宮本茂からのアドバイス
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0001名無しさん@お腹いっぱい。
01/11/10 21:13ID:Aj/YjoYaアイデアレベルでどんなにすばらしいものでも、実現できなければまったく意味はない」「かれは限界を知った上でのデザインの重要性を身にしみて感じた」「彼が学んだもう一つの大事なポイントは、いかにしてアイデアをプログラムにするかということだった」
「プログラムは最終的には画面上に絵として表現される。ゲームをデザインするときはその絵としての効果を十分に理解している必要があった。つまりあるアイデアをゲームに活かすためには、それを画面にどういった形で表現するか、
どのような動きであらわすかをまず絵として表現し、その上でプログラムできる形、すなわち数式に置き換えなければならないのである。
アイデアがあること。それを描けること。そして、機械やプログラムに何できて何ができないかを知っていること。いいゲームをつくるには、これだけのことがわかっていなけらばだめだ」 .....「テレビゲームの神々」多摩豊著より
宮本茂
現任天堂株式会社取締役情報開発本部長であり、世界でもっとも著名なゲーム製作者。「ゲームの神様」とも喩えられる。任天堂が開発したほとんどのN64ソフトのプロデュースを行い、「スーパーマリオ64」ではディレクションも担当した。
2000年6月には取締役情報開発本部長に就任、名実ともにソフト開発の総責任者として21世紀の任天堂を、果てはゲーム業界全体を牽引していく存在になっている。
受 賞
【第5回日本ソフトウェア大賞】(97.3)
MVP 宮本茂(同賞第1回も受賞) ※他に浮川初子(ジャストシステム)
96年の日本のコンピューターソフト業界で最も活躍した人に与えられる
【第1回 Interactive Achievement Award】(98.5.28)
Hall of Fame Award 宮本茂
E3の運営団体「IDSA(Interactive Digital Software Association)」が主催
【第13回マルチメディアグランプリ1998】(98.12?)
MMCA会長賞 宮本茂 ※個人表彰の最高賞
0587名前は開発中のものです。
02/04/06 20:18ID:???ているレア社とある程度同じような開発環境を整え、レア社を意識した上で、
ディレクターのハード知識のトレーニングなどをやっているのですか。それと
も、あくまで宮本さん独自のお考えを中心にトレーニングを積んでいるのでしょ
うか。
宮本
えーっとね、話をすると全然違うんですけれど(笑)。ぼくは実際に仕事をし
ていて、絶対にレアと似ているって思う。どこが似ているのかっていうと、<
仕上げていく段取り>っていうのが似ているんです。開発の中盤あたりで、ど
のあたりの問題がクリアになっていて、後半にかけてどういう詰め方をしていっ
て、いつ頃クオリティがどんなふうにあがっていくのかみたいなカーブがある
んですよね。
よくあるのは、見かけとか第一印象がすごく面白そうなんだけど、「ここどう
するのやろ」っていうところがいっぱいあるゲーム。そういうゲームってゴタ
ゴタやっている間にだんだん横這いになったり、だんだん粗くなって、わけの
わからないゲームになったりするんですけど、レアの仕上げは、「確実に遊べ
るポイント」っていうのを押さえてきてて、そこから詰めていくとだんだん上
がっていって、それでその仕上げに向かって、大勢の人が的確なことをしてい
くっていう、粘りがあるっていう感じなんです。それが非常に「うちのゲーム
作りの仕上げ」の仕方と似ているんですね。そういう仕上げをやるためには、
ソフト屋さんであるスタッフ一人一人がハードのことをある程度わかっている。
絵描きさんもプログラムの知識をある程度もっている。それぞれが概念だけは
ちゃんと押さえているっていうことも非常に重要になってきます。
0588名前は開発中のものです。
02/04/06 20:18ID:???ドのスペックを教えるし、ソフトに関してもみんなフローチャートを作ります
し、仕様書って言うのは「絵があってロボットの絵があってこの部分がどうだ」
っていう仕様書じゃなくって、「パーツ表があってそれでフローチャートがあ
る」という仕様書が基本なんです。すごい天才的なプログラマーが何人かいま
して、そういうプログラマーには、逆に絵を描いて「ここがドヒャーン!!」
とか書いておいた方が上手くいきますから、そういう人にはそういう細々した
ものは渡さないんですけどね(笑)。とくにゲームの基本のシーケンスであっ
たり、いくつもの分岐をするものなんかに関しては、フローチャートを書いて
出しますね。だから今はうちの絵描きさん上がりのデザイナーやディレクター
とかはシステムからデザインしていきますので、みんなインスピレーションな
んかですごいの作ります。
それで、どこがレアと違うかっていうと、以前からずーっと感じていたことな
んですけれども、僕とレアが仕事をしたとき、変更を入れるときにね、この変
更を入れるとメモリが膨らむんで、「現状何バイト使っているんだ」っていう
問い合わせをしたんです。そしたら笑いながら、「お前がどうしてそういうこ
とを気にするんだ。やりたいものを描いてくればやってあげるから」っていう
返事なんですよ。「つねにクリエイティヴをやるほうはどんどん出せ。それを
吸収するのが技術者の仕事や」というふうに構えているようなんですよ、前提
はね。うちは「技術のほうが処理できるものを提案するのがクリエイティヴや」
というふうに現場に教えていますから、そこが一八〇度違う。だけどそれはね、
建前であって(笑)、やっぱり技術に一歩上のむちゃな要求も当然わからずに
しているでしょうし、技術の方もいわれたものだけやっったんじゃ満足してい
ないから、うちはそのかたちのなかである結論に至っている。
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02/04/06 20:19ID:???いっぱいいる環境にいますから、すごく勉強していると思うんです。だからディ
レクターもある程度のことはわかっているし、間に入っている人で技術系のコー
ディネーターもいる。たぶんそういう人たちがいて、フローチャートでしゃべ
れる話をするということを心掛けている。それで至っている結果はうちと同じ
ようになる。
これはね、やっぱり発言力が関係してくると思います。うちの場合はデザイナー
がわりと発言力をもった組織ですし、レアの場合は技術者とデザイナーが兄弟
で、両方が対等に発言力をもった組織だからそうなっているんでしょうね。そ
れは非常におもしろい。どっちにしろね、絵描きさんが、ただ絵を描いてもぜっ
たいに形にならないです。僕はそれをよく言うんですけれども、僕があまり技
術的なことばかり言うと、プログラマーにしたら「何もわかっていないのに」
っていうふうに反感を買うでしょうけども、基本的には設計をしている人がい
ないとできない。「ゲームデザインっていうのは、なんかイマジネーションを
語ることや」みたいになっていて、どんどん絵を描き、奔放な発想でとかいい
ますけど、ゲームは設計が重要で、ディレクターが設計者だという意識が必要
なんです。だからこのCPUの表示能力のなかでこのメモリをどう使うか、さらに
最近はこの内部メモリとこの外部メモリをどう使うかっていうことですから、
結局その器に入って動いたときの時間の流れ、タイミング、そういうものが一
体になってインタラクティヴなものになるのでしょう。
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02/04/06 20:19ID:???な技術者はできますよっていう。しかしロード時間がこんなにかかっちゃいま
したよとか、処理がこんなにかかりますよとか、結局気休めみたいなところで
「できますよ、できますよ」っていう話。逆に用心深い技術者に言わせれば
「いや、そんなものはできない」となる。結局現実は一緒で、やっぱりプログ
ラマーが組みやすいように設計がちゃんとしていないものって出来上がらない
んですよ。最近よく見かける仕様書っていうのは、「これは、できあがらへん
よ」とか、途中の段階で見て「今はいいけど、これ後半に向けて全部の要素を
入れていったら、動かなくなるよ」とかいうたぐいが多いですよね。しかしそ
ういうものがレアからは出てこない。だからレアが途中まで作ってきたものを
見たら「あとの計算をどうしているのか」が見える。仕上げていく段取りで
「カーブを越えたところから見える艶の出し方」のようなものが同じなんです
ね。そこは感じます。そういう意味じゃレアはうちに似ている。
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02/04/06 20:19ID:???た。では、そうした経緯の中で発生してきたノウハウみたいなものは、ディレ
クターが設計者だという意識を植え付けていくための土壌みたいな感じで、ディ
レクターの社内トレーニングのなかに含まれているのですか。
宮本――いや、もう現場でわからないことは全部、直接プログラマーに聞けっ
ていう。サポート隊がいますから、そこへ相談に行けっていう。それも全部自
分でやる。その後で仕様書を見てそこのところがはっきりしていなかったら、
結構厳しいですよっていう感じです(笑)。
たとえば、任天堂というよりも情報開発部という組織でそれをやりますから、
「それが情報開発のやり方だ」っていうふうになっていて、派閥っぽく扱われる
んですよね。だけどね、それは別にそれが悪影響しなければいいこと。僕は
派閥とかそういうことじゃなくって、「このビジネスをやる以上は全員に必要
なことや」と思っている。そういうことに神経がいくと逆に何かを失いますし、
もっと奔放な雰囲気の物作りもありますから、いろいろあっていいけれど、
「今、ビデオゲームの新しいものを作っていく、先端のものを作っていく」と
いう意気込みよりはある意味で必須だと思いますね。
想像力というのは一種の感性なんです。センシティヴであるかどうか。鈍感で
は困ります。疑問をもったものはなんでも聞いてみる、調べてみる。そこで得
た知識が直接仕事に役立たなくても、そういた疑問を持っていることで、セン
スや感性は自然に磨かれていくかもしれない。僕なんか学校でも全然勉強して
いなかったわけですし、空論でやっていたわけですが、やっぱり自分が使う道
具で、処理が動かないとかそういう問題に直面するから、初めて「勉強しよう
か」と思ったわけです。だから現場でそういうことを教えないといけない。新
人社員の研修とかで、うちはデザイナーにも一週間くらいの技術セミナーとか
を受けさせるんですけどね、やっぱりそれだけでは身に付かない。
0592名前は開発中のものです。
02/04/06 20:20ID:Ld1OiTbf■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています