宮沢俊義の【戦前の】記述。

 すべて国家が完全な意味における国家であるためには必ず固有な統治体制原理を有するを要する。それはその国家存在
の根拠であり、その国家をしてその国家たらしめるところのものである。
 国家はそれによってその本質的性格を与えられ、独自の個性を身に着ける。かくの如き固有な統治体制原理を欠くときは
そこに自主的な国家はあり得ず、ただ他国に従属する国家(非独立国)または単なる国家連合(非国家)があり得るにすぎぬ。
 国家の固有な統治体制原理は不変的なるものでなくてはならぬ。固有な統治体制原理の変更は国家の本質の変更であり、
国家そのものの変更であるから、その原理は本質的に不変性をその特色とする。

 大日本帝国は万世一系の天皇永遠に統治し給ふ。これわが肇国以来の統治体制の根本原理であり、これをわが国家にお
ける固有且つ不変な統治体制原理とする。それは、いふまでもなく、宏遠なるわが肇国の伝統のうちにおいて発生したもので
あり、諸諸の古典に伝へられる皇孫降臨の神勅以来、天照大神の神孫この国に君臨し給ひ、長(とこしな)へにわが国土およ
び人民を統治し給ふべきことの原理が確立し、それがわが統治体制の不動の根底を形成してゐる。