名古屋のオフィス賃料、大阪に迫る その差324円 大型再開発・リニア効果

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名古屋のオフィス賃料が大阪に迫っている。オフィス仲介大手の三鬼商事(東京・中央)によると10月末の大阪中心部と名古屋中心部の月額平均募集賃料の差は過去最低水準の3.3平方メートルあたり324円まで縮まった。
数年内に名古屋の賃料が大阪を超える可能性もある。

大阪の平均賃料は1990年代半ばには名古屋を5000円近く上回っていた。名古屋中心部の平均賃料は3.3平方メートルあたり1万798円。年初比で47円高い。名古屋駅前では大規模な再開発が相次ぐ。
11月11日に完成した「JPタワー名古屋」は入居率7割で完成時としては高い水準。10月末に完成した「大名古屋ビルヂング」もほぼ満室で、いずれも空室が少ない。「オフィス市況は今後も活況」(オフィス仲介大手、三幸エステートの妹尾哲也名古屋支店長)との見方が多い。
2027年にリニア中央新幹線開通を控える。今後、工事用地の確保のため名古屋駅前のオフィスの移転が相次ぐ見込みだ。関係者の話を総合すると、対象となる土地に建つ貸しオフィスに入居しているのは約100社あり、
面積で約3万3000平方メートルに達する。移転に伴うオフィス需要の高まりで名古屋が大阪を超える局面も出そうだ。
08年のリーマン・ショック以降ほとんどの都市で平均賃料は下がった。特に大阪の下落幅が大きい。5年前の10年10月に比べ名古屋はマイナス2.9%まで持ち直してきたのに対し大阪はマイナス8.9%と回復が鈍い。

 大阪中心部の平均賃料は1万1122円と年初比で15円安。13年に完成した大型物件「グランフロント大阪」が満室にならないなど市況の弱さが目立つ。
「伝統的に盛んな繊維業が振るわず、業界各社の需要が鈍い」(オフィス仲介大手)。自社ビルを建設し、貸しオフィスから撤退する企業が出ていることも影響している。古い中小ビルでは「オフィスビルからホテルやマンションに用途を転換する動きも出ている」
ただ、「全国展開する企業の担当者には、大阪の賃料は名古屋より高いという固定観念が根強い」(大手オフィス仲介)という指摘もある。名古屋のオフィス賃料上昇を抑える面もある。

名古屋と大阪のつばぜり合いを尻目に、東京のオフィスビル市況は堅調が続く。同日発表した東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の平均賃料は前月比18円上昇し、1万7612円だった。