始まりは、ティーンのカップルが「若気の至り」を撮影した2分半のビデオクリップだった。
しかしそれは、保守的な建前にヒビを入れ、性教育に関する真剣な問題を提起する大スキャンダルにエスカレートした。

16歳のデリーの高校生が、カメラ付携帯でガールフレンドにフェラチオをさせているところを撮影した時、
それによって自分が逮捕されるだけではなく、国内外で激しい論議の的になろうとは、想像すらしていなかっただろう。

一連の出来事は、今も伝統に縛られているインド社会を震撼させた。性愛の古典「カーマ・スートラ」を産んだ国だが、
人前でキスをすることすらはばかられる社会でもあるのだ。

ビデオ・クリップは最終的に、ネットのオークションサイト「Baazee.com」で競売にかけられることになり、その時点で
警察は事情を察知、サイトの管理人の米国市民を逮捕した。
同サイトは、米国の巨大ネットオークションサイト「eBay」の傘下にある。

(略)

主要雑誌が実施したセックスに関する調査はこうした兆候を裏付けているようだ。
インド人はより多くセックスをするようになり、その時期は低年齢化している。
今月、15〜18歳のデリーの学生217人を対象に行った調査が発表されたが、それによると、10人に1人がクラスメートとセックスをし
たことがあると回答している。

保守的なインド社会も、これ以上セックスに関する問題を無視するわけにはいかないだろう、と専門家たちも口をそろえる。

「私たちの社会はいつでもセックスが溢れています。ヴィクトリア朝風の価値観が、それが表面化しないように隠していた
だけなのです」と説明するのは社会学者のシヴ・ヴィシュワナサン氏だ。
「こうした価値観は崩壊しつつあり、だからこんなにもスキャンダルが噴出するのです」

インドは世界で2番目にHIV感染者とAIDS発病者の多い国であり、ほとんどの子供が課学校で性教育を受けないまま、社会に出てしまう。
今度の事件は最も必要とされていた警鐘なのかもしれない。

デリーに住む教師は「まず第一に親がいけません。子供たちにクレジットカードを渡し、携帯電話を買い与え、多額の小遣いを与えている。
こうしたことが、低年齢で経験しなくても良いことに子供たちを晒すことになるのです。親はきちんとケジメをつけなければ」と批判した。

インド南部のバンガロールで生徒のカウンセラーを勤めるサンゲータ・サクセナさんは、次のように語り、この問題はオープンに議論する
必要があると主張する。

「平均的なインドのティーンはアメリカのティーンと同じテレビ番組を見ています。そして、アメリカ人がやっていいなら、わたしたちだって
やっても良いじゃない、と思うのです」

「子供たちと対話をする必要があります。必要な情報とモラルを教え、セックスに関して責任ある行動をとる必要があることを
教え込まなければならないのです」

http://www.excite.co.jp/News/odd/00081103761176.html