高性能蓄電池/密閉タイプで安全長寿命/新エネ支援機構
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スマートグリッド社会の実現に向けて高性能蓄電池に対するニーズが高まる中、新たな動きが出てきた。
蓄電池の技術者らが昨年8月に設立した新エネルギー支援機構(古川九州男代表理事)が、バナジウ
ム溶液を使った密閉型蓄電池「シールド・レドックス電池」の開発に成功した。蓄電池としての基本性能
を飛躍的に向上させながら、高い安全性や長寿命化を実現したのが特徴だ。

シールド・レドックス電池は、これまで難しいとされてきた高濃度バナジウム極液を開発したことで実現した。
一般に極液の濃度が高いほどエネルギー密度が高まるものの、スラッジ(固形成分)が発生しやすくなる。
独自の技術でこの課題をクリアし、従来比3倍以上の3.5モルという高濃度極液の開発に漕ぎ着けた。同機
構で理事を務める中井重之ギャラキシー社長は「将来的には5モル程度まで目指したい」と意気込む。

 一般的な鉛蓄電池の寿命が5年程度とされるのに対し、バナジウム溶液は半永久的に使える。現時点で
は20年以上の寿命設定を想定しており、定期交換が不要になるためライフサイクルコストの面で有利だ。
また、フロー電池のように循環装置を持たないため使い勝手が良く、さまざまな場所に設置しやすい。1kW
時当たりの単価は8万円程度で、約20万円のリチウムイオン電池に比べても優位性は高い。