>>668

行為者が事実を真実であると誤信して行った表現行為は、
真実であるという証明ができない以上は、
名誉毀損の責任を免れないかということが問題となりました。
原審は、真実であると誤信して行為した場合であっても、
真実であることを証明できない以上は、
名誉毀損の責任を免れないと判示しましたが、
最高裁は、表現するにあたって基礎となった資料等から
誤信するにつき相当の理由があった場合には、
真実性を厳格に証明できなかったとしても、
名誉毀損における故意は認められないと判示しました。

民主主義にとって自由な言論活動は不可欠の要素だから、
例え誤った言論であっても、それが誤りであるかどうかも調査せず、
漫然と行ったものであったり、あるいは故意に誤った事実を摘示する
ような場合は別段として、真実であると誤信したことにつき正当な
理由が認められるような場合には、名誉毀損は成立しないと判断しました。