デタラメに一個づつレスは面倒なのでまとめておく。長いぞ。

大前提として、低温調理器はローストできないから、ローストビーフは作れない。が、ローストビーフ風の料理
なら作れないこともない。もともと偽物なんだし、芯の状態、グラデーションの具合、焼き目の加減、コラーゲンの
ほぐれ具合、それぞれコントロールできるんだから、無限の可能性から作りたいものをつくればよい。
65℃からのアクチン変性を敵視しすぎない方がいい。離水して固くはなるが、味が出る。ローストビーフ風なら
ある程度グラデをつけて確保することも考慮すべき。

ホテルのビュッフェで出るローストビーフも、ほぼほぼスチコンで低温調理した偽物。業態からして、ローストして
作ったのに寄せて作る。例えばこんな感じ

・超高温(250〜300℃)ホットエアー/ドライ(焼き目つけ)
・中低温スチームで芯温45℃まで (グラデつけ)
・芯温維持モード58℃、芯温到達後1〜2時間程度(軟化)

家庭用低温調理器なら、フライパンで焼いてから真空パックして80℃で芯温45℃くらいかなってとこで58℃に下げて
1、2時間。下味は半分くらいにしてグレービーで補う。スパイスは好きなように。ガルニも皿も古風な方が似合うだろうね。
ステーキ風なら生でパックして焼くのを最後に。

どうせ偽物なんだから、フェイクとして作るのもアリ。低温長時間で、外見はほぼ全面ロゼ。ナイフを入れると見た目から
想像するテクスチャと全然違うというフェイク。こういう楽しさも料理なのが犬のエサと違うところ。長時間であるほどフェイク
は大きくなるが、その分素材の生気を失うわけで、思うところで折り合いをつける。ソースは古風でもいいが、皿やガルニ、
ドレッセはコンテンポラリであってほしい。1990年代にフレンチレストランで大いに流行ったが、あっちでもこっちでもだったので、
フェイクでもなんでもなくって収束。今やるなら、一周回ってカッコよくでないとな。