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写真はイメージ(C)PIXTA

 英国で12歳の少年が祖父の80歳の誕生日に贈ったあまりにスペシャルなプレゼントが話題になっている。

 英南西部サリーに住むハリソン・ガーニー君(12)の祖父マルコム・ハンソンさん(80)は昨年夏、57年間連れ添った妻と離れ離れになった。アルツハイマー型認知症が進行し、施設に入れざるを得なくなったからだ。

 それ以来、いつも悲しそうな表情で意気消沈しているマルコムさんを見て、ハリソン君はなんとか大好きな祖父を元気づけ、「笑顔にしたい!」と熱望していた。

 そして完璧なアイデアを思いついた。ハリソン君は祖父が子供の頃から抱いている「見果てぬ夢」を知っていた。その夢を実現するのだ!

 マルコムさんの夢は、第2次世界大戦中に英国の防空に大活躍した戦闘機「スピットファイア」(写真)に乗ることだ。

 大戦末期の1945年、ロンドンでドイツ軍戦闘機とスピットファイアの空中戦を目撃して以来、マルコムさんはスピットファイアに対して一生変わらぬ憧れを抱いていた。

 スピットファイアは現在も実際に飛行可能な機体が何機も残っている。ハリソン君は、スピットファイアを所有する個人や団体に、祖父の夢と現状を記し、「80歳の誕生日に祖父を元気づける手助けをしていただけないでしょうか」と懇願する手紙を送ったのだ。

 これに心を動かされたのが、スピットファイアなど歴史的な航空機を多数所有しているウエストサセックスにある「チチェスター・グッドウッド空港」。名前は空港だが、現在は旅客定期便は就航しておらず、航空機操縦免許を取るための学校となっている。

 チチェスター・グッドウッド空港は2人を招待してスピットファイアに搭乗させ、空を飛ぶことを提案した。

 そして5月28日、ついに76年間抱き続けてきたマルコムさんの夢は実現した。

 マルコムさんを乗せたスピットファイアは大空を舞い、きりもみ回転や急降下! 途中で少しだけ操縦もさせてもらったという。

「人生で最もファンタスティックで驚くべき体験でした」と大感激のマルコムさんは、自分の夢を実現してくれた孫についてこう語った。

「生涯の夢がかないました。ハリソンは私の夢を知っていて、実現してくれたんです。いったん決心すると最後までやり遂げる。本当にあの子が誇らしい」

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