ行動で前に進んでもよかった。
でも失われた人達に黙祷を捧げる時間くらい有っても良いと思ったのだ。
「ベッキーさん」
思ったよりは短く、トマからの言葉が返った。
レベッカは振り返り、トマと顔を合わせて。
お互いがふうと息を吐いて。
確認した。
「トマ。私達の目的はなんだ?」
「ジェダをやりこめてみんなでこの島から脱出する事です」
「満点だ」
トマがどれだけククリの死に苦しんだかは見れば判るほどに明白だった。
声も無く泣いていたのだろう、瞳は拭き残した涙に濡れていた。
手は強張り、声は僅かに嗄れていた。
きっとジュジュの時もこうだったのだ。
それでもその答えが迷わず返ってきた事を、レベッカは良しと思えた。
「ありがとうございます、ベッキーさん」
「気にすんな」
そうやって、会話は再開された。
トマはそっと、部屋の隅にあるジュジュの死体に目を向けた。
シェルター内に移動されていた、首輪を剥ぎ取るべき、大切な仲間の遺体。
だけどそれよりも先に情報を整理する事を選んだ。
「まず気になる話はトリエラさんと、ヴィクトリアって名乗る人との会話です」
やはりかとレベッカは思う。
その会話の中で、ククリは金糸雀に殺されたという証言が出てくるのだ。
気にならないはずが無かった。
「ククリさんは、ここから北の街で死んだんですね」
「ああ。トリエラもそこに居る」
北東市街レベッカ宮本宅。
そこにはククリを保護していたらしきトリエラが居て、
話相手のヴィクトリアが居る『インデックス』もその近くの何処かだと予想される。
破壊された警察署と旅館。
こんな物が有りそうなのは市街地くらいだ。
片方が南西に居たと考えるにはお互いの情報が共有されすぎている。
「どうする、トマ。雨が止んだら朝までに向かうか?
なんで私の家が持ってこられてるのかはすっごく気になるけど、家の見分けは付くぞ。多分」
市街地の立ち並ぶ建物から僅かな情報から目的の家屋を見つけ出すには相当な苦労が伴う。
例えその面積が1平方km足らずだろうと尋常な労力ではない。
だが家の形を熟知している者なら、高台から探せば見つからなくもない広さだろう。
0407創る名無しに見る名無し
2009/12/08(火) 23:41:31ID:Hf38LOvI支援
0408ギップリャアアアの謎 ◆tcG47Obeas
2009/12/08(火) 23:42:03ID:6kJOWeKwトマは首を振った。
「いえ、ベッキーさんが動くのは厳しいでしょう」
「うぐ。ま、まあな」
レベッカ宮本は成り立ての吸血鬼である。
流れ水を渡れず、日の光に灼け死ぬ存在である。
今、彼女の移動範囲は極端に制限されていた。
「いちおー、宇宙服着れば出ていけるんじゃないかなあとは思うんだけどさ。
重いし動きにくい襲われて破かれたらヤバイから、動きたくないのはほんとだよ」
「判ってます。無理はしないでください」
「それに実際、ここは私に向いた場所だからなー。禁止エリアに指定される危険も殆ど無いし」
「2エリアに跨っていますからね」
「それだけじゃないぞ。1時に発動するG−4の禁止エリアが決定的だ」
それは分からなくて、トマは聞き返した。
「え? どういう事ですか?」
「動線だよ」
レベッカは地図を広げた。
今彼女たちが居るシェルターはG−5とH−5に跨って存在している。
その横に無地の紙を並べて置き、幾つかのマス目を書き込んだ。
F G H
4□■□
5□○○
6□□□
レベッカ先生からの出題です。
「黒い四角が禁止エリア、○がシェルターだ。
だがこの表記の仕方だと見落としが有る。判るか?」
トマはうーんと頭を捻り、しばらく地図と無地の紙を見比べた。
正確な表記には思える。
随分簡略化されているが、禁止エリアとエリア配置だけを見るなら間違ってはいない。
雑な表記だがシェルターも書き込まれている。
シェルター。
ランドマーク。
実際にそこにあるもの。
地形。
気づいた。
「あ、もしかしてこういう事ですか?」
マス目の上に重ねて線を引く。
F G H
4┤■┤
5┼┼┤
6│└┤
「正解だ。
この辺は禁止エリアだけじゃなく水場が移動を阻害しているからな。
G−5を禁止エリアに指定したら島の東端への移動が阻害されるし、
H−5を禁止エリアに指定したら北東部が孤立しちまう。
そしてジェダには、参加者をある程度は活発に移動させたい理由がある」
「殺し合いも何も、出会わなければ始まらないですよね」
「ああ。5時に発動するE−2の禁止エリアも有るから不安は有るけどな。
ジェダはしばらくの間、この辺りに禁止エリアを増やしたくないはずだ」
0409ギップリャアアアの謎 ◆tcG47Obeas
2009/12/08(火) 23:43:08ID:6kJOWeKw禁止エリアの中で移動を阻害しているのは今のところここだけだ。
とはいえ完全に断っているわけではない。
森の奥を抜ければ移動できなくもない。
しかし元より島の北部に施設は少なく、妙なオブジェを除けば北東部の市街地だけだ。
単に隠れるのでなければ、向かう理由は減っている。
「1時と5時の禁止エリアの意図を合わせて勘ぐるなら、北東市街地への交通の阻害か。
完璧には閉じずに圧力を掛けて、しばらく出入を制限したいんだろ。
なんでそんな事をしたいのかはわかんないけどな。
人の分布具合が不味いのか、それとも別の理由か。
一時的な物で、次の放送の禁止エリアは北東に来るかもしれない。
だからまあ、家は気になるけどほんと言うと近づきたくない。
けど良いのか、トマ?」
「はい。もし行くならぼく一人で行きます」
「なら待ってた方が確率高いぞ。市街地の奴らが移動するとしたらここに来る可能性は高い」
「ええ。でもどちらも気になってますから、片方は調べに行きたいんです」
「もう一方は、あの記録の事か」
トマは頷いた。
通話記録に残されていた通話元も宛先も判らない二つのデータ。
「実を言うとあの片方、心当たりが有りまして」
「あー……あの、ずっこけた方か」
「はい、ずっこけた方です」
ひどい言いようである。
「ギップルさんというテントにもなる便利な方なんですけど、
臭い台詞を吐かれるとどこからでもツッコミを入れに来る習性がありまして。
多分それで偶然収録されたんだと思います」
「この場面じゃ役に立ちそうに無いけどな」
「そうですね」
そう言いつつも、二人は紙にペンを走らせ始める。
この辺りは“まだ大丈夫なはずの”会話だ。
だが念を入れるに越した事はない。
レベッカとトマは首輪関連の話題について、首輪の『覗き穴』を閉じた上で筆談する事にしている。
筆談は大変時間が掛かるので、聞かれては不味い事だけだが。
『でもギップルさんの声が、念話にせよなんにせよ残っていたという事は』
『もう一方も私たちが知らない参加者の知り合いか何か、恐らくジェダの自作ではないって事か』
『はい』
ここまでを素直に考えれば、あの少女の言葉は脱出の有力な手がかりになるのかもしれない。
しれないが、だが。
レベッカはある事に気がついた。
『トマ、確認するぞ。ギップルの念話は明らかにたまたま収録された物だ。そうだな?』
『はい、そうだと思います。あの内容ですから、まず間違いなく』
『するとつまり、ここの装置には念話を録音する機能まであるわけだ』
『そういう事になりますね』
そうでなければおかしい。
おかしいが、なら。
『トマ。放送がそれこそ念話みたいな物だったのには気づいてるか?』
『あ、そういえばそうですね。考えてみたら音って感じじゃありませんでしたし』
『私はさっき気づいたよ。この記録を調べててな。
おまえとアオイとの通話記録に放送が入ってなかったんだ』
『そうなんですか』
トマは見事な着眼点だと感心したように頷いてから。
レベッカがいやいや〜と照れてるのを脇目に。
数秒の間を置いて。
あれ、と呟いた。
0410創る名無しに見る名無し
2009/12/08(火) 23:43:33ID:Hf38LOvI0411ギップリャアアアの謎 ◆tcG47Obeas
2009/12/08(火) 23:44:25ID:6kJOWeKw『それ、何かおかしくありませんか?』
『そう、おかしいんだ。
ここの録音機能にあの念話が記録されてるのはおかしい』
トマはぞくりとした寒気を感じて、録音記録を振り返った。
何か得体の知れない謎がそこに有る。
『私は最初、あの音質に差が有る二つの声を聞いてこう考えた。
妨害が無い時期にギップルの声が混じり、通信妨害が強化された後に少女の物が入った。
つまりここの記録装置は念話も記録することができる。
この二つだけならこれでいい。
けど聞こえなかった放送まで含めるとおかしい。
あるいは聞こえなかった放送とあの少女の声だけなら説明は付いたんだ。
けど放送が記録されず、少女とギップルの声が記録されているのはどう考えてもおかしい』
『どういうことですか、それ』
『女の子の声にははっきりした意思が有った。
それなら意図的に吹き込んで特別に記録させることができたのかもしれない。
じゃあ偶然入ったはずのギップルの念話まで同じ形式で入っていたのに、
放送が記録されなかった理由はなんだ』
トマは考えを巡らせる。
道具に絡む話に限定すればトマの知性はこの島の誰にも引けをとらない。
幾つかの仮説が浮かんだ。
『内部から内部への声は記録できないとか』
『念話に限って外部からの通信だけ記録するのを会場内に置く理由って思いつくか?』
『念波妨害で放送が消えたとか』
『私たちに聞こえていた以上、念波みたいなのは正常に届いてるはずだ』
『この装置までは届かないけど放送の念波はそれぞれの首輪から出ているとか』
『放送の原理はそうかもしれないけど、そもそも会場内に念波妨害はありえない』
レベッカはとんとんと首輪を叩いて見せる。
以前の首輪考察を思い出せ、と。
『私が、電波じゃ水とかに遮られて困るだろうと推測したのをおぼえてるか?』
レベッカは中の人発覚以前から、首輪の機能全てが機械で行われてはいないと推測していた。
電波が様々な障害物に遮られるなど不都合があるからだ。
『会場内に通信が届かない場所なんて有ったらいけないんだ。
少なくとも会場内の念波は妨害できない。
もちろん中と外を隔てる通信妨害は有るんだろうけど、会場内にそんな装置は置いておけない』
加えてレベッカは思う。
内部に念波妨害を行われていれば、手詰まりだと。
この会場内の念話を妨害されているとすれば、レベッカの立てた予定、
《念話による首輪解除法》は使えなくなってしまう。
先に妨害装置を壊してしまえば良いと思うかもしれないが、
恐らくジェダの本拠地に有るだろうそんな設備が禁止エリア指定されていない可能性は低い。
首輪を解除しなければジェダ側の設備に攻め込む事は難しいが、
ジェダ側の設備を破壊しなければ首輪を解除出来ないとなれば、打つ手が無くなる。
(頼むからそれだけは無しにしてくれよう)
ちょっと弱気になりながらも、自説の確かさを信じて考察を続ける。
さてとレベッカは問いかける。
レベッカ先生からの第二問。
『それで、念話とかそういうの自体は機能してるとすればどうなる?』
0412ギップリャアアアの謎 ◆tcG47Obeas
2009/12/08(火) 23:45:20ID:6kJOWeKwトマは頭を巡らせる。
中と外の念話が妨害されている可能性は十分有るだろう。
会場の外側には念波妨害装置の様な物が有るのかもしれない。あるいは単に特殊な壁か。
まあそこまで出て行けたなら逃げの一手だろう、それほど関係深い物ではない。
しかし内部から内部の念話が妨害されている可能性は低い。
よって放送も妨害などはされていないはずである。
にも関わらずここの装置に放送は記録されていなかった。
ここの装置には念話を録音する機能など無い。
ならば女の子の声だけならまだしもギップルの声はどこから入った?
やがて一つの答えが出た。
それが意味する事までは理解できないまま、トマは呟いた。
『あの声は、ここの設備で記録されたものじゃない?』
頷きが返った。
何処か別の設備で録音されたデータがここの設備に置かれていた。
あまりにも迂遠ではあるが、そう考えるのが適切に思えた。
二人はそれが何を意味しているのか考える。
ここの設備で記録できないデータが何故ここにある?
『一つ。すっごく好意的に考える。
外から私たちを助けようとしてくれている誰かが物理的に直接データを送りこんだ。
ギップルのデータは何かのおまけだ。
手紙とかじゃないのはジェダの目に付かないところに隠すため。
よりによって肝心の部分にノイズが入った原因は不明』
『ちょっとキビシイですね』
『二つ目。かなり好意的に考える。
なんかの手違いでジェダの手元で管理するはずの外部傍聴記録がこっちに流出した。
念話の録音装置は数が少なくてここにまでは置いていない。
あと、私はそれが外部にだけ向いてる事を祈る。念話も記録されるんじゃキツイ。
QBはものすごくバカみたいだからな、もしかしてありえるかもしれない。
この場合はジェダによる検閲済みな可能性が高い上に、
通信はシャットアウトされてるわけだから外部と連絡できる見込みは薄いけど、
外から救助しようとしてくれてる奴が居るってのは救いだ』
『でもこちらからは何もできませんね』
『祈れ』
『三つ目。悪意があるとして考える。
外部傍聴記録には違いないけど、なんらかの理由で意図的にジェダが仕込んだ。
この場合は音質が悪かった部分も簡単に説明が付く。嘘とばれない為だ。
ノイズで欠落させた部分に“この島じゃ有り得ない条件”が含まれてたんだろう。
ギップルの声は安心感を増すためかな。
放送が録音されない事に気づけなかったらすっかり信じてたし。
一番有り得る気がしてきたけど、そうだとしたら意図が分からない』
『不気味ですね。なんていうか、あまり考えたくありません』
『四つ目。もうすっごく好意的に考える。
二つ目の派生でギップルの物だけは外部傍聴記録がこっちに混ざった物。
あるいは単なる偶然で、明確な意思を持ってしてもあそこまで音質が劣化する
内外を隔てる壁を音質クリアなまま打ち破った挙句なんでか念話記録機能が無い媒体に記録成功。
女の子の声はそれとは全く別枠でジェダにも気づかれてない例外だ』
「………………」
思わず沈黙。
0413創る名無しに見る名無し
2009/12/08(火) 23:45:40ID:G0UsVFZb0414ギップリャアアアの謎 ◆tcG47Obeas
2009/12/08(火) 23:46:44ID:6kJOWeKw『もしもそうだったら良いですね』
『そーだよなー』
それから、結論付けた。
『多分二つ目か三つ目。この記録はジェダ側の手違いか、あるいは意図してここに置かれた。
手違いよりわざとやった可能性の方が高いと思う。
というわけで私は、この記録それ自体は外れだ、と結論せざるをえない』
暗鬱な結論だった。
『けどギップルには礼を言うべきかもな。気づけないよりかずっとマシだ』
『そうですね。まんまとジェダの罠にはまっていたかもしれません』
『でもそれだって不思議な話だ』
『?』
レベッカは問う。
この記録がここに有ったわけを。
『もしかしたら理由も答えも無くて何かの手違いかもしれないけどさ。
ジェダが外部傍聴記録を改変した上でここにおいて惑わそうとしたんなら、
なんでわざわざそんな事をしたんだ?』
『脱出しようとか、ジェダを倒そうという人たちを罠にはめる為じゃないんですか?』
『そうだよな。多分、そうなんだけどな』
島の東端に有るシェルター内に、島の南端に脱出の鍵ありという示唆を残せば、
それを見た反ジェダの一派は安全性の高いシェルターを出て、南の塔に向かうだろう。
危険な野外を移動して。
魅力的な脱出の鍵に目が眩み時間を浪費して、手が届いたかもしれない可能性を見失うだろう。
狡猾極まりない悪辣な仕掛けだ。
ここまでは疑問を挟む余地も無い。
だけどレベッカは疑問に思う。
(多分、あの声は罠だ。更に罠は複数仕掛けられてるはずだ。
この島に有る物も、ジェダから支給された物も、どこまで信用出来るか怪しいもんだ。
けどすっごい違和感が有るんだ。
どこかおかしい気がする。
だって、他の部分じゃあんなに無茶苦茶で杜撰で投げやりなんだぞ)
たくさんの凄い奴らを集めた殺し合いである、執拗に安全策を取っていてもおかしくはない。
むしろ当然の話だ。
だがしかし、あの見るからに自信過剰なジェダが、どうしてここに限り完璧に対策しているのか。
二人が以前にも考察した事だが、ジェダの管理体制ははっきり言って杜撰だ。
行き当たりばったりっていうか何も考えてないだろおまえと説教したくなるほどだ。
絶対的、圧倒的な優位性がそうさせるのだろうが、どうにも詰めが甘く思えてしまう。
なのに会場だけ徹底的な安全策を練っている理由は何なのか。
(目くらましをばら撒かなきゃならないぐらいシンプルな欠陥が何処かに有るのか?
例えば、ジェダ自身も割と普通に行ける場所に居るとか。
QBが何処かから来てるんだから、有り得ない話じゃないかもしれないけど)
悩みに悩んで、それから。
レベッカは書いた。
『塔を調べに行くのは有りかもしれないけどな』
『どうしてです?』
十中八九罠と見た場所を調べる余地などあるのか。
0415創る名無しに見る名無し
2009/12/08(火) 23:46:51ID:Hf38LOvI0416ギップリャアアアの謎 ◆tcG47Obeas
2009/12/08(火) 23:47:36ID:6kJOWeKw『加工されたにせよあの声は外部の声である可能性が高いんだ。
この会場にあるE−8の塔を示しているなんて保障は一切無いけど、
外部から何かをしてジェダが後始末をした後だとか、
何かしようとしているのを意図を持って泳がせている可能性は有る。
もしそうなら、直接的では無いにしてもジェダ側を探る鍵が有るかもしれない。
『なるほど。でも死亡するような罠という危険性は?』
『罠で殺される可能性はほとんど無いと思う。
私たちに殺し合わせるのが目的なんだからな。
でも理由によってはわかんないから、調べるならぜったいに深入りするなよ』
リスクがどれだけあるかも判らない上に、大したリターンも見込めない。
いや、むしろリターン0の可能性が極めて高い。
それでも端から圧倒的劣勢なのだから、試してみる価値は有るかもしれない。
レベッカが出した結論はそんな所だった。
筆談を記した紙をくしゃくしゃに丸めて放る。
考察はここで終わりだった。
「何にせよ、私はしばらく動けない」
「わかってます。次の夜まで待っていてください」
「悪いな。それでどうする?」
「どうする、というのは?」
「いつ、どっちを調べに行くんだ」
「ああ、いつかというなら雨が止んだらすぐです。それまでは休んで、あと……」
トマの視線が。
部屋の隅にある布を被せられた遺体に、向いた。
ジュジュの遺体。
首を切り取り、首輪のサンプルを入手すると決めた、トマの仲間の遺体。
想いが交錯した。
筆談にするほどでもなく、言葉を伏せて想いを伏せずに話を交わす。
「私が一人でやっておくよ」
「いえ、これは」
「ムリすんな。心を病んだら何にもならないぞ」
「でもベッキーさんはベッキーさんで」
今は吸血鬼だから。
レベッカはあわあわとした様子で、だけどはっきりと否定する。
「ガマンするぞ、ちゃんと。血のパックだってあるし。さっきもいけたし」
「でも、それって大変じゃないんですか?」
「おまえよりはずっとマシだ」
「でも」
「だから」
レベッカは真っ向からトマの意思を否定する。
辛いを必ずしも自分でやる必要は無いのだと。
「自分がやるべきだ、やらなきゃならない、なんて考えは捨てろよ。
おまえがやるべきじゃないぞ。死体だからって、友達を、切り落とすなんてこと。
おまえがやらなきゃいけないワケでもない」
「わかってます」
「友達だから尚更なんてのも無しだからな。
友達は自分が切るべきだなんてちょっとじゃなく色々冒されてるぞ」
「わかってます」
「余裕を持って、張り詰めるなよ。
そういうのって、この島じゃイヤな方向にばかり転がるんだからな」
「わかってます」
「あとさっき一緒にやったから判ると思うけど人体の切断はすっごく疲れるぞ。
成り立てだけどいちおー吸血鬼の私がやるなら、手伝いの有り無しなんて大差無いぞ」
「わかってます」
「それでも、やるのか?」
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