日本ケーブルテレビ連盟(東京都品川区)の常務理事兼事務局長(64)が同連盟の預金口座から約九千九百万円を引き出したまま、今月二十五日から行方不明になっていることが、三十日わかった。同連盟は常務理事を同日付で懲戒免職にし、近く業務上横領で刑事告訴するとともに損害賠償請求訴訟を起こす。

同連盟によると、今年三月、不審な預金の引き出しがあることに会計担当職員が気づいた。経理を担当する常務理事に事情を聞いたところ、昨年五月以降に約五千六百万円を引き出していたことを認めたという。常務理事は「大豆の先物取引で失敗、穴埋めに使った」と説明、全額を返済した。

ところが、常務理事は三月以降も、同連盟など三団体が六月に都内で開くイベント費用の口座から約九千九百万円を引き出し、その一部を同連盟への返済に充てていたことが分かった。常務理事は「五月下旬までに弁済する」としたが、今月二十五日午前に「病院に行く」と外出したまま行方が分からなくなったという。

同連盟は一九八〇年九月に設立された社団法人。全国のケーブルテレビ事業者三百三十九社が会員となっている。常勤の役職員は七人で、年間の運営費約一億一千万円。常務理事は郵政省出身で、千葉中央郵便局長を務めていた。