就職活動に欠かせないものといえば履歴書だ。氏名、年齢、性別などの個人情報を企業に示し、選考してもらう。日本ではしごく当たり前だが、世界では「待った」を掛ける動きがある
▼昨年ドイツを訪れた際、政府機関の反差別本部で「匿名履歴書」というものがあると教えられた。氏名、年齢、性別などの項目や顔写真はなく、書かれているのは資格や技能、志望動機だけだ
▼書類審査の段階で、移民系の名前や性別などで求職者が差別を受けないようにする狙いがある。同本部が呼び掛け、2010年から11年にかけて八つの企業や団体が試験的に匿名履歴書を使ったところ、移民や女性が書類選考を通過し、面接に進む率が上がった
▼採用担当者からは、従来より良い人材が採れたと評価する声が多かったという。以前は顔写真などの印象にとらわれ、職業能力の見極めが後回しになっていた、との反省も聞かれたそうだ
▼まだ一般的ではないものの、ドイツでは自主的に取り組む企業が増えつつある。米国やカナダ、英国、フランスなどでも導入の動きがある。大きな潮流になるだろうか
▼少子高齢化が進む日本。働き手を増やそうとすれば、女性や高齢者、そして外国人の活用が必要になる。より良い人材を得ようとすれば、選考のあり方もおのずと見直さざるを得ないのかもしれない。
(2015年01月08日 09時02分 更新)

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