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0298シナリオ担当 ◆cpbZ25GBR.
04/08/20 00:45ID:kE2jQl3Qいう声が飛び交い、叫び惑う人々の中を掻き分け、俺は走った。原因となっているものは
すぐに分かった。―――魔物だ―――。しかも、俺の身長の倍はあろうかと言う巨大な
ヤツだ。
四肢を持ち、その上に頭部が置かれるシルエットからして、ヒト型の魔物と言っても良い。
しかし、その異常なまでに発達した長腕と、一つしか存在しない眼のせいで、その姿は異常
なまでに禍々しく醜いものだった。猛り狂って暴れるそいつに、俺はゆっくりと間合いを詰めていく。
警備隊を待っている時間は無い。魔物の目前には、既に民家の密集地がある。奴が
そこへ侵入することは、なんとしても防がねばならない。ここは俺だけで何とかするしか…
ない!
俺の剣の間合いまで一気に魔物に詰め寄り、眼光鋭く睨みつける。
ギョロギョロとせわしなく蠢いていた眼球は、俺を視界に捕らえるとその動きを止めた。
奴の喉下から気味の悪い唸り声が吐き出される。攻撃に転じる気だな…と思いつつ、
俺は空中に身を翻すべく足に力をこめた。
魔物が太い腕を、俺めがけて振り下ろす。しかしそこに既に俺の姿は無い。魔物の肩を
足場にし、俺は、三角飛びで魔物のはるか頭上を飛翔していた。
空中で剣を逆手に持ち替える。後は剣に全体重を掛けて、一気に魔物を両断するのみ。
パァァァァァァァァァン!!
子気味のいい音とともに、夕日の光を受け尾を引く閃光となった俺の剣が、魔物を頭から
両断した。ドスドスと地響きを立てながら、二つに分かれた魔物の体が地面に伏し、
橙の空に赤い血飛沫が舞まった。
「クッ…!アァ…!」
苦痛に歪む喘ぎ。
魔物は俺が完膚なきまでに殺した。俺の剣がヤツを「通した」とき、既にあいつは絶命していた。
「グッ…!」
その魔物が、声を発するわけはない。
この苦しみに喘ぐ声は…他でもない俺自身のものだった。
俺はそのまま、殺された魔物のように、無様に地に伏した。
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