そろそろ小一時間。
さっきから、PCのモニタに見入っている俺の両隣で、2人の女の子がじっと俺を
見つめていた。
正座して、不機嫌そうな上目遣いで俺を見上げる瑞希。
不安そうな表情で佇みながら、ちりちりと電波を送ってくる瑠璃子さん。
「もう小一時間たったわよ?」
「・・・決めた?」
室内のプレッシャー濃度が桁ひとつ跳ね上がる。
「・・・・・・・・よし」
俺がつぶやくと、ごくりと瑞希が喉を鳴らし、瑠璃子さんからの電波が途絶えた。
「瑞希」
「は、はい?」
名を呼ばれた瑞希が裏返った声で応える。
「強く生きてくれ」
そう言った俺は、人生最速のスピードでキーボードを操った。

『電波、確かに受信致しました。
<<瑠璃子さん>>に一票。今後とも、暖かい電波をよろしく。』
そして、書き込みボタン。

瑠璃子さんがけぶるような微笑とともに、暖かい電波を送ってくれる。
そして、その反対側では、殺意の波動がむくむくと湧きあがっていた。

・・・その後、その男が12月27日の日の出を見られたかどうかは定かではない・・・。