内容(「CDジャーナル」データベースより)
なんにせよ,山下は目立つ。今回のアルバムも,4つに分けられ,それぞれ独立し
た作品を一挙に録音。プラテーロ君は都合4回死ぬことになってしまうのだが,
硬質な音楽作りで出来は完璧。言語の朗読も美しい。あえて言えば優しさがほしかった。

内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
ここ数年、意欲的なアルバムを連発している山下和仁の新作は、もはや意欲的
などという言葉では表現しきれない内容である。ノーベル賞作家、ヒメネスの
詩をもとにカステルヌオーヴォ=テデスコが作曲した「プラテーロと私」の、
何と全曲盤。全28曲に及ぶこの大作は、CDに収めるとなるととても1枚では足
りず、コスト面、営業面などの問題からほとんどの場合抜粋盤として制作され
てきた。まあ抜粋盤でも十分に楽しめるのだけど、やはり全曲というのは聴き
応えがある。
山下の彫りの深い演奏は相変わらず見事だが、ここで特筆したいのは、かの名
ソプラノ、テレサ・ベルガンサの姪にあたるという女優、テレサ・J.ベルガン
サの朗読だ。彼女の声は音楽的なニュアンスに富み、声とギターとのアンサン
ブルといわれるこの作品の醍醐味をたっぷりと味わわせてくれる。水野貴子の
ソプラノも快い彩りとして興趣を添え、約100分という時間が嘘のように短く
感じられる。 (持丸充) --- 1997年03月号