俺は昔々、その道の人になろうとしておった。井上さんが『共生の作法』で
売り出した、それはもう気の遠くなるほど遙か過去の事なので、ここで議論
ふっかけるような知識はもう残っておらん。
でも色んな方に会えたよ。上方の大学だったので晩年の加藤新平先生、引退
直前のころの矢崎光圀先生、八木鉄男先生etc(天野さんとは全然接触がなか
ったな)。田中成明さんも竹下賢さんもまだ若かった。東京から井上茂先生や
長尾龍一先生が来られた時は、一緒に呑み屋に連れていってもらったりした
こともある。
それだけの話なんだけど、加藤先生には本当に学識、人格から来る風圧、今
ふうに言えばオーラとかそないなもんを感じましたな。「最近、古典サンスクリ
ット語の勉強を始めた」とおっしゃっていて、本当に一年後にある程度モノに
されていたらしいのはビックラこいた(そりゃ印度哲学辺りの専門家のレベル
なんかを引き合いに出しちゃいけないようなものだろうけど)。
知的探求という営為への尊敬の念だけは今でも残っていますね。