【国賊の毎日新聞】社説 再生エネ見直し 普及妨げぬ制度設計を
 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の見直しに向けた
検討作業が、経済産業省の審議会で始まった。太陽光を中心に発電設備の接続
申請が相次ぎ、電力の需給バランスが崩れる恐れが出ているのだという。
このため、九州電力など電力5社は、再生エネの新規受け入れを保留している。
 だが、日本の発電電力量に占める再生エネは水力を除くと約2%だ。FIT
の手直しは必要だとしても、再生エネの普及を抑制するような制度設計にしては
ならない。脱原発依存を実現し、地球温暖化対策を進める上でも、再生エネの
役割は大きい。長期的には、再生エネの拡大と利用者負担の抑制を調和させつつ、
政府が高い導入目標を示すべきだ。
 電力大手に再生エネの買い取りを義務付けるFITは2012年7月に
導入された。その後、今年6月までに稼働した発電設備は1100万キロ
ワットに達し、国内の再生エネ発電設備導入量は制度開始前の5割増しになっ
た。FITによる再生エネの導入促進効果が証明された形だ。

 問題は、発電設備が太陽光に集中していることだ。風力などと違い、太陽光
発電は国の環境影響評価の対象外で、事業を始めやすい。国の認定を受けたの
に稼働していない設備も約6000万キロワットある。大半は太陽光だ。
FITは毎年4月に買い取り価格を見直すが、認定時の価格が適用されるた
め、引き下げ直前の昨年度末に申請が殺到した。
 経産省が示した見直し案では、太陽光偏重を是正し、買い取り価格も認定
時から稼働時に改めることを検討する。国民負担の上限設定や事業者への競争
原理導入も検討する。

 買い取り価格決定時期の見直しや太陽光以外の再生エネ推進は妥当だが、
競争原理の導入には慎重な議論がいる。買い取り価格は電気料金に上乗せされ、
消費者が負担する。一方で、再生エネは地域振興策として各地で期待を集めて
いる。そうした取り組みへの配慮が必要だ。
http://mainichi.jp/opinion/news/20141018k0000m070131000c.html