世界最速の増殖/高松の干潟でスーパー珪藻確認
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/20120718000124
 香川大瀬戸内圏研究センターの一見和彦准教授は17日、香川県高松市内の干潟に生息する珪藻が従来の増殖限度を大幅に超える、一日当たり10分裂程度のスピードで増殖する「スーパー珪藻」であることを発見したと発表した。
一見准教授は「海洋に生息する光合成生物の中で、世界で最も速く増殖する珪藻と思われる」とし、今後は水産生物の餌やエネルギー分野などでの活用に向け研究を進める。

 同センターでは、2003年から高松市の新川・春日川河口付近の調査を行っており、スーパー珪藻は06年8月の調査で発見。研究論文は、メーンで研究に取り組む一見准教授と東京大大気海洋研究所の河村知彦教授ら5人が参加し、今月公表の国際専門誌電子版に掲載されている。

 一見准教授によると、スーパー珪藻の種類は「キートケロスサルスギネウム」で、世界各地の内湾や河口域に生息。1983年の論文で初めて紹介されたが、増殖スピードについては解明されていなかった。

 珪藻の一般的な増殖スピードは、一日当たり1〜3分裂程度。一方、スーパー珪藻は熱に強い特徴があり、夏の沿岸環境を再現した模擬実験で一日当たり10分裂程度のスピードで増殖することが確認された。

 スーパー珪藻の増殖能力を活用し、▽二枚貝や動物プランクトンの餌の生産▽バイオ燃料の有用物質の生産▽二酸化炭素(CO2)の吸収源―などに役立つ可能性があるとしている。

 一見准教授は「一つの細胞が一日で千倍以上になるスーパー珪藻の増え方は常識外れ。増殖能力を有効利用できる研究に取り組みたい」とした。