その赤い夕陽に染まりながら、1万2千キロメートルも伸び
る鉄道線路があった。「南満洲鉄道株式会社」、通称「満鉄」
である。満鉄の開発した超特急「あじあ号」は最高時速150
キロでその広大な原野を疾走した。当時の日本で最速の列車は
時速70キロ。「あじあ号」は、まさに夢の超特急として世界
の注目を集めていた。

「あじあ号」だけではない。満鉄本社では電話はダイヤル即時
通話であり、大豆の集荷量・運搬距離・運賃はIBMのパンチ
カードで処理されていた。さらに東洋で最初の本格的な高速道
路、水洗トイレまで備えた近代都市、東洋一の埠頭、世界でも
有数の巨大ダム、さらには自動車工場や飛行機工場までがあっ
た。

 このような部分的には日本をも追い抜く先進工業国家が、ユ
ーラシア大陸の東北端に忽然と姿を現し、わずか13年半の後
には蜃気楼のように消え去った。そのまま発展を続ければ、も
う一つのアメリカ合衆国となったであろう。まさに満州国は日
本人の明治維新以来の近代化への情熱と技術が生みだした20
世紀の奇跡であった。日本の傀儡政権、偽満洲国、大陸侵略な
どと批判する前に、満洲国とはどんな国だったのか、まず事実
を見ておこう。
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国際派日本人養成講座:満洲 〜 幻の先進工業国家
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