通時的にみると、次のような論理的条件が、前提として存在する。

・「ぬ/ない」境界線の東側であること。
・否定助動詞「ない」が、形容詞型活用を完全獲得していること(これは江戸で19世紀以降)

これだけで、中部地方の大半は消えてしまう。更に、もう少し大胆に分析すると、
「形容詞を、『活用語尾込み』で、名詞っぽく扱う体質」が見え隠れする。
これは、典型的な東北方言の発想だ。
東北方言の形容詞活用は、内的再構をすると、「無い」を例に取れば、
*「ないかろう、ないかった、ない、ないとき、ないければ」のようになる。
この発想が、さらに一段階拡張されて、
「ないければ」→「なきゃ」がひとかたまりで無活用化し、「だ」がついて形容動詞化した。
記述的に言えば、「行かなきゃ」に、「だ」という言い切りの形態素がついた。
「オラ東京さ行くだ」の「だ」とも通底する。

ものすごく東北的な表現だと思うよ>「行かなきゃだ」