震災がれき 島田市が10トン試験溶融 岩手や静岡県と覚書
2012年2月2日

岩手県の被災がれき受け入れ問題で、島田市は1日、
同県と、受け入れ窓口になる静岡県の3者で、2月中旬にも行う試験溶融の実施で合意し、覚書を交わした。
試験溶融では、岩手県山田町の柱材や角材の木材チップのみ約10トンを受け入れ、搬出時の放射能濃度は1キログラム当たり100ベクレル以下に限定するとの条件をつけた。

市は搬入日、検査項目、経費など詳細は3日に発表する。近く静岡県と岩手県、静岡県と島田市がそれぞれ委託契約を結ぶ。

会見で桜井勝郎市長は「がれき(の放射能濃度)は島田市の家庭ごみと変わらないか、それ以下のレベル」と強調。
風評被害への懸念には「東北は風評以上の厳しい寒さの中で生活している」とあらためて理解を求めた。

市によると、木材チップは密閉型コンテナで運搬する。山田町から静岡市駿河区の静岡貨物駅まで主に鉄道で運び、トラックに積み替えて島田市伊太の処理施設「田代環境プラザ」に搬入する。
木材チップはコンテナ1個に約2トンしか入らず、コンテナは延べ5個になる。

県内での検査は、静岡貨物駅の積み替え時にコンテナの空間放射線量率、同プラザで処理灰(飛灰)や排ガスの放射能濃度を測る。

桜井市長は、伊太地区自治会から、地元の了解がないまま試験実施を表明したことに抗議を受けたと明かし、
「大変ご迷惑をかけ、心よりおわび申し上げたい」と陳謝した。

岩手県資源循環推進課の吉田篤総括課長は「大変うれしく思う。放射性物質の風評被害が叫ばれる中、桜井市長の英断に心から感謝している。これを契機に他の地域でも受け入れが広がることを期待したい」と話した。