ベネッセ漏洩 不安に陥れた責任は重大だ 2014年07月11日 00時09分

 子どもの膨大な個人情報を取り扱う企業としての自覚を欠いていると
言わざるを得ない。
 ベネッセホールディングスは、「進研ゼミ」などの通信教育サービスや
学習教室で学ぶ子どもやその親の情報が、最大約2070万件流出した
可能性があると発表した。
 顧客情報の流出としては、国内で最大規模になる。警視庁は、不正競争防止法違反
(営業秘密開示)容疑で捜査を始めた。経済産業省も、個人情報保護法に基づき、
流出の経緯などを報告するよう、ベネッセに指示した。

 ベネッセ幹部は記者会見で、顧客データベースへの接続権限を有する社外の
人物が情報を持ち出し、名簿業者に横流しした、との見方を強調した。
 たとえ、社員の関与がなかったとしても、漏洩を防げなかったベネッセの
結果責任は重大だ。流出した情報には、子どもの氏名や生年月日、住所、
電話番号などが含まれている。幼児から高校生まで年齢層も幅広い。
 既に名簿業者の間で売買され、通信教育関連の企業がダイレクトメールの
発送に利用していた、という情報もある。

 少子化が進み、子どもを対象にしたビジネスの競争は激しい。個人情報は、
商品販売や教育関連の勧誘に役立つとして、需要が高いと言われている。家族の
七五三や成人式の前に、レンタル衣装などの案内が自宅に届いた経験のある人も
多いのではないだろうか。
 情報が悪用されれば、子どもが犯罪に巻き込まれる恐れもある。最も
扱いに慎重を要するデータであることは言うまでもない。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20140710-OYT1T50187.html